心療内科・精神科・内科・睡眠障害内科

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【心身症】過敏性腸症候群(下痢や腹痛)で心療内科に相談してもいいの?

2026.7.13

結論だけ先に。相談してもらってOKです。てらすクリニックにっぽりはWeb予約24時間対応しています。

「通勤電車に乗ると、決まってお腹が痛くなる」 「大事な会議やプレゼンの前になると、トイレから出られなくなる」 「病院で検査を受けても『異常なし』。でも、下痢と腹痛は続いている」

こうした症状に、何年も一人で耐えている方は少なくありません。急な便意やお腹の痛みは、周囲に相談しづらく、「自分の気の持ちようが弱いからだ」と思い込んでしまいがちです。

けれども、繰り返す下痢や腹痛には、過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)という病名がついている場合があります。そして、IBSは「心身症(しんしんしょう)」の代表的な疾患のひとつとして、心療内科が扱う領域でもあります。

この記事では、過敏性腸症候群と心身症の関係、ストレスがなぜお腹の症状につながるのか(脳腸相関)、そして受診の目安と治療の選択肢について解説します。

過敏性腸症候群(IBS)とは

過敏性腸症候群は、大腸などに炎症や潰瘍、腫瘍といった目に見える異常(器質的な異常)がないにもかかわらず、腹痛と便通の異常(下痢・便秘)が慢性的に繰り返される状態を指します。

日本消化器病学会の『機能性消化管疾患診療ガイドライン2020—過敏性腸症候群(IBS)』では、IBSの有病率について、調査や診断基準によって幅があるものの、**おおむね10%前後(報告によって7〜15%程度)**と報告されています。決して珍しい状態ではなく、身近な病気だといえます。

便の状態による4つのタイプ

IBSは、便の性状によって次のように分類されます。

タイプ特徴
下痢型(IBS-D)軟便・水様便が多い。突然の便意、切迫感を伴いやすい
便秘型(IBS-C)硬い便・コロコロ便が多い。強くいきむ必要がある
混合型(IBS-M)下痢と便秘を繰り返す
分類不能型(IBS-U)上記のいずれにも当てはまらない

「急な下痢と腹痛に困っている」という方は、下痢型(IBS-D)にあたる可能性があります。下痢型では、通勤・通学中の電車内、会議中、試験中など、「すぐにトイレに行けない状況」で症状が強く出やすいことが知られています。

「心身症」とはどういう意味でしょうか

「心身症」という言葉に、「気のせい」「精神的なもの」というイメージを持たれる方がいらっしゃいます。しかし、医学的な定義はそうではありません。

日本心身医学会(1991年)の定義では、心身症は次のように説明されています。

身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態

ポイントは、心身症はあくまで「身体の病気」であるという点です。「心の問題」だけを指す言葉ではなく、身体に実際に起きている不調(この場合は腸の動きや知覚の変化)に、ストレスなどの心理社会的な要因が深く関わっている状態を意味します。

過敏性腸症候群は、片頭痛や緊張型頭痛、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などと並んで、代表的な心身症のひとつとして挙げられてきました。つまり、「腸が実際に過敏に反応している」うえで、「その反応にストレスが影響している」という、両方の側面を持つ状態なのです。

「痛みは気のせいではない。けれど、ストレスの影響も無視できない」——このどちらも本当である、というのが心身症の考え方です。

なぜストレスで下痢や腹痛が起きるのか:脳腸相関

近年、IBSの背景として注目されているのが、脳腸相関(のうちょうそうかん)という考え方です。脳と腸は、自律神経やホルモン、神経伝達物質を介して双方向にやりとりをしており、互いに強く影響し合っていると考えられています。

IBSでは、次のようなしくみが関与すると報告されています。

1. 腸の動きの異常(消化管運動異常) ストレスを感じると、自律神経を介して腸の動きが速くなったり、けいれん性に強く収縮したりします。腸の内容物が速く通過することで、水分が十分に吸収されず、下痢につながります。

2. 腸の知覚過敏(内臓知覚過敏) IBSの方では、腸が伸びたり、ガスがたまったりする刺激を、通常より強い痛みや不快感として感じやすいことが報告されています。「普通なら気づかない程度の腸の動き」を、痛みとして感じ取ってしまう状態です。

3. 予期不安による悪循環 「またお腹が痛くなったらどうしよう」という不安そのものが、自律神経を介して腸への刺激となり、実際に症状を誘発することがあります。症状が出る→不安が強まる→さらに症状が出やすくなる、という悪循環が生まれます。

このほか、感染性腸炎のあとにIBSを発症すること(感染後IBS)や、腸内細菌のバランス、粘膜のわずかな炎症なども関与する可能性が指摘されており、原因はひとつではないと考えられています。

こんな悪循環に陥っていませんか

下痢型IBSでとくにつらいのは、症状そのものよりも、生活が少しずつ狭くなっていくことかもしれません。

  • 各駅停車にしか乗れない、途中下車できる駅を毎回確認している
  • 出かける前に何度もトイレに行く。それでも不安が消えない
  • 電車・バス・映画館・会議など、「途中で抜けられない場所」を避けるようになった
  • 外食や旅行、人と出かける約束を断ることが増えた
  • 「お腹が鳴ったらどうしよう」と、常に緊張している

こうした回避行動は、一時的には安心につながりますが、長い目で見ると「行ける場所」「できること」を減らし、不安をより強く固定させてしまうことがあります。

また、この段階になると、IBSに加えて社交不安症やパニック症、適応障害、うつ状態などが重なっていることも少なくありません。「お腹の症状」として現れているものの、背景に別の不調が隠れている場合があるのです。

心療内科・精神科では、こうした「お腹の症状」と「不安・気分の問題」を分けずに、まとめて相談していただけるのが特徴です。

セルフチェックの目安

次の項目は、IBSを考えるうえでの一般的な目安です。

  • 腹痛が、週に1回以上のペースで繰り返し起きている
  • その状態が、3か月ほど以上続いている
  • 排便すると腹痛がやわらぐ、または逆に強くなる
  • 腹痛が起きるとき、排便の回数が変わる(増える・減る)
  • 腹痛が起きるとき、便の形が変わる(ゆるくなる・硬くなる)
  • 緊張する場面やストレスがかかる時期に、症状が悪化しやすい
  • 眠っている間は症状がなく、日中や外出時に強く出る

※これはあくまで一般的な目安であり、セルフチェックで診断が確定するものではありません。当てはまる項目が少なくても症状にお困りであれば、ご相談いただいて構いません。

「これは検査が必要」とされている症状・状況

一方で、次のような症状や背景がある場合、診療ガイドラインではまず大腸の検査(大腸内視鏡検査など)を行うことが推奨されています。IBSと似た症状を示す、別の病気の可能性を確認するためです。

検査が推奨される症状(警告症状)

  • 血便が出る(便に血が混じる、黒い便が出る)
  • 発熱や関節の痛みを伴う
  • 意図していないのに体重が減っている(6か月以内に3kg以上など)
  • 夜間、眠っているときにも腹痛や下痢で目が覚める
  • 貧血を指摘されている

検査が推奨される背景(危険因子)

  • 50歳以上になってから、はじめて症状が出た
  • 大腸の病気(大腸がん、炎症性腸疾患など)の既往歴・家族歴がある

これらに当てはまる場合、消化器内科の医療機関をご紹介することもございます。「まず身体の病気を確認しておく」ことは、その後の治療方針をはっきりさせるための、大切なプロセスです。

すでに「異常なし」と言われた方へ

内科や消化器内科で検査を受け、「大きな異常はありません」「過敏性腸症候群でしょう」と説明を受けた——けれど、症状は続いている。そんな段階で、次の一歩がわからなくなってしまう方は多くいらっしゃいます。

まず知っていただきたいのは、その検査は決して無駄ではなかったということです。器質的な病気が否定されたからこそ、「腸の機能とストレスの関係」に焦点を当てた治療に進むことができます。

そして、そこから先が、心療内科が担う領域です。

  • 症状が出やすい場面・時間帯・ストレス要因を一緒に整理する
  • 「予期不安 → 症状 → 回避 → さらなる不安」という悪循環に働きかける
  • 背景にある不安症やうつ状態があれば、そちらの治療も並行して行う
  • 腸の症状そのものに対する薬物治療も、必要に応じて検討する

「検査では異常がないのに、症状が続く」というつらさは、のどの詰まり感(咽喉頭異常感症)や、動悸・めまいなど、ほかの部位でも起こります。当院ではこうした身体症状のご相談も、幅広くお受けしています。

治療の選択肢

IBSの治療は、保険診療の範囲で行われます。症状のタイプや生活状況、背景にある不調によって、次のような選択肢を組み合わせて考えていきます。

1. 生活習慣・食事の調整

  • 食事の時間をなるべく規則的にする
  • 十分な水分をとる
  • 脂質の多い食事、カフェイン、香辛料、アルコールなど、症状を悪化させやすいものを把握して調整する
  • 睡眠時間を確保する、適度な運動を取り入れる

食事の影響には個人差が大きいため、「何を減らすと楽になるか」は、症状の記録をもとに一緒に確認していくのが現実的です。

2. お薬による治療

IBSの治療に用いられる薬には、次のような種類があります(すべて一般名・薬効分類名で記載しています)。

  • 整腸剤(プロバイオティクス):腸内細菌のバランスに働きかける
  • 高分子重合体:便の水分バランスを整える。下痢型・便秘型のどちらにも用いられることがある
  • 消化管運動調節薬:腸の動きを整える
  • セロトニン(5-HT3)受容体拮抗薬:下痢型に用いられる薬。適応や用量は医師が判断します
  • 抗コリン薬:腹痛が強いときに用いられることがある
  • 漢方薬(桂枝加芍薬湯など)
  • 抗不安薬・抗うつ薬:不安や気分の落ち込みが背景にある場合、その治療とあわせて検討します

どの薬が適しているかは、症状のタイプ、体質、他の疾患や併用薬の有無によって異なります。効果や副作用の現れ方には個人差がありますので、診察のなかでご相談のうえ決めていきます。

3. 心理的アプローチ

脳腸相関の観点から、ストレスへの対処や、症状に対する考え方・行動パターンに働きかける方法も、IBSの治療法として報告されています。認知行動療法やリラクゼーション法、自律訓練法などが挙げられます。

「どの場面で症状が出やすいか」「そのとき何を考えているか」を整理していくだけでも、悪循環の輪をゆるめる手がかりになることがあります。

よくあるご質問

Q. お腹の症状なのに、心療内科に行ってもいいのでしょうか? A. はい。過敏性腸症候群は代表的な心身症のひとつであり、心療内科が扱う領域です。当院は心療内科・精神科に加えて内科も標榜しております。ただし、血便や体重減少などがある場合や、大腸の検査をまだ受けていない場合は、消化器内科での検査を優先していただくこともあります。その際は、適切な医療機関をご紹介します。

Q. すでに消化器内科でお薬をもらっています。それでも相談できますか? A. ご相談いただけます。お薬手帳と、これまでの検査結果(お持ちであれば)をご持参ください。現在の治療内容を確認したうえで、不安やストレスの側面からできることを一緒に考えます。

Q. 大腸カメラは受けられますか? A. 当院では大腸内視鏡検査は行っておりません。必要と判断した場合には、検査を実施している医療機関をご紹介します。

Q. ストレスの原因(仕事や環境)が変えられません。それでも治療の意味はありますか? A. ストレスの原因そのものをすぐに変えられない状況は、めずらしくありません。その場合でも、症状への対処法、身体の反応のやわらげ方、休養や環境調整の具体的な進め方など、取り組めることがあります。診断書が必要な場面についても、必要に応じてご相談ください。

Q. 「気にしすぎ」と言われてきました。本当に病気なのでしょうか? A. 過敏性腸症候群は、診断基準のある医学的な状態です。腸の動きや知覚に実際の変化が起きていると報告されており、「気にしすぎ」で片づけられるものではありません。

まとめ

  • 繰り返す下痢・腹痛で、検査をしても異常が見つからない場合、**過敏性腸症候群(IBS)**の可能性があります。有病率はおおむね10%前後と報告されており、めずらしい状態ではありません
  • IBSは代表的な心身症のひとつです。心身症とは「気のせい」ではなく、身体に実際に起きている不調に、ストレスなどの心理社会的要因が密接に関わっている状態を指します
  • 背景には脳腸相関(腸の動きの異常・腸の知覚過敏・予期不安による悪循環)が関与すると考えられています
  • 血便・体重減少・発熱・夜間の症状などがある場合や、50歳以上ではじめて発症した場合は、まず大腸の検査が推奨されます
  • 治療は保険診療の範囲で、生活習慣の調整・薬物治療・心理的アプローチを組み合わせて行います。効果の現れ方には個人差があります

「電車に乗るのが怖い」「トイレの場所を確認しないと出かけられない」——そんな状態が当たり前になってしまう前に、どうぞ一人で抱え込まず、てらすクリニックにっぽりまでご相談ください。

日暮里駅から徒歩1分、WEB予約も可能です

てらすクリニックにっぽりは、JR日暮里駅から徒歩1分の場所にあります。心療内科・精神科・内科・睡眠障害内科を標榜しており、月・火・木・金は9:30〜13:00/14:30〜19:00、土・日は9:30〜13:15/14:00〜16:00、水曜・祝日は休診です。

ストレスがかかると下痢や腹痛が起きる、通勤中の急な便意が不安、検査では異常がないのにお腹の不調が続く——そうしたお悩みは、当院にご相談ください。

当院は心療内科・精神科と内科を標榜しており、お腹の症状そのもののご相談と、その背景にある不安・緊張・気分の落ち込みへのご相談を、あわせてお受けできます。大腸内視鏡検査など、当院で対応していない検査が必要と判断した場合には、実施している医療機関をご紹介します。

ご予約はWEBから24時間受け付けています。土日も開院しているため、平日はお仕事や学校で時間がとりにくい方にも、ご相談いただきやすい環境です。

当院は、JR常磐線・山手線・京浜東北線、京成線、日暮里・舎人ライナーをご利用の方にも通いやすい立地です。また、西日暮里駅からも徒歩圏内のため、西日暮里周辺にお住まいの方や、東京メトロ千代田線をご利用の方にもご来院いただきやすい場所にあります。

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通勤・通学の前後や、お仕事帰りにも立ち寄りやすく、継続的な通院にも便利です。

※所要時間は目安です。時間帯・列車種別・運行状況により異なる場合があります。 ※診療日・診療時間は変更となる場合があります。最新の診療時間はWEB予約画面等でご確認ください。 ※この記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、診断・治療の効果を保証するものではありません。症状の現れ方や治療効果には個人差があります。

監修者情報

船橋 健吾
医師 船橋 健吾

東京医科歯科大学医学部医学科卒業(現・東京科学大学)
地方中核病院やメンタルクリニック・訪問診療クリニック・産業医として勤務
当院の分院であるてらすクリニックひきふね 院長
(内科・心療内科・精神科・訪問診療)

産業医やケアマネジャーとしても働きつつ、働く皆様や高齢者のお力になりたいと考えています。

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