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【強迫性障害】鍵やガス栓を何度も確認してしまうのは病気?|戸締まり確認がやめられないとき

2026.7.12

「家を出たあと、鍵を閉めたか急に不安になる」 「ガスコンロを消したか、何度も見に行ってしまう」 「戸締まりの確認で、出発がいつも遅れてしまう」

こうした経験はありませんか。

確認すること自体は、決して悪いことではありません。むしろ慎重さの表れであり、誰にでもあることです。ただ、確認の回数や時間が増え、「大丈夫だと分かっているのにやめられない」という状態が続いているとしたら、その背景に強迫性障害(強迫症)という病気が関係していることがあります。

この記事では、誰にでもある確認と、受診を考えたい確認の違い、そして「何度確認しても安心できない」のはなぜなのかを解説します。

「鍵、閉めたっけ?」——確認すること自体は、誰にでもあります

出かけたあとに「あれ、鍵かけたかな」「アイロンつけっぱなしかも」と不安になり、家に戻って確かめた——そんな経験は、多くの方にあると思います。国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」でも、こうした経験は一般の方にもみられるものとしたうえで、確認が過度になり、何度確認しても安心できず生活が不便になっている場合には、強迫性障害の可能性がある、と紹介されています。

つまり、「確認するかどうか」ではなく、確認にどれだけの時間と心のエネルギーを取られ、生活にどれだけ影響が出ているかが、ひとつの分かれ目になります。

一般的な確認と、受診を考えたい確認の違い

目安になるのは、次の3つです。

1. 時間 確認に毎日長い時間がかかっている。外出の準備や就寝が大幅に遅れる、遅刻しそうになる、といった状態です。強迫性障害の診断では「1日1時間以上」がひとつの目安とされることがあります。

2. 苦痛 「大丈夫」と頭では分かっているのに、確認せずにいられない。確認した直後に、また不安がぶり返す。このような「分かっているのにやめられない」つらさがあるかどうかです。

3. 生活への支障 遅刻が増えた、外出がおっくうになった、仕事や家事が進まない、家族と口論になる——確認のために、生活や人間関係に影響が出ている状態です。

観点一般的な範囲の確認受診を考えたい確認
回数・時間1〜2回確かめれば済み、出発が数分遅れる程度何度確認しても終われず、外出や就寝が大幅に遅れる
気持ち確認すれば安心でき、あとは気にならない確認した直後にまた不安になる。大丈夫と分かっているのにやめられない
生活への影響ほとんどない遅刻、外出を避ける、作業が進まないなどの支障が出ている
周囲との関係特に変わらない家族に「閉めたよね?」と何度も確認し、気まずさや口論が生じている

3つの目安のどれかに心当たりがある場合、それは「性格の問題」や「気にしすぎ」ではなく、治療の対象になりうる状態かもしれません。

何度も確認してしまう背景にある「強迫性障害(強迫症)」とは

強迫性障害(現在は「強迫症」とも呼ばれます)は、不安な考えやイメージが自分の意思に反して繰り返し浮かび(強迫観念)、その不安を打ち消すための行動(強迫行為)をやめられなくなる病気です。

戸締まりに関する症状は「確認強迫」と呼ばれ、強迫性障害のなかでも代表的なタイプのひとつです。たとえば、次のような行動がみられることがあります。

  • 鍵、ガス栓、電気器具のスイッチ、窓などを何度も確認する
  • じっと見張る、指差しする、手で触る、写真を撮るなど、決まったやり方で確かめないと安心できない
  • 外出したあとに不安になり、確認のために家へ戻る
  • 家族に「閉めたよね?」「消したよね?」と繰り返し尋ねる
  • 車の運転後、「誰かにぶつかっていないか」と不安になり、来た道を戻って確かめる
  • メールの誤送信や書類の間違いが心配で、何度も見直してやり直す

強迫性障害は、決してまれな病気ではありません。国内で確立した統計はまだありませんが、海外の調査などから、人口のおよそ1〜2%(50〜100人に1人程度)にみられると推定されています。また、世界保健機関(WHO)の報告において、生活上の機能障害を引き起こす主要な疾患のひとつに挙げられていることも紹介されています。

一方で、「こんなことで悩んでいるなんて恥ずかしい」と感じて誰にも打ち明けられず、一人で抱え込んでしまう方が少なくないことも、この病気の特徴です。症状は本人の性格や努力不足によるものではなく、こころの不調からくる病気のひとつです。

なぜ、何度確認しても安心できないのか

確認をすれば、その場では「閉まっていた」と分かり、少し安心できます。ところが強迫性障害では、その安心が長続きせず、しばらくするとまた「本当に大丈夫だったか」という不安が戻ってきます。

確認によって不安が下がると、脳は「確認したから安心できた」と学習します。すると、次に不安が浮かんだときにも確認したくなり、確認の回数は少しずつ増えていきます。確認は短期的には安心をもたらしますが、長期的には「確認しないと安心できない」という悪循環を強めてしまうのです。

さらに、確認を繰り返すほど「きちんと確認できた」という記憶の確かさへの自信がかえって低下しやすい、という海外の心理学研究の報告もあります。「確認したはずなのに、確認した記憶があいまいに感じる」という感覚には、こうした仕組みが関係している可能性があります。

この悪循環の仕組みと、治療のなかで確認行為を段階的に減らしていく考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。 ▶【強迫性障害】強迫行為は無理にでも我慢したほうがいいの?

セルフチェック|確認行為で受診を考えたい目安

次の項目に心当たりがないか、確認してみてください。

  • 戸締まり・ガス栓・電気・窓などの確認に、毎日長い時間がかかっている
  • 家を出たあと、不安になって確認のために戻ることがある
  • 確認した直後に「本当に大丈夫だったか」とまた不安になる
  • 「大丈夫」と頭では分かっているのに、確認せずにいられない
  • 写真を撮る、指差しする、じっと見張るなど、決まったやり方をしないと落ち着かない
  • 家族に「閉めたよね?」「消したよね?」と何度も聞いてしまう
  • 確認のせいで遅刻しそうになる、外出がおっくうになっている
  • 確認を減らそうとすると、強い不安や落ち着かなさが出る

※このチェックリストは気づきのための目安であり、診断に代わるものではありません。当てはまる項目の数だけで病気かどうかが決まるものでもありません。気になる状態が続いている場合は、医療機関でご相談ください。

受診までの間に心がけたいこと

自己流で一気にやめようとしないでください。 確認行為を減らしていくことは治療のうえで大切ですが、自己流で急にすべてやめようとすると、不安が強まり、かえって生活が不安定になることがあります。減らし方には段階的な進め方があり、それは診察のなかで一緒に検討できます。

ご自身を責めないでください。 確認がやめられないのは、意志の弱さや性格の欠点ではありません。「またやってしまった」と責めるほど気持ちが追い込まれ、症状がつらく感じられることもあります。

確認の記録をつけてみてください。 どんな場面で、何を、何回くらい、どのくらいの時間をかけて確認しているか。簡単なメモがあると、診察で状況を整理しやすくなります。

また、睡眠不足や疲労、強いストレスがあると症状が強まりやすいといわれています。できる範囲で、睡眠と休息を確保することも大切です。

医療機関ではどんなことを相談できますか?

初診では、確認の内容や回数・かかっている時間、症状が始まった時期、生活や仕事・学校への影響、気分の落ち込みや睡眠の状態などを伺いながら、現在の状態を一緒に整理していきます。初診で必ず診断が確定するとは限りませんが、「まず状況を整理する」こと自体が最初の一歩になります。

治療についてはSSRIなどの薬物療法と、曝露反応妨害法(ERP)を含む認知行動療法が、成人の強迫症に対する主要な治療選択肢としてあげられます。治療に取り組むことで、症状の軽減をはかっていきます(効果の現れ方には個人差があります)。どのような進め方が合っているかは、症状の程度やご希望を伺いながら、診察のうえでご相談ください。

「受診するほどなのか分からない」という段階でのご相談も差し支えありません。

よくあるご質問

Q. 確認の回数はそれほど多くない気がします。それでも受診していいのでしょうか? A. はい。回数だけで判断されるものではありません。確認にかかる時間、「やめたいのにやめられない」つらさ、生活への影響が目安になります。ご自身では軽いと感じる段階でのご相談も差し支えありません。

Q. 昔から心配性な性格だと思ってきました。性格と病気は、どう違うのですか? A. 慎重に確認する習慣そのものは長所でもあり、性格の範囲であれば治療は必要ありません。区別のポイントは、「自分でも過剰だと分かっているのにやめられない」苦痛があるか、そして生活に支障が出ているかです。診察では、これまでの経過を伺いながら一緒に整理していきます。

Q. 車を運転したあと、「誰かをひいてしまったのでは」と不安になり、来た道を戻って確認することがあります。これも関係ありますか? A. 「誰かを傷つけたかもしれない」という不安は加害恐怖と呼ばれ、それを打ち消すための確認行為とあわせて、強迫性障害でよくみられる症状のひとつとして知られています。このような考えが頭に浮かぶことと、実際に危険な行動をとることとは別のものです。同じようにご相談いただけます。

Q. 家族が一日中確認をしていて心配です。本人が受診を嫌がる場合は、どうすればいいですか? A. 責めたり、無理に確認をやめさせようとしたりすると、かえってご本人の不安が強まることがあります。ご本人の受診がすぐに難しい場合は、まずご家族から状況をご相談いただく方法もあります。当院へのご相談についてはお問い合わせください。あわせて、こちらの記事も参考になさってください。

Q. 治療では、必ず薬を使うのですか? A. 治療にはSSRIなどの薬物療法と、認知行動療法などの心理的なアプローチがあり、どちらを中心にするか、組み合わせるかは、症状の程度やご希望によって異なります。お薬への不安やご希望も含めて、診察のなかでご相談ください。

まとめ

戸締まりやガス栓を確かめること自体は、誰にでもある自然な行動です。ただ、確認に長い時間がかかっている、「大丈夫」と分かっているのにやめられない、生活や人間関係に影響が出ている——そんなときは、背景に強迫性障害(強迫症)が関係していることがあります。

確認は一時的には安心をもたらしますが、繰り返すほど「確認しないと安心できない」という悪循環を強めてしまうことがあります。だからこそ、自己流で無理にやめようとするのではなく、専門家と一緒に、状態の整理から始めることが大切です。

確認行為・強迫性障害でお悩みの方へ|日暮里駅から徒歩1分、WEB予約も可能です

「戸締まりの確認で、家を出るのにいつも時間がかかる」 「外出したあと、鍵が気になって戻ってしまう」 「ガス栓や電気を、何度も確認してしまう」 「家族に『閉めたよね?』と何度も聞いてしまう」 「大丈夫と分かっているのに、確認がやめられない」 「病気なのか、ただの心配性なのか分からない」

このような確認行為や繰り返す不安でお困りの方は、診察でご相談いただけます。

てらすクリニックにっぽりは、JR日暮里駅から徒歩1分の場所にあります。WEB予約は24時間受付可能です。

当院では、強迫性障害をはじめ、不安症、うつ病、適応障害、発達障害、睡眠の問題など、こころの不調について診療を行っています。

「確認をやめたいのにやめられない」 「確認に時間がかかり、生活に支障が出ている」 「家族を巻き込んでしまい、関係がぎくしゃくしている」 「薬を使うべきか相談したい」 「受診するほどなのか分からないが、一度相談したい」

という段階でも、まずは現在の症状や生活への影響を整理することが大切です。

ご予約は、以下のページよりお取りください。

【24時間WEB予約はこちら】

※初診で必ず診断が確定するとは限りません。診察では、確認行為の内容や回数、症状が始まった時期、生活や仕事・学校への影響、睡眠、気分の落ち込み、服薬状況などを確認しながら、必要な治療や対応を検討していきます。 ※確認行為を急にすべてやめようとすると、不安が強くなりすぎることがあります。自己流で無理に我慢するのではなく、症状の程度に応じて段階的に対応することが大切です。 ※死にたい気持ちがある、強い不安で生活が成り立たない、食事や睡眠が大きく崩れている場合は、早めに医療機関へご相談ください。

当院は日暮里駅から徒歩1分の場所にあり、JR常磐線・山手線・京浜東北線、京成線、日暮里・舎人ライナーをご利用の方にも通いやすい立地です。また、西日暮里駅からも徒歩圏内のため、西日暮里周辺にお住まいの方や、東京メトロ千代田線をご利用の方にもご来院いただきやすい場所にあります。

沿線主要駅から日暮里駅までのアクセス目安

日暮里駅までの目安
西日暮里駅約2分、徒歩でも約10分前後
南千住駅約5分
北千住駅約6〜8分
青砥駅約9〜14分
京成高砂駅約12〜17分
松戸駅約16分
柏駅約25〜32分

参考情報

  • 国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト」強迫性障害
  • 日本不安症学会・日本神経精神薬理学会「強迫症の診療ガイドライン」

監修者情報

船橋 健吾
医師 船橋 健吾

東京医科歯科大学医学部医学科卒業(現・東京科学大学)
地方中核病院やメンタルクリニック・訪問診療クリニック・産業医として勤務
当院の分院であるてらすクリニックひきふね 院長
(内科・心療内科・精神科・訪問診療)

産業医やケアマネジャーとしても働きつつ、働く皆様や高齢者のお力になりたいと考えています。

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