心療内科・精神科・内科・睡眠障害内科

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【うつ病】腸内細菌とうつ病は関係する?しない?【論文紹介】

2026.6.20

便微生物移植のラット研究から考える「腸とこころ」

うつ病・気分の落ち込みでお悩みの方へ

日暮里駅から徒歩1分、WEB予約も可能です

「朝起きても気分が重く、なかなか動き出せない」
「以前は楽しかったことに興味が持てない」
「眠れない、または寝ても寝ても疲れが取れない」
「食欲が落ちた、または食べすぎてしまう」
「仕事や学校、家事に集中できない」
「自分を責める考えが止まらない」
「うつ病なのか、一時的な落ち込みなのか分からない」

このような気分の落ち込みや意欲の低下、睡眠や食欲の乱れでお困りの方は、診察でご相談いただけます。

うつ病は、「気の持ちよう」や「性格の弱さ」ではありません。気分、睡眠、食欲、集中力、身体のだるさ、ものごとの感じ方などに影響する病気であり、日常生活に支障が出ることもありますうつ病は弱さや性格の問題ではなく、治療可能な病気であると説明しています。

当院では、うつ病、不安症、適応障害、睡眠の問題、発達障害、強迫性障害など、こころの不調について診療を行っています。


腸とこころはつながっている?

近年、「腸内環境」と「こころの健康」の関係が注目されています。

今回は、そんな腸とこころがつながっているかもしれないという可能性を示した興味深い論文がありご紹介します。

腸と脳は、神経、免疫、ホルモン、代謝物などを介して互いに影響し合うと考えられており、この関係は「腸脳相関」と呼ばれます。今回紹介する論文も、この腸脳相関に関する研究のひとつです。

紹介するのは、2021年に Scientific Reports に掲載された論文「Faecal microbiota transplantation from patients with depression or healthy individuals into rats modulates mood-related behaviour」です。研究チームは、うつ病患者さん、または健康な人の便由来の腸内細菌をラットに移植し、気分に関連する行動が変化するかを調べました。


どのような研究だったのか

どのような研究だったのか

この研究は、うつ病の患者さんの腸内細菌と、健康な人の腸内細菌では、ラットの行動に違いが出るのかを調べた動物実験です。

ここで行われたのは、人に対する治療ではありません。
人の便に含まれる腸内細菌をラットに移植し、その後のラットの行動を観察した研究です。

研究では、抗うつ薬を使っていない大うつ病性障害の女性患者さん5名と、健康な女性5名から便のサンプルを集めました。
その便に含まれる腸内細菌を、ラットに移植しました。

使われたラットには、2つの種類がありました。

ひとつは、もともとうつ病様の行動を示しやすいFSLラット。
もうひとつは、その比較対象となるFRLラットです。

つまり、研究の流れを簡単にいうと、次のようになります。

うつ病患者さんの腸内細菌をラットに移す。
健康な人の腸内細菌も、別のラットに移す。
その後、ラットの行動に違いが出るかを調べる。

ここで見ているのは、人間の「気分」そのものではありません。
ラットに行動テストを行い、活動性やあきらめやすさなど、うつ病と関連すると考えられる行動の変化を評価しています。

結果として、もともとうつ病様行動を示しやすいFSLラットでは、移植によるはっきりした差はみられませんでした。

一方で、比較対象のFRLラットでは、健康な人の腸内細菌を移植されたラットの方が、うつ病様行動が少ない傾向を示しました。

ここで大切なのは、
「うつ病患者さんの腸内細菌を入れたら、ラットがうつ病になった」
という単純な結果ではない
という点です。

この研究からいえるのは、むしろ、
健康な人の腸内細菌が、一部のラットで気分に関連する行動を良い方向に変えた可能性がある
ということです。

そのため、この論文は「腸内細菌とうつ病には関係があるかもしれない」と考える手がかりになります。
ただし、人に便微生物移植をすればうつ病が改善する、ということを示した研究ではありません。


腸内細菌の違いも観察された

腸内細菌の解析では、うつ病患者さん由来の移植群と健康な人由来の移植群の間で、いくつかの菌の違いが報告されました。

たとえば、うつ病患者さん由来の群ではRuminococcaceae科の一部やLachnospira属が多く、Coprococcus属が少ないことが示されています。Coprococcusは短鎖脂肪酸の産生に関わる菌として知られており、過去のうつ病関連研究でも注目されてきた菌のひとつです。

このような結果は、「腸内細菌が気分や行動に影響しうるかもしれない」という考え方を支持するものです。

一方で、この研究はラットを用いた基礎研究です。ヒトに対して便微生物移植を行えばうつ病が改善する、という結論を示したものではありません。また、腸内細菌を整えればうつ病が治ると短絡的にいい切るにはまだ足りないでしょう。


余談1:カレーを食べると元気が出る?

「カレーを食べると元気が出る」
「スパイスでセロトニンが出て、気分が良くなる」

このような話を聞いたことがある方もいるかもしれません。

たしかに、温かい食事、香り、辛味、食べる楽しさ、誰かと食卓を囲む時間などが、気分転換につながることはあります。食事と気分は、日常感覚としてもつながりを感じやすいテーマです。

もちろん、「カレーを食べればセロトニンが出て、うつ病が良くなる」と医学的に言い切ることはできません。

セロトニンは腸でも多く関わる物質ですが、腸で作られるセロトニンと、脳内で気分に関わるセロトニンを単純に同じものとして扱うことはできません。セロトニンは血液脳関門を通過しないため、中枢のセロトニンと末梢のセロトニンは区別して考える必要があるとされています。

つまり、カレーの話は「腸とこころを考える入り口」としては面白いものの、今回の便微生物移植の論文結果とは別の話です。


余談2:神田橋処方と「腸を整える」漢方

PTSDやフラッシュバックに対して、「神田橋処方」と呼ばれる漢方の組み合わせがあります。

公開されている医療機関の解説では、神田橋処方は桂枝加芍薬湯と四物湯の組み合わせとして紹介されており、桂枝加芍薬湯はもともと胃腸の症状に使われてきた薬です。

ここにも、「こころの症状に対して、腸や身体の状態を整える処方が使われることがある」という、腸とこころのつながりを考えたくなる要素があります。

ただし、これも今回の論文とは別の話です。神田橋処方がうつ病に効く、腸を整えればPTSDが治る、という意味ではありません。漢方薬も体質や症状、併用薬によって合う・合わないがあります。自己判断で開始したり、現在の薬を中止したりせず、医師に相談することが大切です。

この他にも腸と精神面の関連を検討する話は様々あり、今後も研究が進んでいき病気の仕組みや新しい治療が出来るといいですね。


腸内環境だけでうつ病を説明できるわけではない

今回の論文は、腸内細菌と気分・行動の関係を考えるうえで興味深い研究です。

しかし、うつ病は腸内細菌だけで説明できる病気ではありません。遺伝的要因、ストレス、睡眠、生活環境、身体疾患、ホルモン、炎症、脳内の神経伝達物質、社会的孤立など、多くの要素が関わります。

腸内環境を整えること、食事を見直すこと、睡眠や運動を整えることは、こころの健康を支える土台として大切です。

一方で、気分の落ち込みが長く続いている場合や、生活に支障が出ている場合は、食事や腸活だけで抱え込まず、医療機関で相談することも大切です。うつ病の治療には、薬物療法や精神療法が用いられ、多くの人に有効な治療選択肢があります。


受診をおすすめしたい状態

「受診するほどなのか分からない」という段階でも、まずは現在の状態を整理することが大切です。

次のような状態がある場合は、早めの相談をおすすめします。

・気分の落ち込みが2週間以上続いている
・以前楽しめていたことに興味が持てない
・眠れない、または寝すぎてしまう
・食欲や体重が大きく変化している
・仕事、学校、家事、人間関係に支障が出ている
・自分を責める考えが強くなっている
・涙が出る、焦りや不安が続く
・消えてしまいたい、死にたいという気持ちがある

死にたい気持ちがある、自分を傷つけるおそれがある、食事や睡眠が大きく崩れている場合は、早めに医療機関へご相談ください。差し迫った危険がある場合は、119番や救急外来など緊急の相談先につながることも大切です。Mayo Clinicも、自傷や自殺の危険がある場合は緊急の助けを求めるよう案内しています。


てらすクリニックにっぽりでご相談いただけます

てらすクリニックにっぽりは、JR日暮里駅から徒歩1分の場所にあります。
WEB予約は24時間受付可能です。

当院では、うつ病をはじめ、不安症、適応障害、睡眠の問題、発達障害、強迫性障害など、こころの不調について診療を行っています。

「うつ病かどうか分からない」
「薬を使うべきか相談したい」
「眠れない状態が続いている」
「仕事や学校に行くのがつらい」
「食欲や体調の変化も気になる」
「腸内環境や食事も含めて、生活全体を見直したい」

という段階でも、まずは診察で現在の症状や生活への影響を整理していきます。

ご予約は、以下のページよりお取りください。

【24時間WEB予約はこちら】

※初診で必ず診断が確定するとは限りません。診察では、現在の症状、症状が始まった時期、生活や仕事・学校への影響、睡眠、食欲、身体症状、服薬状況などを確認しながら、必要な治療や対応を検討していきます。
※腸内環境、食事、漢方、サプリメントなどに関心がある場合も、自己判断で薬を中止・変更せず、診察時にご相談ください。
※死にたい気持ちがある、自分を傷つけるおそれがある、強い不安で生活が成り立たない場合は、早めに医療機関や救急相談につながることが大切です。


沿線主要駅から日暮里駅までのアクセス目安

当院は日暮里駅から徒歩1分の場所にあり、JR常磐線・山手線・京浜東北線、京成線、日暮里・舎人ライナーをご利用の方にも通いやすい立地です。

また、西日暮里駅からも徒歩圏内のため、西日暮里周辺にお住まいの方や、東京メトロ千代田線をご利用の方にもご来院いただきやすい場所にあります。

日暮里駅までの目安
西日暮里駅約2分、徒歩でも約10分前後
北千住駅約6〜8分
松戸駅約16分
柏駅約25〜32分
南千住駅約5分
青砥駅約9〜14分
京成高砂駅約12〜17分

うつ病は、「気合いが足りない」「性格の問題」と思われてしまうことがあります。
しかし、気分の落ち込み、意欲の低下、睡眠や食欲の乱れ、集中力の低下が続いている場合、生活への影響を含めて一度整理することが大切です。

「このまま悪化しないか心配」
「一人ではどうしたらよいか分からない」
「受診するほどなのか分からないが、一度相談したい」

という方は、一人で抱え込まずご相談ください。

【WEB予約はこちら】


参考文献

Knudsen JK, Michaelsen TY, Bundgaard-Nielsen C, et al. Faecal microbiota transplantation from patients with depression or healthy individuals into rats modulates mood-related behaviour. Scientific Reports. 2021;11:21869.

監修者情報

船橋 健吾
医師 船橋 健吾

東京医科歯科大学医学部医学科卒業(現・東京科学大学)
地方中核病院やメンタルクリニック・訪問診療クリニック・産業医として勤務
当院の分院であるてらすクリニックひきふね 院長
(内科・心療内科・精神科・訪問診療)

産業医やケアマネジャーとしても働きつつ、働く皆様や高齢者のお力になりたいと考えています。

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