心療内科・精神科・内科・睡眠障害内科

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月経に関連した精神的不調PMSやPMDDについて

2026.7.11

「生理前になると、些細なことでイライラして家族やパートナーに当たってしまう」 「急に涙が出たり、ひどく落ち込んだりする」 「でも、生理が始まると嘘のように楽になる」

こうした変化が毎月のように繰り返される場合、PMS(月経前症候群)や、その中でも精神症状が特に強いPMDD(月経前不快気分障害)の可能性があります。

「性格の問題」「気の持ちよう」と我慢を続けている方が少なくありませんが、PMS・PMDDは治療の選択肢がある医学的な状態です。この記事では、PMSとPMDDの違い、セルフチェックの目安、婦人科と心療内科・精神科の使い分け、治療法について解説します。

PMS(月経前症候群)とは

PMS(Premenstrual Syndrome:月経前症候群)は、月経前の3〜10日ほどの間(黄体期)に心や体の不調が続き、月経が始まると軽くなる・消える状態を指します。日本産科婦人科学会でも、おおむねこのように定義されています。

月経のある女性の7〜8割は、月経前に何らかの心身の変化を感じるといわれています。そのうち、日常生活に支障が出るほどのPMSは約5%程度と報告されています。決してめずらしいものではありません。

PMSの主な症状

体の症状

  • 乳房の張り・痛み
  • 下腹部の張り、腹痛
  • 頭痛、肩こり
  • むくみ、体重増加
  • 強い眠気、または眠れない
  • 食欲の変化(過食、甘いものが無性に欲しくなる)
  • 肌荒れ、倦怠感

心の症状

  • イライラする、怒りっぽくなる
  • 気分が落ち込む、涙もろくなる
  • 不安が強くなる
  • 集中できない、やる気が出ない

PMDD(月経前不快気分障害)とは

PMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder:月経前不快気分障害)は、月経前の精神症状が特に強く、仕事・家庭・人間関係など日常生活に大きな支障をきたす状態です。

アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)では、うつ病などと同じ「抑うつ障害群」に分類されており、月経のある女性の1〜2%程度にみられると報告されています。

PMDDでは、次のような症状が月経前に目立ちます。

  • 感情が激しく揺れ動く(急に悲しくなる、涙もろくなる、拒絶されたと感じやすくなる)
  • 強いイライラ・怒り。周囲との衝突が増える
  • 気分の落ち込み、絶望感、自分を責める気持ち
  • 強い不安、緊張、張りつめたような感覚

これらに加えて、物事への興味の低下、集中困難、倦怠感、過食、過眠または不眠、「感情に圧倒される」感覚、乳房の張りや頭痛などの身体症状を伴うことがあります。

「月経前だけ、まるで別人のようになってしまう」「毎月この時期に、仕事や人間関係のトラブルが起きる」という場合には、PMDDの可能性を考える必要があります。

なお、つらさが強い時期に「消えてしまいたい」という気持ちが浮かぶ方もいらっしゃいます。そうした考えが出てくるときは、一人で抱え込まず、できるだけ早めに医療機関へご相談ください。

PMS・PMDDかもしれない?セルフチェックの目安

PMS・PMDDの最大の特徴は、症状が「月経周期と連動している」ことです。次のパターンに当てはまるかどうかが手がかりになります。

  • 排卵後(月経のおよそ1〜2週間前)から症状が現れる、または悪化する
  • 月経が始まると、数日以内に症状が軽くなる・消える
  • 月経後から排卵までの時期は、比較的調子がよい
  • このパターンが、ほとんどの月経周期で繰り返されている

※上記はあくまで目安です。正確な判断には診察が必要です。

症状の記録が診断の助けになります

PMDDの診断では、少なくとも2周期にわたって症状を毎日記録し、月経周期との関連を確認することが推奨されています。受診を考えている方は、

  • その日の症状(イライラ・落ち込み・不安など)とそのつらさの程度
  • 月経が始まった日

を、手帳や生理管理アプリなどにメモしておくと、診察がとてもスムーズになります。もちろん、記録がない段階でのご相談も可能です。

PMS・PMDDの原因

はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、排卵後に大きく変動する女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の影響で、脳内のセロトニンなどの神経伝達物質のはたらきが変化することが関係していると考えられています。

ここで大切なのは、ホルモンの分泌量そのものの異常ではなく、「ホルモンの変動に対する脳の感受性」の個人差が関係しているとみられている点です。つまり、血液検査でホルモン値に異常がなくても、PMS・PMDDは起こりえます。「検査で異常なしと言われたから気のせい」ということではありません。

また、ストレス、睡眠不足、生活リズムの乱れなどが症状を悪化させる要因になることも知られています。

うつ病など、ほかの病気との見分け

イライラや気分の落ち込みは、うつ病、不安症、双極性障害、甲状腺の病気などでもみられる症状です。見分けの大きなポイントは、やはり「月経周期との連動」です。

  • 月経前以外の時期にも症状が続いている → うつ病など、ほかの疾患の可能性
  • もともとうつ病などの症状があり、月経前にさらに悪化する → 「月経前増悪(PME)」と呼ばれる状態で、PMDDとは治療の考え方が異なります

また、40代以降で月経周期が乱れはじめた時期の気分の不調は、更年期障害との区別が難しいこともあります(あわせて「更年期障害とメンタルクリニック」の記事もご覧ください)。

この見分けは自己判断がとても難しい部分です。当院では、症状の経過を一緒に整理しながら判断していきますので、「どれに当てはまるのか分からない」という段階でご相談いただいて構いません。

婦人科と心療内科、どちらを受診すればいい?

PMS・PMDDは、婦人科でも、心療内科・精神科でも相談できます。目安は次のとおりです。

婦人科への受診が向いているケース

  • 乳房の張り、腹痛、頭痛など、体の症状が中心
  • 低用量ピル(LEP)による治療を検討したい
  • 月経不順や月経痛など、ほかの婦人科の症状もある

心療内科・精神科への受診が向いているケース

  • イライラ、落ち込み、不安、涙もろさなど、心の症状が中心
  • 月経前だけの症状なのか、うつ病など別の病気なのか分からない
  • 気分の波によって、仕事や人間関係に支障が出ている
  • 婦人科で治療を受けているが、気分の症状が残っている

どちらを受診すべきか迷う場合は、受診しやすいほうで構いません。必要に応じて、婦人科と心療内科が連携しながら治療を進めることもあります。

PMS・PMDDの治療法

1. セルフケア・生活習慣の調整

  • 症状と月経周期の記録をつける(自分のパターンを知るだけでも、対処しやすくなります)
  • ウォーキングなどの軽い有酸素運動を習慣にする
  • 睡眠のリズムを整える
  • カフェイン・アルコール・喫煙を控えめにする
  • 症状が出やすい時期に大事な予定を詰め込みすぎない、身近な人に伝えておくなどの環境調整

2. 薬による治療

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬) 心の症状が強いPMS・PMDDに対しては、SSRIと呼ばれるタイプの抗うつ薬の有効性が国際的に数多く報告されています。毎日服用する方法のほかに、症状が出る月経前の時期だけ服用する方法(間欠投与)が検討されることもあり、症状の出方やライフスタイルに合わせて相談しながら決めていきます。 ※効果や副作用の出方には個人差があります。診察のうえで、適応を判断します。

低用量ピル(LEP/OC) 排卵を抑えることでホルモンの変動を小さくし、症状の軽減を図る治療です。主に婦人科で処方されます。体の症状が強い方などで選択肢になります。

漢方薬 加味逍遙散(かみしょうようさん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などが、体質や症状に応じて用いられることがあります。

その他 不安や不眠が特に強い時期に、抗不安薬や睡眠薬を補助的に使用することがあります。

3. カウンセリング・ストレスへの対処

薬による治療と並行して、ストレスへの対処法や、症状が出る時期の過ごし方・考え方のパターンを整理していくことも、症状とうまく付き合っていくうえで役立ちます。

よくあるご質問

Q. 生理前のイライラくらいで受診してもいいのでしょうか?

A. 「毎月つらい」「生活や人間関係に影響が出ている」と感じているなら、それだけで受診する十分な理由になります。症状の程度にかかわらず、お気軽にご相談ください。

Q. 市販薬やサプリで様子を見てもいいですか?

A. 症状が軽い場合、セルフケアで付き合っていける方もいらっしゃいます。ただし、気分の落ち込みやイライラが強く生活に支障が出ている場合や、数か月続けても改善を感じられない場合は、一度医療機関にご相談いただくことをおすすめします。

Q. 薬を飲み始めたら、ずっと続けなければいけませんか?

A. 治療の期間や方法は、症状の経過に応じて調整していきます。月経前の時期だけ服用する方法が検討できる場合もあります。続け方は診察のなかで相談しながら決めていきますので、まずは不安な点もあわせてお聞かせください。

Q. 受診の際、何を持って行けばいいですか?

A. 健康保険証(マイナ保険証)のほか、症状や月経開始日を記録したメモやアプリの画面があると、診察がスムーズです。ほかの医療機関で処方されているお薬がある方は、お薬手帳もご持参ください。

まとめ

  • PMSは、月経前に心身の不調が現れ、月経開始とともに軽快する状態。PMDDは、その中でも心の症状が特に強く、生活に大きな支障をきたすもの
  • 「症状が月経周期と連動しているか」が大きな手がかり。2〜3周期分の記録が診断に役立ちます
  • 心の症状が中心の場合は、心療内科・精神科でも相談が可能。SSRIや漢方薬など、複数の治療選択肢があります
  • 毎月のつらさは「性格」や「気の持ちよう」ではありません。治療によって軽くできる可能性があります

生理前の不調に毎月悩まされている方は、どうぞ一人で抱え込まず、てらすクリニックにっぽりまでご相談ください。

日暮里駅から徒歩1分、WEB予約も可能です

てらすクリニックにっぽりは、JR日暮里駅から徒歩1分の場所にあります。心療内科・精神科・内科・睡眠障害内科を標榜しており、月・火・木・金は9:30〜13:00/14:30〜19:00、土・日は9:30〜13:15/14:00〜16:00、水曜・祝日は休診です。

生理前に繰り返すイライラや気分の落ち込み、不安、涙もろさ、眠気・不眠などが気になる方は、当院へご相談ください。

PMS・PMDDでは、症状と月経周期との関連を確認するだけでなく、うつ病や不安症などほかの心の病気との見分けや、甲状腺の病気・貧血など体の側の要因が隠れていないかの確認も重要です。てらすクリニックにっぽりでは、心療内科・精神科に加えて内科診療も行っているため、月経前の心の不調と、甲状腺や貧血など体の要因の確認をあわせてご相談いただけます。

必要に応じて、症状の内容や月経周期との関係、これまでの経過、服薬状況、睡眠や生活リズム、お仕事や日常生活への影響などを確認しながら、SSRIや漢方薬などの治療の選択肢や、低用量ピルによる治療が適していると考えられる場合の婦人科との連携を含めて対応を検討します。

当院は、JR常磐線・山手線・京浜東北線、京成線、日暮里・舎人ライナーをご利用の方にも通いやすい立地です。また、西日暮里駅からも徒歩圏内のため、西日暮里周辺にお住まいの方や、東京メトロ千代田線をご利用の方にもご来院いただきやすい場所にあります。

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青砥駅約9〜14分
京成高砂駅約12〜17分

通勤・通学の前後や、お仕事帰りにも立ち寄りやすく、継続的な通院にも便利です。

※所要時間は目安です。時間帯・列車種別・運行状況により異なる場合があります。 ※診療日・診療時間は変更となる場合があります。最新の診療時間はWEB予約画面等でご確認ください。

監修者情報

船橋 健吾
医師 船橋 健吾

東京医科歯科大学医学部医学科卒業(現・東京科学大学)
地方中核病院やメンタルクリニック・訪問診療クリニック・産業医として勤務
当院の分院であるてらすクリニックひきふね 院長
(内科・心療内科・精神科・訪問診療)

産業医やケアマネジャーとしても働きつつ、働く皆様や高齢者のお力になりたいと考えています。

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