心療内科・精神科・内科・睡眠障害内科

荒川区西日暮里2-19-4 たちばなビル9F 日暮里駅から徒歩1分 [MAP]

03-5604-5918
月・火・木・金 09:30〜13:00 / 14:30〜19:00
土・日 09:30〜13:15 / 14:00〜16:00
水・祝 休診
メニュー 閉じる

軽躁エピソードってどんな状態?【双極性障害Ⅱ型】(躁うつ病)

2026.6.7

はじめに

「うつ病だと思っていたけれど、実は双極性障害だった」ということがあります。うつ病と双極性障害、いわゆる躁うつ病は、どちらも気分の落ち込みや意欲低下などの「うつ状態」がみられるため、初期には似て見えることがあります。しかし、双極性障害では、うつ状態だけでなく、気分が高ぶる、活動量が増える、眠らなくても元気に動けるといった「躁」または「軽躁」の時期がみられる点が大きな違いです。

WHOは、双極性障害を、気分・エネルギー・活動性・思考に影響し、躁または軽躁エピソードとうつエピソードを特徴とする疾患と説明しています。 つまり、双極性障害では「気分が落ち込む時期」だけでなく、「いつもより調子がよすぎる時期」「活動的になりすぎる時期」も診断の手がかりになります。

インターネットなどで双極性障害Ⅱ型について調べると、「軽躁エピソードがある」と書かれていることがあります。では、軽躁エピソードとは具体的にどのような状態なのでしょうか。また、双極性障害Ⅰ型とⅡ型は何が違うのでしょうか。

うつ病と双極性障害は違う病気です

うつ病では、気分の落ち込み、興味や喜びの低下、疲れやすさ、眠れない、食欲が落ちる、集中できない、自分を責めるといった症状が中心になります。一方、双極性障害では、うつ状態に加えて、気分が高ぶる、活動量が増える、話が増える、睡眠時間が短くても平気になる、考えが次々に浮かぶ、浪費やリスクのある行動が増える、といった時期がみられることがあります。

ただし、初診時に必ずしも明確に区別できるとは限りません。双極性障害の診断では、症状の強さ、期間、頻度、生涯にわたる経過、家族歴などを確認していきます。ただし、双極Ⅱ型ではうつ状態をきっかけに受診し、軽躁エピソードが見過ごされることがあるとされています。

そのため、診療では「今つらい症状」だけでなく、過去にいつもと違って元気すぎた時期がなかったか、睡眠が少なくても平気だった時期がなかったか、周囲からテンションが高い・怒りっぽい・話しすぎると言われたことがなかったかを丁寧に確認していきます。

双極性障害Ⅰ型とⅡ型の違い

双極性障害Ⅰ型とⅡ型の大きな違いは、躁病エピソードがあるかどうかです。

双極性障害Ⅰ型では、躁病エピソードがみられます。躁病エピソードでは、気分の高揚や易怒性、活動性の増加が強く、仕事や家庭生活に大きな支障が出たり、入院が必要になったり、警察沙汰や周囲のトラブルになってしまうことがあります。双極Ⅰ型は躁病エピソードがある場合に診断され、躁病では症状が仕事・家庭・社会的活動に支障をきたすほど重く、時には入院を要することもあります。

一方、双極性障害Ⅱ型では、躁病エピソードはなく、大うつ病エピソードと軽躁エピソードがみられます。双極Ⅱ型の診断には少なくとも1回の大うつ病エピソードと少なくとも1回の軽躁エピソードが必要と説明しています。

ここで大切なのは、双極Ⅱ型が「軽い病気」という意味ではないことです。軽躁は躁病ほど目立たないことがありますが、うつ状態が長く続いたり、再発を繰り返したりすることで、生活や仕事に大きな影響が出ることがあります。

双極性障害Ⅱ型の診断基準と軽躁エピソードの定義

日本うつ病学会の双極性障害ガイドラインでは、現在用いられる国際的診断基準としてDSM-5やICD-11が挙げられ、双極性障害の診断は、躁病エピソード、軽躁病エピソード、抑うつエピソードを確認し、それらの組み合わせによってⅠ型・Ⅱ型を判断する構造と説明されています。

DSM-5をもとに軽躁エピソードを一般向けにまとめると、次のような状態です。

軽躁エピソードとは、普段とは明らかに違う、気分の高揚、開放的な気分、またはイライラした気分に加えて、活動性やエネルギーの高まりがみられる状態です。これが少なくとも4日間連続して、ほぼ毎日、1日の大半にわたって続くことが診断上の目安になります。 日本うつ病学会ガイドラインでも、DSM-5では軽躁病エピソードに4日間以上、躁病エピソードに1週間以上、抑うつエピソードに2週間以上の症状持続期間が求められると説明されています。

軽躁エピソードでは、以下のような症状がみられることがあります。

  • 自分に自信がつきすぎる、万能感が出る
  • 睡眠時間が短くても元気に感じる
  • いつもより話し続ける、早口になる
  • 考えが次々に浮かぶ、頭の回転が速すぎるように感じる
  • 注意がそれやすくなる
  • 仕事、勉強、趣味、人付き合いなどの活動量が増える
  • 買い物、投資、ギャンブル、性的行動など、あとで困る可能性のある行動が増える

DSM-5の軽躁エピソード基準では、気分の変化と活動性・エネルギーの増加に加えて、これらの症状が3つ以上、気分がイライラだけの場合は4つ以上みられることが示されています。

また、軽躁エピソードは、本人だけが「少し元気」と感じる程度ではなく、普段の本人とは違う変化として周囲からも観察されることがポイントです。一方で、躁病エピソードのように、社会生活や仕事に著しい障害をきたす、入院が必要になる、精神病症状が出る、というほど重くはありません。DSM-5の基準では、精神病症状がある場合は定義上、軽躁ではなく躁病として扱われます。

躁病エピソードと軽躁エピソードの違い

躁病エピソードと軽躁エピソードは、どちらも気分や活動性が高まる点では似ています。しかし、重症度と生活への影響が異なります。

比較項目躁病エピソード軽躁エピソード
持続期間の目安1週間以上、または入院が必要な場合は期間を問わない4日間以上
気分・活動性高揚、開放的、または易怒的で、活動性・エネルギーが著しく高まる高揚、開放的、または易怒的で、活動性・エネルギーが高まる
生活への影響仕事・家庭・社会生活に著しい支障が出ることがある明らかな変化はあるが、著しい機能障害や入院を要するほどではない
精神病症状幻覚・妄想などを伴うことがある精神病症状があれば軽躁ではなく躁病と判断される
本人の自覚問題と感じにくいことがある「調子がよい」と感じ、受診につながりにくいことがある

日本うつ病学会ガイドラインでも、躁病エピソードでは社会的・職業的機能に著しい障害がある、または自他への害を避けるため入院が必要になるなど生活上の著明な機能障害を伴うのに対し、軽躁病エピソードではそれが認められないことで区別されると説明されています。

軽躁エピソードの具体例

以下は、実在の患者さんの体験談ではなく、症状を理解するための架空例です。

例1:睡眠が短くても元気に動ける

普段は7時間ほど眠らないと疲れやすい人が、数日間、3〜4時間の睡眠でも「全然眠くない」「むしろ頭が冴えている」と感じます。夜中に仕事の資料を作ったり、部屋の模様替えを始めたり、新しい資格の勉強を急に始めたりします。

本人は「調子がいいだけ」と感じていても、周囲から見ると、休まず動き続けているように見えることがあります。

例2:話が止まらず、アイデアが次々出る

会議や家族との会話で、いつもより早口になり、話題が次々に変わります。「新しい事業を始めよう」「SNSを毎日更新しよう」「資格をいくつも同時に取ろう」など、普段より大きな計画を立てることもあります。

アイデアは多く出ますが、計画が広がりすぎて、途中で収拾がつかなくなることもあります。

例3:自信が強くなり、大きな決断を急ぐ

普段は慎重な人が、「今なら絶対に成功する」「自分には特別な才能がある」と感じ、転職、起業、高額な契約、投資などを短期間で決めようとすることがあります。

周囲が心配して止めても、「なぜ分かってくれないのか」と強く反発する場合もあります。

例4:買い物・投資・交友関係が大胆になる

普段なら買わない高額商品を購入する、クレジットカードの利用が増える、リスクの高い投資を始める、急に交友関係を広げる、SNSで過剰に発信する、といった行動がみられることがあります。

軽躁は「軽い躁」と書きますが、判断が普段より大胆になり、あとから金銭面や人間関係のトラブルにつながることがあります。

例5:明るい高揚ではなく、イライラが目立つ

軽躁エピソードは、必ずしも「明るく陽気」な形だけではありません。普段より怒りっぽくなり、家族や同僚の言葉に強く反応する、相手を説教する、細かいことが気になって口調がきつくなる、といった形で現れることもあります。

本人は「周りが遅い」「自分の考えが正しい」と感じていても、周囲からは「急に攻撃的になった」「いつもと違う」と見えることがあります。

うつ病と双極性障害では治療方針が異なります

うつ病と双極性障害は、見た目の症状が似ていても、治療方針が異なることがあります。

うつ病では、抗うつ薬や心理療法、生活リズムの調整などが治療選択肢になります。一方、双極性障害では、気分の波を安定させることが重要であり、気分安定薬や非定型抗精神病薬などを中心に治療を考えることがあります。双極性障害の治療では薬物療法と心理療法が用いられ、よく処方される薬として気分安定薬や非定型抗精神病薬を挙げています。

特に重要なのは、双極性障害で抗うつ薬を使う場合には慎重な判断が必要になることです。

うつ病のためには有効な抗うつ薬も双極性障害の病状を悪化させることがあるので注意が必要です。

そのため、うつ状態で受診した場合でも、過去に軽躁エピソードがなかったかを確認することは、治療方針を考えるうえでとても大切です。

「調子がよい時期」も診断の手がかりになります

双極性障害Ⅱ型では、うつ状態のつらさが目立ち、軽躁状態は見逃されやすい傾向があります。本人にとって軽躁の時期は、「元気だった」「仕事がはかどった」「人付き合いが増えた」という良い時期に感じられることがあるからです。

双極Ⅱ型の人はうつ状態をきっかけに治療を求めることが多く、軽躁エピソードは心地よく感じられたり、仕事や学校の能力が上がったように感じられたりすると説明しています。

診察では、落ち込んでいた時期だけでなく、次のような「調子がよすぎた時期」も大切な情報になります。

  • 睡眠時間が短くても疲れなかった
  • 予定を詰め込みすぎた
  • 話す量が増えた、早口になった
  • 買い物や投資が増えた
  • 急に大きな決断をした
  • イライラして周囲と衝突した
  • 周囲から「いつもと違う」と言われた

本人が問題と思っていなかった時期ほど、家族や周囲の人からの情報が診断の助けになることがあります。

診断は一度で決めつけず、経過をみながら行います

うつ病と双極性障害は、初診だけで明確に分けきれないことがあります。特に初診時にうつ状態だけが目立っている場合、過去の軽躁エピソードが十分に確認できないことがあります。

双極性障害が診断されるまでに何年もかかることがあり、双極Ⅱ型では抑うつエピソードだけに着目され、軽躁エピソードが見過ごされる場合がもあります。また、まったく軽躁エピソードの手がかりがなく治療を継続していく中で軽躁エピソードの要素が出てくる事もあります。

そのため診療では、最初から一度で決めつけるのではなく、睡眠、活動量、気分の波、対人関係、金銭面の変化、薬への反応などを継続的に確認しながら、必要に応じて診断を見直していきます。

受診時には、次のような記録が役立ちます。

  • 睡眠時間
  • 気分の上下
  • 活動量
  • 出費や契約の変化
  • 仕事や学校での変化
  • 家族や周囲から指摘されたこと
  • 薬を飲んだ後の気分の変化

気分の落ち込みが強い、死にたい気持ちがある、眠れない状態が続く、浪費や衝動的な行動が止まらない、周囲との衝突が急に増えたという場合は、早めに精神科・心療内科へ相談することが大切です。

まとめ

軽躁エピソードとは、単なる「元気な日」ではありません。普段とは明らかに違う気分の高まり、イライラ、活動性やエネルギーの増加が、少なくとも4日間続き、周囲から見ても変化として分かる状態です。

双極性障害Ⅱ型では、うつ状態に加えて軽躁エピソードがあるかどうかが診断の重要な手がかりになります。うつ病と双極性障害は、どちらもうつ状態がみられるため似て見えることがありますが、治療方針が異なるため慎重な診断が必要です。

特に「調子がよかった時期」「眠らなくても元気だった時期」「活動的になりすぎた時期」は、本人にとって問題と感じにくく、診察で伝え忘れやすい部分です。うつの症状だけでなく、過去の気分の波も含めて医師に伝えることで、より適切な診断と治療につながります。

てらすクリニックにっぽりでは

てらすクリニックにっぽりは、精神科・心療内科のクリニックです。うつ病と双極性障害、いわゆる躁うつ病の鑑別を含め、気分の落ち込み、不眠、意欲低下、集中力の低下、気分の波、イライラ、活動量の増加、軽躁エピソードが疑われる状態などについて診療を行っています。

双極性障害Ⅱ型では、うつ状態が目立つ一方で、軽躁エピソードは本人にとって「調子がよかった時期」「仕事がはかどった時期」と感じられ、見過ごされることがあります。そのため、初診の時点でうつ病と双極性障害をはっきり区別できない場合もあり、睡眠時間、活動量、気分の波、これまでの治療経過、ご家族や周囲から見た変化などを確認しながら、慎重に経過をみていくことが大切です。

「うつ病と言われているが、気分の波が気になる」
「眠らなくても元気に動ける時期がある」
「急に活動的になり、予定を入れすぎてしまう」
「話しすぎる、テンションが高い、怒りっぽいと言われたことがある」
「調子がよい時期に、買い物や大きな決断が増える」
「抗うつ薬を飲んでから、気分が高ぶったように感じたことがある」
「うつ病なのか、双極性障害なのか分からず不安」
「気分の波や不眠が続き、仕事や家庭生活に支障が出ている」

このような症状や経過でお困りの方は、てらすクリニックにっぽりへの受診をご検討ください。

診察では、現在のつらさだけでなく、過去の「調子がよすぎた時期」についても確認します。軽躁エピソードがあったかどうかは、双極性障害Ⅱ型を考えるうえで重要な手がかりになります。ご本人が問題と思っていなかった時期でも、睡眠が短くなっていた、活動量が増えていた、出費や対人トラブルが増えていた、周囲から「いつもと違う」と言われていた、といった変化が診断の参考になることがあります。

うつ病と双極性障害では、治療方針が異なることがあります。うつ病では抗うつ薬などが検討されることがありますが、双極性障害では気分の波を安定させるために、気分安定薬やその他の薬剤を含めて治療を考えることがあります。自己判断で薬を中止したり変更したりせず、これまでの経過を医師に伝えながら相談することが大切です。

また、甲状腺疾患、睡眠障害、薬剤やアルコールなどの影響、その他の身体疾患が気分の変化や不眠に関係していることもあります。精神科・心療内科以外での評価が必要な病気が疑われる場合には、症状や経過を確認したうえで、必要に応じて内科、睡眠専門外来、その他の医療機関へのご案内を検討します。

なお、強い希死念慮がある、衝動的な行動が止められない、幻覚や妄想がある、激しい興奮がある、ご本人や周囲の安全に差し迫った心配がある場合には、通常の外来予約ではなく、救急受診や入院対応が可能な医療機関への相談が必要になることがあります。

JR日暮里駅から徒歩1分、WEB予約は24時間受付可能です。

駅からすぐの場所にあるため、日暮里周辺にお住まいの方はもちろん、都内各地、千葉県・茨城県方面から通勤・通学で日暮里駅を利用される方にもご来院いただきやすい立地です。

ページ内の予約リンクからご予約いただけます。

沿線主要駅から日暮里駅までのアクセス目安

当院は日暮里駅から徒歩1分の場所にあり、JR常磐線・山手線・京浜東北線、京成線、日暮里・舎人ライナーをご利用の方にも通いやすい立地です。

北千住・松戸・柏方面、青砥・京成高砂方面など、沿線エリアからもご来院いただけます。

日暮里駅までの目安
北千住駅約6〜8分
松戸駅約16分
柏駅約25〜32分
南千住駅約5分
青砥駅約9〜14分
京成高砂駅約12〜17分

通勤・通学の前後や、お仕事帰りにも立ち寄りやすく、継続的な通院にも便利です。

気分の落ち込みだけでなく、「調子がよい時期」「眠らなくても元気な時期」「活動的になりすぎる時期」も、診断の大切な手がかりになります。うつ病なのか双極性障害なのか分からない、気分の波が気になる、軽躁エピソードに心当たりがあるという方は、一人で抱え込まずご相談ください。

※所要時間は目安です。時間帯・列車種別・運行状況により異なる場合があります。

監修者情報

船橋 健吾
医師 船橋 健吾

東京医科歯科大学医学部医学科卒業(現・東京科学大学)
地方中核病院やメンタルクリニック・訪問診療クリニック・産業医として勤務
当院の分院であるてらすクリニックひきふね 院長
(内科・心療内科・精神科・訪問診療)

産業医やケアマネジャーとしても働きつつ、働く皆様や高齢者のお力になりたいと考えています。

WEB予約