心療内科・精神科・内科・睡眠障害内科

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【双極性感情障害】リチウム製剤の妊娠時禁忌が解除された事について

2026.6.20

妊娠時の禁忌解除も含めて、知っておきたいこと

双極性感情障害は、以前「躁うつ病」とも呼ばれていた病気で、近年は「双極症」と表現されることもあります。気分が高ぶる躁状態・軽躁状態と、気分が落ち込むうつ状態を繰り返すことが特徴です。単なる気分の波ではなく、睡眠、活動量、判断力、対人関係、仕事や学業に大きな影響を及ぼすことがあります。

躁状態では、眠らなくても平気に感じる、話が止まらない、考えが次々に浮かぶ、誇大妄想が出る、大量に買い物をする、無謀な行動が増える、喧嘩っ早くなりトラブルになるといった変化がみられます。うつ状態では、気分の落ち込み、興味や喜びの低下、疲れやすさ、集中困難、自責感、希死念慮などが出ることがあります。躁とうつが混ざったような状態では、焦りや不眠が強い一方で「消えたい」と感じることもあり、早めの受診が重要です。

治療におけるリチウムの役割

双極性感情障害の治療では、気分の波を小さくし、再発を予防することが大切です。そういった効能を持つお薬が「気分安定薬」として使われます。

その中でリチウムは、長く使われてきた代表的な気分安定薬です。日本の添付文書上、炭酸リチウムは「躁病および躁うつ病の躁状態」を効能・効果としており、治療開始後は症状をみながら用量を調整します。

海外の診療ガイドラインでも、リチウムは双極性障害の長期治療における重要な選択肢と位置づけられています。双極性障害の再発予防を考える際、リチウムは「最も有効な長期治療」と説明され、長期薬物療法の第一選択として提示されています。

ただし、リチウムはすべての方に適している薬ではありません。症状や状況、腎機能、甲状腺機能、妊娠の可能性、併用薬、脱水の起こりやすさなどを確認しながら、主治医と相談して使う薬です。自己判断で増減したり、中止したりすることは再発や副作用のリスクにつながるため避けてください。

リチウムと自殺リスク低下のエビデンス

双極性感情障害では、うつ状態や混合状態の時期に自殺リスクが高まることがあります。リチウムについては、自殺予防効果を示唆する研究が古くから報告されています。また、その他の気分安定薬より自殺予防効果についてのエビデンスが豊富です。

リチウムには自殺リスクを下げる可能性を示すエビデンスがある一方で、「必ず自殺を防げる薬」と表現するのは正確ではありません。大切なのは、リチウムだけに頼るのではなく、症状の早期発見、服薬継続、睡眠リズムの安定、家族や支援者との連携、危機時の受診体制をあわせて整えることです。

なぜリチウムでは定期的な採血が必要なのか

リチウムは、血中濃度が大切なお薬です。有効治療濃度に達していなくても効果は発揮し辛いですし、濃度が上昇しすぎると中毒症となります。適性な治療濃度を維持することが重要です。

一般的に目標治療としては0.6~1.2mEq/Lを目指すことが多いですが、状況により変わります。

血清リチウム濃度が1.5mEq/Lを超えた場合には十分な臨床観察と、必要に応じた減量や休薬が必要です。2.0mEq/Lを超えると過量投与による中毒を起こすことがあるため、減量または休薬が必要とされています。

リチウム中毒の初期症状には、鎮静、口渇感、多飲水、食欲低下、吐き気、嘔吐、下痢、手の震え、眠気、錯乱、運動のぎこちなさ、発熱、発汗などがあります。進行すると、急性腎障害、電解質異常、けいれん、ミオクローヌスなどが起こることがあります。

また、脱水、食事や水分摂取量の不足、発熱・下痢・発汗、食塩制限、NSAIDsと呼ばれるロキソニンなどの痛み止め、利尿薬、ACE阻害薬、ARBなどは血清リチウム濃度に影響することがあります。薬局で市販薬を買う場合も、リチウムを服用中であることを必ず伝えてください。

採血では、リチウム濃度だけでなく、腎機能、甲状腺機能、カルシウムなども確認します。添付文書でも、腎機能検査、甲状腺機能検査、血清カルシウム測定などによる観察が求められています。

もともと妊娠時禁忌だった理由

炭酸リチウムは長年、日本の添付文書で「妊婦又は妊娠している可能性のある女性」には禁忌(実質的に投与禁止に近い)とされていました。その理由として、開発時に動物実験で催奇形性が報告されていたこと、またヒトの疫学研究で先天性心血管異常(エプスタイン奇形)の発生頻度増加が報告されていたことが挙げられます。

妊娠時禁忌が解除されたことの意義

2026年6月16日、厚生労働省(詳細な資料はこちら)は炭酸リチウム製剤について、電子化された添付文書の「禁忌」から「妊婦又は妊娠している可能性のある女性」を削除したことを示しました。これは「妊娠中でも安全に誰でも使える」という意味ではありません。改訂後も、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には「治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと」とされ、動物実験での催奇形作用やヒトでの心奇形の報告について注意喚起が残されています。
ただし、とくに病状が不安定でどうしてもリチウムを使用しないと病状が抑えられないケースについて治療選択肢が増えたと言えるでしょう。

今回の意義は、リスクを無視することではなく、病状悪化のリスクと薬剤リスクを個別に比較し、必要な場合には精神科・産科・新生児科が連携した管理下で選択肢を検討できるようになった点にあります。厚生労働省は、精神科医と周産期医療を担う医師が緊密に連携し、血中リチウム濃度測定による状態確認などが必要であるとしています。

国立成育医療研究センターも、双極症の女性が妊娠中に治療を中断した場合、80%以上が再発するとの報告があること、禁忌解除後も精神科と産科・新生児科の緊密な連携が求められることを示しています。妊娠を考えている方、妊娠がわかった方は、自己判断で薬を中止せず、できるだけ早く主治医と産科に相談してください。

双極性感情障害が心配な方へ:受診の目安

次のような変化がある場合は、精神科またはメンタルクリニックへの相談をおすすめします。

「眠らなくても平気な日が続く」「急に活動的になりすぎる」「浪費や衝動的な行動が増えた」「怒りっぽさが強い」「話が止まらない」「うつ状態を繰り返す」「抗うつ薬で気分が上がりすぎたことがある」「家族から“いつもと違う”と言われる」などがある場合です。

受診時には、いつから症状があるか、睡眠時間、気分の波、浪費やトラブルの有無、過去のうつ症状、服薬歴、家族歴、妊娠の可能性や妊娠希望をメモして持参すると診療に役立ちます。

希死念慮が強い、数日ほとんど眠らず行動が止まらない、幻覚や妄想がある、激しい興奮がある、自傷や他害の恐れがある場合は、予約日を待たずに救急外来、地域の精神科救急、119番など緊急の相談先につながってください。電話で相談したい場合、厚生労働省の「まもろうよ こころ」では、#いのちSOS、よりそいホットライン、こころの健康相談統一ダイヤルなどの相談窓口が案内されています。

双極性感情障害は、適切な診断と治療、生活リズムの調整、再発のサインへの早めの対応によって、症状の波を小さくしていくことが期待できる病気です。心配がある方は、一人で判断せず、早めに専門家へ相談してください。

双極性感情障害(躁うつ病)とリチウム治療について

日暮里駅から徒歩1分、WEB予約も可能です。

「気分が高ぶり、眠らなくても平気な時期がある」
「活動的になりすぎたり、予定を詰め込みすぎたりする」
「その後、強い落ち込みや意欲低下を繰り返している」
「うつ病なのか、双極性感情障害なのか分からず心配」

このような気分の波や治療に関する不安がある方は、診察でご相談いただけます。

双極性感情障害は、気分が高ぶる「躁状態・軽躁状態」と、気分が落ち込む「うつ状態」の両方がみられる病気です。うつ状態の時期が目立つこともあり、最初はうつ病との区別が難しい場合もあります。診察では、睡眠時間、活動量、気分の変化、衝動的な行動、これまでの経過などを確認しながら、慎重に診断や治療方針を検討します。

治療では、気分の波を小さくし、再発を防ぐことが大切です。リチウムは、双極性感情障害の治療で長く使われてきた代表的な気分安定薬の一つです。リチウムについては、自殺リスクの低下を示唆する研究も報告されていますが、「服用すれば必ず自殺を防げる」という意味ではありません。薬物療法に加えて、睡眠リズムの安定、早めの受診、家族や支援者との連携、つらさが強い時の相談先を整えておくことが重要です。

一方で、リチウムは血中濃度が高くなりすぎると中毒症状を起こすことがあるため、定期的な採血が必要な薬です。治療中は、血清リチウム濃度だけでなく、腎機能や甲状腺機能なども確認しながら、安全性に配慮して治療を進めます。

また、リチウムは以前、妊娠中または妊娠している可能性のある方には禁忌とされていましたが、添付文書上の扱いが見直されています。ただし、これは「妊娠中でも誰でも安全に使える」という意味ではありません。妊娠を希望している方、妊娠の可能性がある方、妊娠が分かった方は、自己判断で薬を中止せず、主治医に相談しながら治療方針を検討することが大切です。

てらすクリニックにっぽりは、JR日暮里駅から徒歩1分の場所にあります。
WEB予約は24時間受付可能です。

沿線主要駅から日暮里駅までのアクセス目安

当院は、JR山手線・京浜東北線・常磐線、京成線、日暮里・舎人ライナーをご利用の方にも通いやすい立地です。

また、西日暮里駅からも徒歩圏内のため、西日暮里周辺にお住まいの方や、東京メトロ千代田線をご利用の方にもご来院いただきやすい場所にあります。

日暮里駅までの目安
西日暮里駅約2分、徒歩でも約10分前後
北千住駅約6〜8分
松戸駅約16分
柏駅約25〜32分
南千住駅約5分
青砥駅約9〜14分
京成高砂駅約12〜17分

双極性感情障害では、気分が高ぶる時期とうつ状態の時期があり、症状の波が続く場合には継続的な通院が必要になることがあります。リチウムなどの気分安定薬を使用する場合には、診察に加えて定期的な採血が必要となることもあるため、通いやすい医療機関を選ぶことも大切です。

「うつ病だと思っていたが、気分が高ぶる時期もある」
「眠らなくても平気な時期と、強く落ち込む時期を繰り返している」
「リチウム治療や採血について相談したい」
「妊娠や将来の妊娠を考えた治療方針について相談したい」

このような段階でも、まずは状況を整理することが大切です。

ご予約は、以下のページよりお取りください。

【24時間WEB予約はこちら】

※初診で必ず診断が確定するとは限りません。診察では、現在の症状、これまでの経過、睡眠、活動量、服薬歴、身体疾患の有無、ご家族から見た変化などを確認しながら、必要な検査や治療方針を検討していきます。
※死にたい気持ちが強い、数日ほとんど眠れていない、興奮が強い、幻覚や妄想がある、自傷や他害のおそれがある場合は、WEB予約を待たず、救急外来、地域の精神科救急、119番など緊急の相談先につながってください。

監修者情報

船橋 健吾
医師 船橋 健吾

東京医科歯科大学医学部医学科卒業(現・東京科学大学)
地方中核病院やメンタルクリニック・訪問診療クリニック・産業医として勤務
当院の分院であるてらすクリニックひきふね 院長
(内科・心療内科・精神科・訪問診療)

産業医やケアマネジャーとしても働きつつ、働く皆様や高齢者のお力になりたいと考えています。

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