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【発達障害】仕事のミスが多いのは、ADHDだから?

2026.7.13

「同じ確認ミスを何度も繰り返してしまう」 「メールの送信忘れ、書類の記入漏れが減らない」 「気をつけているつもりなのに、また同じところでつまずく」

こうした状態が続くと、「もしかして自分はADHDなのではないか」と考える方は少なくありません。近年は大人のADHD(注意欠如・多動症)が知られるようになり、ご自身で調べて受診される方も増えています。

一方で、仕事のミスが増える背景には、ADHD以外の要因が関わっていることも少なくありません。「ミスが多い」という結果は同じでも、その原因が違えば、有効な対処もまったく変わってきます。

この記事では、仕事のミスが増える背景に考えられる可能性を整理したうえで、ADHDの特性がある場合の工夫(薬に頼らない対策)、薬物療法の位置づけ、受診の目安について解説します。

「ミスが多い=ADHD」とは限りません

インターネットで「仕事 ミス 多い」と検索すると、ADHDのセルフチェックが数多く表示されます。そこに並ぶ項目──忘れ物が多い、締め切りを守れない、集中が続かない、整理整頓が苦手──に多く当てはまり、「やはり自分はADHDだ」と感じる方もいらっしゃるでしょう。

ただ、ここで一度立ち止まっていただきたいことがあります。「不注意」や「ミスの増加」は、さまざまな状態に共通して現れる、いわば“最終的な症状”です。 熱が出る原因が一つではないのと同じように、注意力が落ちる原因も一つではありません。

大切なのは、「自分のミスは、どの背景から来ているのか」を切り分けていくことです。そしてこの切り分けは、ご自身だけで行うのは難しく、専門的な視点が役に立つところでもあります。

仕事のミスが増える背景に考えられる6つの可能性

① 業務の難易度・経験とのミスマッチ(まだ「慣れていない」)

もっとも見落とされやすいのが、単純に、その仕事にまだ習熟していないというケースです。

  • 異動・転職・昇進で、担当する業務の範囲が急に広がった
  • 手順が明文化されておらず、暗黙のルールが多い職場である
  • そもそも作業量が、こなせる量を超えている

このようなとき、ミスは「能力が足りない」ことの証明ではなく、「まだ情報と手順が身についていない」「時間的な余裕がない」ことの結果として現れます。

見分けの手がかりは、特定の業務・特定の時期に限ってミスが増えているかどうかです。慣れるにつれてミスが減っていくようであれば、習熟の過程にある可能性が高いといえます。この場合に必要なのは、治療よりも、手順の可視化や、質問できる相手の確保、業務量の調整です。

② 職場環境・働き方の要因

注意力は、環境から大きな影響を受けます。

  • チャットやメールの通知による、頻繁な割り込み
  • 複数の案件を同時並行で進めるマルチタスク
  • 常に話し声が聞こえる執務環境
  • 長時間労働、締め切りの重なり

こうした条件下では、特別な疾患がなくても、誰でもミスは増えます。 「自分の注意力の問題」と考える前に、「自分の注意力を削っている条件は何か」を洗い出してみることには意味があります。

なお、ADHDの特性がある方は、こうした環境要因の影響をより強く受けやすいことが知られています。つまり、①②と後述の⑥は、どちらか一方ではなく重なり合っていることが多いのです。

③ 抑うつ状態による「思考の停滞」と集中力の低下

ここが、見過ごされやすく、そしてもっとも早く治療につながりうる背景です。

うつ病や適応障害では、気分の落ち込みだけでなく、次のような症状が現れることが知られています。

  • 思考の流れが遅くなる(専門的には「思考制止」と呼ばれます)
  • 集中力・注意力・判断力の低下
  • 決断が難しくなる(簡単な選択に時間がかかる)
  • 頭に霧がかかったように、文章が頭に入ってこない

つまり、「気分が沈む病気」であると同時に、「頭の働きが落ちる病気」でもあるということです。その結果、これまで問題なくこなせていた業務でミスが増える、という現象が起こります。

「ミスの悪循環」が起こります

抑うつ状態でやっかいなのは、ミスがさらなるミスを呼ぶ悪循環を作りやすいことです。

段階起きていること
1. ミスが起きる集中力・思考のスピードが落ち、確認が行き届かない
2. 自分を責める「またやってしまった」「自分はダメだ」と強く自責する
3. 不安・緊張が高まる「次も失敗するのでは」という緊張で、注意の幅が狭くなる
4. 対処が空回りする確認が過剰になって時間が足りなくなる、あるいは怖くて確認を避けてしまう
5. さらにミスが起きる疲労と睡眠不足が重なり、思考の停滞がいっそう強まる
6. 抑うつ気分が深まる自信の低下・意欲の低下が進み、1に戻る

この輪の中にいるとき、多くの方は「もっと気をつけよう」「もっと頑張ろう」と対処されます。しかし、低下しているのが「注意する力」そのものである以上、「気をつける」という対策は空振りしやすいのです。これは意志や性格の問題ではなく、機能が落ちている状態です。

悪循環は、どこか一か所がゆるめば、全体がほどけ始めます。手をつけられるのは、次の3つです。

  1. 仕事の仕組みを変える(記憶と注意を、自分の頭の外に預ける/後述)
  2. 休息と睡眠を確保する
  3. 背景にある不調そのものを治療する

見分けのポイントは「いつからか」

ADHDの特性は、程度の差はあれ子どものころから続いていることが一般的です。一方、抑うつ状態による集中力低下は、「以前はできていたのに、ある時期からできなくなった」という“変化”として現れます。

「ここ数か月で明らかにミスが増えた」「同時に、眠れない・食欲がない・朝がつらい・何をしても楽しくない、といった変化がある」——こうした場合は、ADHDよりも先に、気分の問題を確認する必要があります。

④ 睡眠の問題(睡眠不足・睡眠時無呼吸など)

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠不足が、日中の眠気や疲労に加えて、注意力や判断力の低下に関連する作業効率の低下などをもたらすことが指摘されています。同ガイドでは、成人は6時間以上を目安に睡眠時間を確保することが推奨されています(必要な睡眠時間には個人差があります)。

つまり、慢性的な睡眠不足の状態でミスが増えるのは、ある意味で当然の反応です。

さらに注意したいのが、「眠っているはずなのに眠りが足りていない」ケースです。

  • 家族から、いびきや呼吸の止まりを指摘されたことがある
  • 十分な時間眠っているのに、熟睡感がない
  • 日中に強い眠気があり、会議中に意識が飛ぶ

こうした場合、背景に睡眠時無呼吸症候群が隠れていることがあります。日中の強い眠気による集中の途切れは、「不注意」と見分けがつきにくく、ADHDと混同されやすい症状です。

睡眠の問題は、検査によって客観的に確認できることが強みです。原因がはっきりすれば、対処の方針も立てやすくなります。

⑤ 不安・強迫、そして身体的な要因

  • 不安が強いとき、注意の多くは「心配ごと」に向けられています。目の前の作業に振り向けられる注意が減るため、結果としてミスが増えます。
  • **強迫症(強迫性障害)**では、確認を繰り返しても安心できないため、作業に時間がかかり、「仕事が進まない」「ミスが多い」と感じられることがあります。これは不注意とは逆に、「確認しすぎている」状態です。
  • 身体の病気でも、集中力の低下や倦怠感が起こることがあります。たとえば甲状腺機能の低下や貧血などは、血液検査で確認できるものです。
  • アルコール・カフェイン・一部の薬(服用中の薬の眠気など)も、注意力に影響することがあります。

「心の問題かもしれない」と思っていたものが、身体の側の要因だったというケースは、実際に少なくありません。

⑥ADHDの特性が関係している場合

ここまで、ADHD以外の可能性を挙げてきました。しかし当然ながら、背景にADHDの特性がある方も、確かにいらっしゃいます。

大人のADHD(注意欠如・多動症)とは

ADHDは、不注意多動性・衝動性を主な特徴とする神経発達症のひとつです。大人では、子どものころに見られるような目立った多動は減り、次のような形で現れることが多いと報告されています。

  • ケアレスミス、書類の記入漏れ、送信忘れ
  • 締め切りの管理が難しい、着手が先延ばしになる
  • 優先順位をつけられず、目についたものから手をつけてしまう
  • 物をよくなくす、整理整頓が続かない
  • 頭の中が常にざわついていて、落ち着かない(内面的な多動)
  • 思ったことをつい口に出してしまう

症状のいくつかが12歳になる前から認められることが診断上も重要です。裏を返せば、「大人になってから急に始まった不注意」は、まず他の要因を検討すべきということになります。

なお、国内の疫学調査では、成人期のADHDの有病率は約2%と報告されており、決してまれなものではありません。

ADHDは、性格の問題でも、努力不足でもありません。 生まれつきの脳の働き方の違いであり、環境や工夫、必要に応じた治療によって、困りごとを減らしていける状態です。

背景を見分けるための一般的な傾向

手がかりADHDの特性が関わる場合抑うつ状態が背景にある場合環境・習熟の要因が大きい場合
いつから程度の差はあれ、子どものころから続いているある時期を境に「できなくなった」異動・転職・繁忙期など、きっかけが明確
場面仕事・家庭・趣味など複数の場面で見られる仕事だけでなく、家事や身の回りのことも億劫になる特定の業務・状況に限られやすい
気分気分そのものは保たれていることも多い落ち込み・興味の低下・自責感を伴う疲れは感じるが、休むと回復する
睡眠・食欲大きな変化がないこともある不眠/過眠、食欲の変化を伴いやすい大きな変化は少ない
休んだあと休んでも不注意の傾向は残りやすい休養や治療とともに改善していくことが多い慣れとともに減っていく

※この表はあくまで一般的な傾向であり、当てはまるかどうかで診断が決まるものではありません。実際には、これらが同時に存在していることも少なくありません。 たとえば「ADHDの特性があり、そのために失敗が重なって抑うつ状態になっている」というのは、非常によくある組み合わせです。

診断は、チェックリストだけでは決まりません

大人のADHDの診断では、現在の症状だけでなく、**子どものころの様子(生育歴)**を確認することが重要とされています。診察では、たとえば次のような点をうかがっていきます。

  • 学生時代の忘れ物、提出物、授業中の様子、通知表の記載
  • 現在の困りごとが、仕事以外の場面でも見られるか
  • 同じ症状が、うつ病・不安症・睡眠障害・身体疾患などで説明できないか
  • 睡眠、生活リズム、飲酒、カフェイン、服薬の状況

母子健康手帳や通知表など、当時を振り返る手がかりになる資料をお持ちの方は、受診の際にご持参いただくと参考になります。ご家族から見た様子をうかがえる場合も、判断の助けになります。

診断は、一度の診察で確定しないこともあります。「今日ここで白黒つける」というより、背景を一緒に整理していく過程とお考えいただければと思います。


▶ 気分の落ち込みや不安を伴うミスの増加が2週間以上続いているときは、一度ご相談ください。てらすクリニックにっぽりは土日も診療しており、WEB予約は24時間受け付けています。


薬に頼る前にできること──「意志」ではなく「仕組み」で減らす

ADHDの治療では、まず環境の調整と、生活・仕事の工夫を整えることが基本とされています。薬物療法は、それでも支障が残る場合に検討される選択肢です。

工夫の大原則は、たったひとつです。

「覚えておく」「気をつける」を前提にしない。記憶と注意を、自分の頭の外に預ける。

不注意によるミスは、注意を「もっと頑張る」ことでは減りません。頑張らなくてもミスが起きない仕組みをつくることが、確実で、しかも疲れない方法です。

① 記録の入り口を「1か所」に集約する

メモが手帳・付箋・スマホ・メール下書きに散らばると、「どこに書いたか探す」こと自体が新しいミスの原因になります。

  • 紙かデジタルかは、ご自身に合うほうで構いません。大切なのは、入り口を1つに決めることです
  • 口頭で受けた指示は、その場で復唱しながら書く。復唱は、認識のズレの防止にもなります
  • 書く余裕がないときは、音声入力でその場に残す(録音を行う場合は、職場のルールをご確認ください)

② スマートフォンの標準機能を「外づけの記憶」として使う

高機能なアプリを新しく導入する必要はありません。すでに手元にある標準機能で十分です。

機能使い方のコツ
リマインダー「あとでやろう」と思ったその瞬間に登録する。時刻指定だけでなく、場所を指定した通知(例:会社に着いたら通知)も有効です
カレンダー予定そのものだけでなく、移動時間・準備時間もブロックして入れておく
アラーム/タイマー締め切りではなく「着手する時刻」にアラームを設定する。25分程度の短いタイマーで作業を区切るのも有効です
音声入力手が離せないときに、思いついたタスクを声で記録する
通知の管理作業中は通知をオフにする、集中モードを使う。割り込みは注意力の最大の敵です
カメラホワイトボード、書類の保管場所、駐輪した場所などを撮影して記録する
チェックリスト繰り返す作業はテンプレート化する(例:送信前チェック=宛先・件名・添付・数字)

ここで大切なのは、「使いこなす」ことを目指さないことです。ツールを増やしすぎると、ツールの管理そのものが新たな負担になります。まずは1つか2つに絞り、習慣になるまで続けるほうが、結果的にうまくいきます。

③ 仕事の進め方を変える

  • タスクを「行動」まで分解する:「資料を作る」ではなく「見出しを3つ書き出す」まで細かくすると、着手しやすくなります
  • シングルタスクにする:2つを同時に進めない。1つ終えてから次へ
  • 重要な作業を、集中しやすい時間帯に置く(多くの方は午前中です)
  • 自分用の締め切りを前倒しで設定する:本当の締め切りの前に、余白を確保する
  • 確認の方法を変える:一度席を立ってから見直す、印刷して見る、声に出して読む。同じ見方で二度見ても、同じ見落としをします

④ 環境を整える

  • 机の上に出すものを減らす(視界の情報量を減らす)
  • ノイズキャンセリングイヤホンの活用、静かな席への変更を相談する
  • 鍵・社員証・財布などの定位置を決め、置き場所を固定する

⑤ 生活の土台を整える

  • 睡眠時間の確保(成人は6時間以上が目安とされています)
  • 夕方以降のカフェイン、寝る前の飲酒は、睡眠の質に影響します
  • 適度な運動、朝の光を浴びる習慣

体調が整うだけでミスが減るということは、決してめずらしくありません。工夫を積み上げる前に、まず土台を確認することをおすすめします。

⑥ 職場に相談するという選択肢

一人で抱え込まず、上司・人事・産業医に相談することも選択肢のひとつです。

障害者雇用促進法では、事業主に対し、雇用の分野における合理的配慮の提供が求められています(過重な負担とならない範囲で)。また、2024年4月からは、障害者差別解消法の改正により、事業者による合理的配慮の提供が義務化されました(内閣府)。

具体的な配慮の例としては、次のようなものが挙げられます。

  • 指示を口頭だけでなく、チャットや文書で残してもらう
  • 締め切りと優先順位を明示してもらう
  • 静かな席や、集中できる時間帯の確保について相談する

制度の適用範囲や手続きは、状況によって異なります。診断を受けるかどうか、それを職場に開示するかどうかは、ご本人が決めることです。 診断を開示せずに、「仕事の進め方の工夫」として相談する方法もあります。判断に迷うときは、産業医や人事の窓口、あるいは地域の支援機関(発達障害者支援センター、地域障害者職業センター、ハローワークの専門窓口など)にご相談ください。

薬物療法について

薬は「特性をなくす薬」ではありません

ADHDの治療では、環境調整や心理社会的な支援を基本としたうえで、日常生活や仕事への支障が残る場合に、薬物療法を併用するという考え方が一般的です。

薬の目的は、特性そのものをなくすことではなく、不注意や衝動性といった症状を和らげ、前述の「工夫」が機能しやすい状態をつくることにあります。薬を飲めば工夫が不要になるわけではなく、その逆でもありません。両者は組み合わせて用いられます。

効果や副作用の現れ方には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるものではありません。

国内で承認されている薬剤(一般名)

現在、日本でADHDの治療薬として承認されているのは、次の4成分です。

一般名分類特徴(一般的な傾向)
メチルフェニデート塩酸塩徐放錠中枢神経刺激薬処方医療機関、医師が限られます
リスデキサンフェタミンメシル酸塩中枢神経刺激薬原則として小児期に開始した方に限られ、18歳以上での新規の処方はできません。
アトモキセチン塩酸塩非中枢神経刺激薬効果の判定までに数週間を要するとされます
グアンファシン塩酸塩徐放錠非中枢神経刺激薬衝動性やイライラが目立つ場合に検討されることがあります

※メチルフェニデート リスデキサンフェタミンメシル酸塩については当院で処方を行っておりません

副作用としては、食欲の低下、不眠、頭痛、動悸、眠気、血圧や脈拍の変化などが報告されています。服用中は定期的に受診し、効果と副作用の両方を確認しながら調整していくことが必要です。自己判断での中止や増量は避けてください。

※本記事では、医薬品の商品名(販売名)は記載していません。実際の処方は、診察のうえ医師が必要と判断した場合に限られます。

薬を検討する前に、確認すべきこと

  • 背景にうつ病・不安症・睡眠時無呼吸などがある場合、そちらの治療が優先されることがあります。 睡眠不足が続いたまま刺激薬を用いても、根本にある問題は残ります
  • 心疾患などの既往、他に服用中の薬との関係
  • 妊娠・授乳の予定
  • アルコールとの関係

「まず原因を評価してから、必要な治療を選ぶ」という順序が、遠回りのようでいて、確実な道になります。

受診を検討していただきたい目安

次のような状態が続いている場合は、一度ご相談ください。

  • ミスが増えたことをきっかけに、気分の落ち込みや不安が2週間以上続いている
  • 眠れない/眠りすぎる、食欲の変化、朝がつらい、何をしても楽しくない
  • 日中の強い眠気がある、いびきを指摘されたことがある
  • 「以前はできていたこと」ができなくなったという変化がある
  • 子どものころから、忘れ物・締め切り・整理整頓の困りごとが続いている
  • ミスのあとの自責感が強く、仕事を続けることがつらい
  • 遅刻や欠勤が増えている、退職を考えている

なお、気分の落ち込みが強く、「消えてしまいたい」という気持ちが浮かぶときは、我慢せず、早めに医療機関にご相談ください。

よくあるご質問

Q1. ネットのADHDチェックで、多くの項目が当てはまりました。ADHDということでしょうか?

A. セルフチェックは、受診を考えるきっかけとしての目安であり、診断ではありません。 同じ項目は、抑うつ状態、不安、睡眠不足などでも当てはまることがあります。当てはまった項目が多いこと自体よりも、「いつから続いているか」「どの場面で起きているか」が判断の手がかりになります。

Q2. 子どものころは問題なかったのに、大人になってミスが増えました。ADHDでしょうか?

A. 診断基準では、症状のいくつかが12歳より前から認められることが要件のひとつとされています。したがって、大人になってから明らかに変化した場合は、まず抑うつ状態や睡眠の問題、身体的な要因などを確認することが大切です。ただし、子どものころは環境に恵まれていて困りごとが表面化せず、責任の増える社会人になって初めて表れる、というケースもあります。

Q3. 診断がつかなかった場合、相談する意味はありますか?

A. あります。診断の有無にかかわらず、ミスが起きる状況の整理、仕事の工夫、睡眠や生活リズムの調整、背景にある不調の治療など、できることは少なくありません。「診断名をもらうこと」ではなく、「困りごとを減らすこと」が目的です。

Q4. すぐに薬を出してもらえますか?

A. 薬物療法は、診察の結果、必要と判断された場合に検討します。特に中枢神経刺激薬は登録制度の対象で、登録された医療機関・薬局でのみ取り扱われます。また、背景に別の不調がある場合には、そちらの治療を優先することがあります。

Q5. 職場に知られたくないのですが。

A. 診療の内容は、守秘義務のもとで扱われます。職場への開示や、診断書の提出を行うかどうかは、ご本人が決めることです。ご希望や状況をうかがいながら、一緒に検討します。

Q6. 平日は仕事があり、通えません。

A. 当院は土曜・日曜も診療しています(9:30〜13:15/14:00〜16:00)。WEB予約は24時間受け付けています。

この記事のまとめ

  • 「仕事のミスが多い」という状態は、さまざまな背景に共通して現れる症状です。ADHDと決めつける前に、他の可能性を切り分けることが役に立ちます
  • 背景としては、①業務への習熟不足、②職場環境・働き方、③抑うつ状態による思考の停滞と集中力低下、④睡眠不足・睡眠時無呼吸、⑤不安・強迫や身体的な要因、⑥ADHDの特性、が考えられます
  • 抑うつ状態では、ミス → 自責 → 緊張 → さらにミスという悪循環が起こりやすく、「気をつける」だけでは断ち切れません
  • ADHDの特性は、程度の差はあれ子どものころから続いているのが一般的です。「ある時期から急にできなくなった」場合は、他の要因を先に確認します
  • 対策の基本は、「覚えておく」「気をつける」を前提にせず、記憶と注意を頭の外(メモ・スマホ・仕組み)に預けることです
  • 薬物療法は、環境調整と工夫を土台としたうえで検討される選択肢です。効果や副作用には個人差があり、中枢神経刺激薬は登録された医療機関でのみ処方できます
  • 原因が分かれば、打てる手が見えてきます。 一人で「気合が足りない」と抱え込まないでください

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てらすクリニックにっぽりは、JR日暮里駅から徒歩1分の場所にあります。心療内科・精神科・内科・睡眠障害内科を標榜しており、月・火・木・金は9:30〜13:00/14:30〜19:00、土・日は9:30〜13:15/14:00〜16:00、水曜・祝日は休診です。

仕事のミスが減らない、集中力が続かない、ミスのたびに強く落ち込んでしまう、以前はできていたことができなくなった——そうしたお悩みがある方は、当院へご相談ください。

「ミスが多い」というご相談では、ADHDの特性の有無を確認するだけでなく、背景に抑うつ状態や不安がないか、睡眠が足りているか、睡眠中の呼吸に問題がないか、甲状腺機能や貧血といった体の要因が隠れていないかを、あわせて確認していくことが大切です。てらすクリニックにっぽりでは、心療内科・精神科に加えて内科・睡眠障害内科の診療も行っているため、心の不調と体の不調をあわせてご相談いただけます。

初めて受診される方は、健康保険証(またはマイナ保険証)と、服用中のお薬がわかるもの(お薬手帳など)をお持ちください。子どものころの様子を振り返る手がかりとして、母子健康手帳や通知表などをお持ちいただける場合は、あわせてご持参ください。他院からの転院をご検討中の方は、紹介状や検査結果があると、診療がスムーズです。

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監修者情報

船橋 健吾
医師 船橋 健吾

東京医科歯科大学医学部医学科卒業(現・東京科学大学)
地方中核病院やメンタルクリニック・訪問診療クリニック・産業医として勤務
当院の分院であるてらすクリニックひきふね 院長
(内科・心療内科・精神科・訪問診療)

産業医やケアマネジャーとしても働きつつ、働く皆様や高齢者のお力になりたいと考えています。

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