心療内科・精神科・内科・睡眠障害内科

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本人が精神科・心療内科受診を拒むときの対応|逆効果になるNG対応と、上手な勧め方

2026.7.12

「明らかに様子がおかしいのに、『病院には行かない』の一点張り」 「受診の話を出すたびに、怒らせてしまう」 「このまま様子を見ていていいのか、毎日不安になる」

ご家族の心の不調に気づいたとき、多くの方が最初にぶつかるのが、本人が受診を嫌がるという壁です。心配すればするほど言葉が強くなり、かえって関係がこじれてしまう——そんな悪循環に疲れてしまっているご家族も少なくありません。

最初に、いちばんお伝えしたいことを書きます。受診を嫌がるのは、決して珍しいことではありません。そして、本人がまだ受診できなくても、ご家族にできることはあります。

この記事では、本人が受診を嫌がる理由、逆効果になりやすいNG対応、受診につながりやすい声のかけ方のコツ、そして本人がどうしても動かないときにご家族だけでできることを解説します。

※もの忘れが増えたなど、認知症が心配なご家族への受診の勧め方については、別の記事で解説しています(【該当記事へのリンクを挿入】)。この記事では、気分の落ち込み・不安・不眠・ひきこもりなど、認知症以外の心の不調を念頭にお話しします。

なぜ受診を嫌がるのか|よくある5つの理由

声のかけ方を考える前に、まず「なぜ嫌がるのか」を整理してみましょう。理由によって、効果的なアプローチが変わってくるからです。

1. 自分が「病気」だと思っていない

「疲れているだけ」「自分の気持ちの問題だから」——ご本人がそう考えているケースは、とても多くみられます。

うつ状態では、思考力や判断力そのものが低下するため、「自分は助けを必要としている」と客観的にとらえること自体が難しくなることがあります。また、統合失調症や双極性障害の一部では、自分が病気だと感じにくいこと(病識を持ちにくいこと)自体が、症状のひとつとして知られています(詳しくは「統合失調症とは?」の記事をご覧ください)。

つまり、本人が認めないのは「強情だから」ではなく、病気の影響で認めにくくなっている場合があるのです。この視点を持てると、ご家族の側も少し冷静になれます。

2. 精神科・心療内科への抵抗感(偏見・スティグマ)

「精神科に行くほどじゃない」「行ったら"そういう人"になってしまう気がする」——心の医療への偏見や恥の意識は、いまも受診の大きなハードルです。特に、ご年配の方や、弱音を吐かずに頑張ってきた方ほど、抵抗感が強い傾向があります。

「通院歴が残ると、仕事や保険で不利になるのでは」という漠然とした不安が背景にあることもあります。

3. 薬への不安

「薬漬けにされるのでは」「一度飲み始めたら、やめられなくなるのでは」——お薬への誤解や不安から、受診そのものを避けている方もいます。

実際には、お薬を使うかどうか、どう使うかは診察のうえで相談しながら決めていくものですし、薬を使わない選択肢を含めて検討できます。抗うつ薬への不安については、「抗うつ薬で太るのは本当?」の記事もあわせてご覧ください。

4. 受診する「気力」そのものが残っていない

うつ状態が深まると、外出や入浴、着替えといった日常の行動さえ、大きな負担になります。「行きたくない」のではなく、「行けない」状態です。

病院を調べて、電話をかけて、予約を取り、身支度をして出かける——この一連の段取りが、今の本人には高すぎるハードルになっていることがあります。

5. 現実的な心配(時間・費用・仕事)

「平日は仕事を休めない」「お金がかかりそう」「職場に知られたくない」といった、現実的な事情が理由のこともあります。

この場合は、情報がそのまま解決の糸口になります。土日に診療している医療機関を選ぶ、心療内科・精神科の診察は基本的に保険診療であること、通院が続く場合は医療費の自己負担を軽減する制度(自立支援医療)があることなどを伝えると、心配が一つずつ小さくなっていきます(制度の詳細は「自立支援医療制度って何?」の記事をご覧ください)。

逆効果になりやすいNG対応

良かれと思っての言葉が、かえって本人を頑なにしてしまうことがあります。先に「避けたい対応」を押さえておきましょう。

正論で追い詰める 「病気なんだから病院に行くべき」「行かないと悪くなる一方だよ」——内容は正しくても、追い詰められた本人は「分かってもらえない」と心を閉ざしがちです。説得は、押せば押すほど相手が反対側に引っ張り返す「綱引き」になりやすいものです。

病名を決めつける 「あなたは絶対うつ病だよ」と断定されると、本人は自分を否定されたように感じたり、逆に「うつ病なんかじゃない」と意固地になったりします。診断は医師に委ね、ご家族は「変化」と「心配」を伝える役割に徹するのがおすすめです。

「頑張れ」「気の持ちようだよ」と励ます・軽く見る ご本人は、すでに頑張り続けて力尽きかけていることが少なくありません。励ましや根性論は、さらなる重荷になり、「この人には話せない」と感じさせてしまうことがあります。

だまして連れて行く 「買い物に行こう」と連れ出して、そのまま病院へ——お気持ちは分かりますが、原則としておすすめできません。強い不信感を招き、仮にその日は診察できても、その後の通院や治療の継続がかえって難しくなるおそれがあります(生命に関わる緊急時は例外です。後述します)。

放置する・様子を見続ける 角を立てたくなくて、何か月も様子を見てしまうケースもあります。ただ、精神的な不調は、未治療の期間が長引くほど回復に時間がかかりやすいことが指摘されています(詳しくは「精神病未治療期間(DUP)とは」の記事をご覧ください)。本人のペースを尊重する「見守り」と、問題の「先延ばし」は別物です。

受診につながりやすい声のかけ方|7つのコツ

1. タイミングを選ぶ

症状が激しく出ているときや、口論の直後は避けましょう。本人が比較的落ち着いているとき、そして何より、本人自身が「眠れない」「しんどい」とつらさを漏らした瞬間が、いちばんのチャンスです。

2. 「病気」ではなく「困りごと」を入り口にする

「心療内科に行こう」と正面から切り出すより、本人が自覚している困りごとを入り口にするほうが、ずっと受け入れられやすくなります。

  • 「最近眠れていないみたいだから、眠りの相談だけでもしてみない?」
  • 「頭痛がずっと続いてるよね。一度、お医者さんに診てもらわない?」
  • 「食欲が落ちてるの、何か体の原因がないか調べてもらおうよ」

心の不調は、不眠・頭痛・食欲不振・倦怠感といった体の症状として表れることが多いものです。「メンタルの受診」ではなく「体の症状の相談」という形にすると、本人の心理的なハードルはぐっと下がります(不眠を入り口にした相談については、「眠れない・不眠症」の記事もご覧ください)。

3. 主語を「私」にして、心配を伝える

「あなたはおかしいよ」と相手を主語にするのではなく、「私は心配している」と自分を主語にして伝えます

  • ×「そんな状態じゃだめだよ。病院に行きなよ」
  • ○「最近眠れていないのを見ていて、私はすごく心配なんだ」

同じ内容でも、責められていると感じさせずに、気持ちだけをまっすぐ届けることができます。

4. 具体的な変化を、責めずに伝える

「ずっと様子が変だよ」という漠然とした指摘より、観察した事実を淡々と伝えるほうが、本人の腑に落ちやすくなります。

  • 「ここ2週間、夜中に何度も起きてるよね」
  • 「先月から、食事の量が半分くらいになってると思う」

言われた本人が「言われてみれば、そうかもしれない」と、自分の変化に気づくきっかけになります。

5. ハードルをできるだけ下げる

本人が「受診=長い通院と薬」と身構えている場合、次のような言葉が効くことがあります。

  • 1回だけ、話を聞いてもらうだけでいいから」
  • 「合わなかったら、次から行かなくていいから」
  • 「薬を飲むかどうかは、話を聞いてから決めればいいよ」
  • 「健康診断みたいなものだと思って」

「一度行ったら最後」ではなく、「試しに1回」なら応じられる、という方は少なくありません。

6. 段取りは家族が引き受ける

気力が落ちている本人にとって、病院を調べ、予約し、出かけるまでの段取りは、それ自体が大きな負担です。

  • 「予約はこっちで取っておくよ」
  • 「当日は一緒に行くよ」
  • 「WEBで予約できるみたいだよ」

実務面をご家族が肩代わりするだけで、受診までの距離は大きく縮まります。

7. 一度で決めようとしない

一度断られても、そこで終わりではありません。無理押しせずにいったん引き、「気が変わったら、いつでも言ってね」と扉を開けたままにしておきましょう。そして数日〜数週間おいて、本人の困りごとが強まったタイミングで、また軽く触れてみる。

イメージは**「種をまいて、待つ」**です。関係を壊さないことが、遠回りに見えて、受診へのいちばんの近道になります。

声のかけ方のポイント(おさらい)

  • 落ち着いているとき・本人がつらさを漏らしたときに
  • 「病気」ではなく、不眠や頭痛などの「困りごと」を入り口に
  • 主語は「私」。心配している気持ちを伝える
  • 具体的な変化を、責めずに伝える
  • 「1回だけ」「合わなければやめていい」でハードルを下げる
  • 予約・付き添いなどの段取りは家族が引き受ける
  • 断られても関係を保ち、次の機会を待つ

本人がどうしても動かないとき|ご家族だけでできること

あの手この手で勧めても、本人が動かない——そんなときでも、打つ手がなくなったわけではありません。

まずはご家族だけで医療機関に相談する

ご本人が来られなくても、ご家族が先に相談するという方法があります。これまでの経過や本人の状態を整理し、「どう受診につなげるか」を一緒に考えるだけでも、見通しが立ち、ご家族の負担は軽くなります。当院でもご家族からのご相談は可能ですので、ご希望の場合は、まずお電話にてお問い合わせください。

公的な相談窓口を利用する|荒川区・東京都の場合

  • 荒川区の「こころの健康相談」:荒川区では、心の不調を抱えるご本人だけでなく、ご家族からの相談にも対応しています。保健師などの専門職に無料で相談でき、面接相談を希望する場合は、事前に電話で日時を約束しておくことがすすめられています。まずは区の窓口へお電話ください。
  • 東京都立精神保健福祉センター(台東区):荒川区を含む東京都東部エリアを担当する、心の健康の専門相談機関です。「こころの電話相談」(電話:03-3844-2212、祝休日を除く月〜金曜の9時〜17時)では、ご家族からのご相談も無料で受け付けています。
  • 地域包括支援センター(ご本人が高齢の場合):ご本人がおおむね65歳以上の高齢の方なら、地域包括支援センターが心強い相談先です。荒川区では8つの地域(南千住東部・南千住西部・荒川・町屋・東尾久・西尾久・東日暮里・西日暮里)に設置されており、保健師・看護師や社会福祉士などの専門職が、高齢者ご本人とご家族からの相談に応じています。荒川区では、地域包括支援センターを通じて、専門医による「心の疲れ・物忘れ専門相談」(要予約)を利用できる仕組みもあります。

いずれも費用がかからず、「まだ受診と決めたわけではない」段階でも相談しやすい窓口です。

かかりつけ医など、第三者から勧めてもらう

家族の言葉には反発しても、第三者——特に医師の言葉なら、すっと受け入れられることがあります。内科のかかりつけ医がいれば、あらかじめ事情を伝えたうえで、診察の際に専門医への相談を勧めてもらう方法があります。お勤めの方なら職場の産業医や保健師、学生さんならスクールカウンセラー、介護サービスを利用中の高齢の方なら、ケアマネジャーや訪問看護師も力になってくれます。

情報を「そっと置いておく」

面と向かって勧められると反発してしまう方でも、記事やパンフレットを自分のペースで読むうちに、気持ちが変わっていくことがあります。この記事や、本人の症状に近いテーマの記事を、さりげなく共有しておくのもひとつの方法です。

ご家族自身のケアも、同じくらい大切です

受診の説得が長期戦になると、支える側のご家族が先に疲れ果ててしまうことが少なくありません。ご家族自身に不眠や気分の落ち込みが続いているなら、ご家族が受診・相談することをためらわないでください。ご家族が先に専門家とつながっておくことは、共倒れを防ぎ、結果的にご本人を支える土台にもなります。

こんなときは、説得より安全を優先してください

次のようなサインがみられるときは、「本人の同意をじっくり待つ」段階ではありません。速やかに専門機関につないでください。

  • 「死にたい」「消えてしまいたい」と口にする、またはそれをほのめかす言動がある(身辺整理をする、大切な物を人に譲る、など)
  • 食事や水分がほとんど取れておらず、急激に衰弱している
  • 幻覚や妄想が強く、興奮がおさまらない、安全が保てない
  • 自分や他人を傷つけてしまいそうな状態にある

平日の日中であれば、かかりつけの医療機関や当院、荒川区の相談窓口にご連絡ください。夜間・休日に精神科の救急受診が必要なときは、東京都の精神科救急医療情報センター(電話:03-5272-0303、平日17時〜翌9時、土日祝は24時間)で、受診できる医療機関の相談・案内を受けられます。生命の危険が迫っていると感じる場合は、ためらわず救急(119番)や警察(110番)へ連絡してください。

こうした緊急時の対応は、「だまし」や「無理強い」とは違います。ご本人の安全を守るために必要な行動です。

よくあるご質問

Q. 本人に内緒で、家族だけで相談してもいいのでしょうか?

A. 家族相談を検討ください。。ご本人の同意がまだ得られない段階で、ご家族が先に状況を相談し、受診へのつなげ方を検討することは珍しくありません。当院でのご相談も可能ですので、ご希望の場合はまずお電話にてご連絡ください。荒川区の「こころの健康相談」など、公的な窓口を利用する方法もあります。

Q. 無理やりにでも連れて行ったほうがいいですか?

A. 原則としておすすめできません。不信感が残ると、その後の通院や治療の継続がかえって難しくなるおそれがあります。ただし、生命に関わる緊急時は例外です。安全の確保を最優先して110や119にすぐにご相談ください。

Q. 本人が「内科なら行ってもいい」と言います。意味はありますか?

A. ありますが受診先に精神的な問題かもしれないと相談すると良いでしょう。不眠や食欲低下、倦怠感などの背景に、甲状腺の病気や貧血といった体の要因が隠れていることもあり、その確認自体がとても大切です。当院は心療内科・精神科とあわせて内科も標榜しているため、「体の相談」を入り口に受診していただけます。

Q. 何度勧めても断られます。もう諦めるしかないのでしょうか?

A. 諦める必要はありませんが、ご家族だけで抱え込む段階は、いったん終わりにしましょう。ご家族からのご相談、公的な窓口、かかりつけ医からの後押しなど、第三者を交えた方法に切り替えるタイミングです。そして、ご家族自身の休息と相談も同じくらい大切にしてください。

まとめ

  • 受診を嫌がる背景には、病気の影響で自覚を持ちにくいこと、偏見、薬への不安、気力の低下、時間や費用の心配など、いくつもの理由があります
  • 正論での説得、病名の決めつけ、「頑張れ」という励まし、だまして連れて行くことは、逆効果になりやすい対応です
  • 「病気」ではなく不眠や頭痛などの「困りごと」を入り口に、「私は心配している」という伝え方で、「1回だけ」とハードルを下げて誘うのがコツです
  • 本人が動けなくても、家族相談・公的窓口・かかりつけ医経由など、ご家族だけでできることがあります
  • 「死にたい」という言葉や急激な衰弱など、緊急のサインがあるときは、説得ではなく、すぐに専門機関へ連絡してください

ご本人を受診につなげることと同じくらい、ご家族が一人で抱え込まないことが大切です。「まだ本人は行くと言っていないけれど…」という段階からで構いませんので、てらすクリニックにっぽりまでご相談ください。

日暮里駅から徒歩1分、WEB予約も可能です

てらすクリニックにっぽりは、JR日暮里駅から徒歩1分の場所にあります。心療内科・精神科・内科・睡眠障害内科を標榜しており、月・火・木・金は9:30〜13:00/14:30〜19:00、土・日は9:30〜13:15/14:00〜16:00、水曜・祝日は休診です。

眠れていない、食欲が落ちている、部屋にこもりがち——ご家族の様子の変化が気になる方、受診の勧め方に迷っている方は、当院へご相談ください。

心の不調は、不眠・頭痛・食欲不振・倦怠感など、体の症状として表れることが少なくありません。てらすクリニックにっぽりでは、心療内科・精神科に加えて内科診療も行っているため、「まずは体の検査から」という形での受診が可能です。精神科への抵抗感が強いご本人にとっても、入り口にしていただきやすい体制です。土日も診療しており、WEB予約にも対応しているため、お仕事のあるご本人・ご家族にも受診いただきやすくなっています。

必要に応じて、ご家族から見た変化や経過、睡眠・食事の状態などを伺いながら、体の要因の確認、治療の選択肢のご提案、自立支援医療などの制度のご案内、専門的な対応が必要と考えられる場合の医療機関との連携を含めて検討します。ご本人の受診がすぐには難しい場合、ご家族からのご相談も可能ですので、まずは当院までお電話にてお問い合わせください。

当院は、JR常磐線・山手線・京浜東北線、京成線、日暮里・舎人ライナーをご利用の方にも通いやすい立地です。また、西日暮里駅からも徒歩圏内のため、西日暮里周辺にお住まいの方や、東京メトロ千代田線をご利用の方にもご来院いただきやすい場所にあります。

沿線主要駅から日暮里駅までのアクセス目安

日暮里駅までの目安
西日暮里駅約2分、徒歩でも約10分前後
北千住駅約6〜8分
松戸駅約16分
柏駅約25〜32分
南千住駅約5分
青砥駅約9〜14分
京成高砂駅約12〜17分

通勤・通学の前後や、お仕事帰りにも立ち寄りやすく、継続的な通院にも便利です。

※所要時間は目安です。時間帯・列車種別・運行状況により異なる場合があります。 ※診療日・診療時間は変更となる場合があります。最新の診療時間はWEB予約画面等でご確認ください。

監修者情報

船橋 健吾
医師 船橋 健吾

東京医科歯科大学医学部医学科卒業(現・東京科学大学)
地方中核病院やメンタルクリニック・訪問診療クリニック・産業医として勤務
当院の分院であるてらすクリニックひきふね 院長
(内科・心療内科・精神科・訪問診療)

産業医やケアマネジャーとしても働きつつ、働く皆様や高齢者のお力になりたいと考えています。

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