心療内科・精神科・内科・睡眠障害内科

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統合失調症の症状やよくある質問について

2026.7.11

「誰もいないのに、話し声や悪口が聞こえる」 「周りの人が自分の噂をしている、監視されている気がする」 「自分の考えが周囲に筒抜けになっているようで怖い」

こうした体験が続くと、強い不安を感じますし、「こんなことを話したら変に思われるのでは」と、誰かに相談すること自体をためらってしまうかもしれません。あるいはご家族から見て、「独り言が増えた」「部屋にこもりがちになった」「最近様子が変わった」と心配されているケースもあるでしょう。

このような症状の背景のひとつに、統合失調症という病気があります。統合失調症は約100人に1人がかかるとされる、決してまれではない病気です。そして、適切な治療によって症状を和らげ、自分らしい生活を取り戻していくことが十分に目指せる病気でもあります。そのために何より大切なのが、できるだけ早く相談・治療につながることです。

この記事では、統合失調症の症状や初期のサイン、原因、治療の内容、そしてご家族の対応のポイントについて解説します。

統合失調症とは

統合失調症は、考えや気持ちをまとめる脳のはたらきが低下し、幻覚(実際にはないものを知覚する)や妄想(訂正のきかない誤った確信)などの症状が現れる病気です。

生涯のうちにかかる人は約100人に1人とされ、10代後半から30代にかけて発症することが多いといわれています。進学・就職・一人暮らしなど、環境が大きく変わる時期と重なりやすいのも特徴です。特別な人がかかる病気ではなく、誰でもかかりうる病気です。

なお、以前は「精神分裂病」と呼ばれていましたが、誤解や偏見を生みやすい名称であったことから、「統合失調症」へと変更されました。

統合失調症の主な症状

症状は大きく3つに分けられます。

1. 陽性症状(本来ないものが現れる症状)

幻聴 統合失調症でもっとも多い幻覚が幻聴です。「誰もいないのに悪口が聞こえる」「命令してくる声が聞こえる」「自分の行動をいちいち実況される」「複数の人が自分について話し合っている」などの形で体験されます。

妄想

  • 被害妄想:「悪口を言われている」「嫌がらせをされている」「命を狙われている」
  • 関係妄想:「テレビやネットの内容が自分に向けたメッセージに思える」「すれ違う人の咳払いが自分への合図に感じる」
  • 注察妄想:「常に誰かに見られている・監視されている」

考えのまとまりにくさ 話の筋道が立てにくくなる、考えが急に途切れる、といった症状が出ることがあります。

2. 陰性症状(本来あるものが失われる症状)

意欲がわかない、感情の表現が乏しくなる、人との関わりを避けて引きこもる、入浴や着替えがおっくうになる、といった症状です。周囲からは「怠けている」と誤解されやすいのですが、これも病気の症状です。

3. 認知機能の症状

集中力や記憶力が落ちる、段取りよく物事を進められなくなる、といった変化です。勉強や仕事のパフォーマンスの低下として気づかれることがあります。

初期のサイン|こんな変化はありませんか

統合失調症は、はっきりした幻聴や妄想が出る前に、次のような変化から始まることが少なくありません。

ご本人が感じやすい変化

  • 眠れない日が続く、眠りが浅い
  • 周囲の音や人の視線が、以前より気になって仕方ない
  • 神経が張りつめて、心が休まらない
  • 考えがまとまらず、勉強や仕事が急に難しく感じる
  • 漠然とした不安や焦りが続く

ご家族から見た変化

  • 独り言やひとり笑いが増えた
  • 「監視されている」「悪口を言われる」といった訴えが出てきた
  • 部屋にこもりがちになった、昼夜逆転している
  • 表情が乏しくなった、身だしなみに構わなくなった

これらのサインがあるからといって、統合失調症と決まるわけではありません。ただ、生活に支障が出るほどの変化が数週間続いている場合は、一度医療機関にご相談いただくことをおすすめします。眠れない状態が続くこと自体も、心身の大きな負担になります。

統合失調症の原因

はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、脳内のドパミンなどの神経伝達物質のはたらきの乱れが関係していると考えられています。

現在は、もともとの体質的ななりやすさに、進学・就職・人間関係などの強いストレスが重なったときに発症する、という「脆弱性ストレスモデル」の考え方が広く受け入れられています。

はっきりお伝えしたいのは、「親の育て方」や「本人の性格の弱さ」が原因の病気ではないということです。ご本人も、ご家族も、ご自分を責める必要はまったくありません。

幻聴や被害的な考え=統合失調症、とは限りません

幻聴や被害的な考えは、統合失調症以外でも起こることがあります。

  • 極端な睡眠不足や過労、強いストレス
  • うつ病や双極性障害(重症の場合に幻覚や妄想を伴うことがあります)
  • アルコールや薬物、一部のお薬の影響
  • 甲状腺の病気や脳炎など、体の病気

どれに当てはまるかをご自分で見分けるのは難しく、対応もそれぞれ異なります。だからこそ、「統合失調症かどうか分からない」という段階で構いませんので、診察のなかで一緒に整理させてください。

早めの相談・治療が大切な理由

統合失調症では、発症してから治療を始めるまでの期間(精神病未治療期間:DUP)が短いほど、その後の回復が良好であることが知られています。逆に、「気のせいかもしれない」「そのうち治るだろう」と受診が遅れると、症状が固定しやすくなったり、学業や仕事、人間関係への影響が大きくなったりする可能性があります。

DUPについては、こちらの記事(【精神病未治療期間(DUP)とは】)で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

「病気と決まったわけではないのに受診していいのだろうか」と迷う必要はありません。むしろ、その段階でのご相談こそが早期治療につながります。

統合失調症の治療

1. 薬による治療(抗精神病薬)

治療の中心となるのは、抗精神病薬というお薬です。ドパミンなどの神経伝達物質のはたらきを整えることで、幻聴や妄想などの症状を和らげる効果が期待できます。

大切なのは、症状が落ち着いたあとも、再発を防ぐためにお薬を続けることです。自己判断で中断すると再発のリスクが高くなることが知られています。「やめたい」「減らしたい」と感じたときは、中断する前に必ず主治医にご相談ください。飲み方や量は、経過を見ながら一緒に調整していきます。

毎日の服薬が負担な方には、2〜4週間に1回程度の注射で効果が持続するタイプのお薬(持効性注射剤)が検討できる場合もあります。

※効果や副作用の出方には個人差があります。診察のうえで、適したお薬を検討します。

2. 休養と生活の立て直し・心理社会的な支援

お薬とあわせて、次のような取り組みが回復を支えます。

  • 十分な休養をとり、睡眠のリズムを整える
  • 病気やお薬について正しく知る(ご本人・ご家族への心理教育)
  • 症状が落ち着いてきたら、無理のないペースで活動を再開していく(必要に応じて、リハビリテーションやデイケアなどの利用を検討することもあります)
  • 再発のサイン(眠れなくなる、音に敏感になるなど)を本人と家族で共有しておく

3. 医療費の負担を軽くする制度

統合失調症の治療は一定期間続くため、医療費の助成制度を利用できます。代表的なものが**自立支援医療(精神通院医療)**で、通院医療費の自己負担が原則1割に軽減されます。詳しくは「自立支援医療制度って何?」の記事をご覧ください。そのほか、精神障害者保健福祉手帳などの制度もあり、必要に応じて診察の際にご案内します。

ご家族の方へ|接し方のポイント

ご家族の対応に「正解」を求めすぎる必要はありませんが、次の点を意識していただくと、ご本人もご家族も少し楽になります。

幻聴や妄想を、頭ごなしに否定しない。話を合わせて肯定もしない。 「そんなのは気のせいだ」と否定すると、ご本人は「分かってもらえない」と孤立感を深めます。かといって「本当に狙われているね」と同調すると、確信を強めてしまいます。「そう感じてつらいんだね」「怖い思いをしているんだね」と、体験の内容ではなく、つらさの方を受け止めるのがポイントです。

責めない・原因探しをしない。 「気の持ちようだ」「甘えている」という言葉は、症状を悪化させることはあっても改善にはつながりません。

「困りごと」を入り口に、受診を提案する。 「病院に行こう」と正面から伝えると拒否されやすい場合も、「最近眠れていないみたいだから、一度相談してみない?」と、不眠や疲れなど本人が自覚している困りごとを入り口にすると、受診につながりやすくなります。

ご本人の受診がすぐには難しい場合。 まずはご家族から状況をご相談いただく方法もあります。相談が難しいケースもありますので、まずは当院までご連絡いただき概要をご相談ください。

緊急性が高いとき。 興奮が非常に強い、ご本人や周囲の安全が心配(自傷他害のおそれが強い場合) といった切迫した状況では、ためらわずに、110番で警察に相談した上で、お住まいの自治体の精神科救急の相談窓口へご連絡ください。当事者や周囲の人の安全が最優先です。

※東京都はひまわりという24時間の医療機関案内サービスが提供されています。

03-5272-0303

そして、ご家族ご自身の休息も同じくらい大切です。長く支えていくためにも、ご家族が一人で抱え込まない体制をつくりましょう。

よくあるご質問

Q. 幻聴があったら、必ず統合失調症なのでしょうか? A. いいえ。極端な睡眠不足や強いストレス、ほかの心の病気、お薬やアルコールの影響、体の病気でも似た体験が起こることがあります。診察のなかで経過を伺いながら見分けていきますので、自己判断で決めつけず、まずはご相談ください。

Q. 統合失調症は治りますか? A. 経過には個人差がありますが、適切な治療を続けることで、症状がほとんど気にならない状態(寛解)を目指すことができます。実際に、治療を続けながら学業や仕事、家庭生活を送っている方は大勢いらっしゃいます。治療の開始が早いほど回復が良好とされているため、早めのご相談が大切です。

Q. 薬はずっと飲み続けなければいけませんか? A. 再発を防ぐため、症状が落ち着いたあとも一定期間はお薬の継続が推奨されます。期間や量は、経過を見ながら主治医と相談して調整していきます。自己判断での中断は再発につながりやすいため、減らしたい・やめたいと感じたときこそ、診察でお聞かせください。

Q. 本人が「自分は病気じゃない」と受診を嫌がります。どうすればいいですか? A. 統合失調症では、ご本人が病気だと感じにくい(病識を持ちにくい)ことがよくあり、それ自体が症状のひとつでもあります。無理に説得しようとせず、不眠や疲れなどの困りごとを入り口に提案する、まずはご家族が相談する、といった方法があります。対応に迷われたときは、当院までお問い合わせください。

まとめ

  • 統合失調症は約100人に1人がかかる、誰にでも起こりうる病気です
  • 幻聴や被害的な考えのほか、「眠れない」「音や視線に敏感になる」などの変化がサインになることがあります
  • 「親の育て方」や「性格の弱さ」が原因ではありません
  • 治療を始めるのが早いほど、回復が良好とされています(DUP)
  • お薬と生活の支援を組み合わせることで、自分らしい生活を目指せます
  • ご家族は、体験の内容ではなく「つらさ」を受け止め、困りごとを入り口に相談へつなげてください

ご本人も、ご家族も、一人で抱え込む必要はありません。「病気かどうか分からない」という段階からで構いませんので、てらすクリニックにっぽりまでご相談ください。

日暮里駅から徒歩1分、WEB予約も可能です

てらすクリニックにっぽりは、JR日暮里駅から徒歩1分の場所にあります。心療内科・精神科・内科・睡眠障害内科を標榜しており、月・火・木・金は9:30〜13:00/14:30〜19:00、土・日は9:30〜13:15/14:00〜16:00、水曜・祝日は休診です。

誰もいないのに声が聞こえる、悪口を言われている・監視されている気がする、神経が張りつめて眠れない——このような症状が続いて不安な方、ご家族の様子の変化が気になる方は、当院へご相談ください。

統合失調症が疑われる場合は、症状の評価だけでなく、甲状腺の病気やお薬・アルコールの影響など、似た症状を起こす体の要因との見分けも大切です。てらすクリニックにっぽりでは、心療内科・精神科に加えて内科診療も行っているため、心の症状のご相談と、体の要因の確認をあわせてご相談いただけます。

必要に応じて、症状の内容や経過、睡眠の状態、服薬状況、ご家族から見た変化などを確認しながら、薬物療法や生活面の調整、自立支援医療などの制度のご案内、入院治療が必要と考えられる場合の専門医療機関との連携を含めて対応を検討します。

当院は、JR常磐線・山手線・京浜東北線、京成線、日暮里・舎人ライナーをご利用の方にも通いやすい立地です。また、西日暮里駅からも徒歩圏内のため、西日暮里周辺にお住まいの方や、東京メトロ千代田線をご利用の方にもご来院いただきやすい場所にあります。

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通勤・通学の前後や、お仕事帰りにも立ち寄りやすく、継続的な通院にも便利です。

※所要時間は目安です。時間帯・列車種別・運行状況により異なる場合があります。 ※診療日・診療時間は変更となる場合があります。最新の診療時間はWEB予約画面等でご確認ください。

監修者情報

船橋 健吾
医師 船橋 健吾

東京医科歯科大学医学部医学科卒業(現・東京科学大学)
地方中核病院やメンタルクリニック・訪問診療クリニック・産業医として勤務
当院の分院であるてらすクリニックひきふね 院長
(内科・心療内科・精神科・訪問診療)

産業医やケアマネジャーとしても働きつつ、働く皆様や高齢者のお力になりたいと考えています。

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