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【認知症】高齢者でやる気がない・ぼーっとしているのは老年期うつ病?認知症?判断の目安【物忘れ外来】

2026.6.18

ご高齢の方、もしくはご家族の方から、
「以前よりやる気がない」
「一日中ぼーっとしている気がする」
「趣味や外出に誘っても反応が薄い」
「年のせいなのか、病気なのか分からない」
と心配になることがあります。

このような変化は、単なる加齢だけではなく、老年期うつ病や、認知症に伴うアパシーが関係していることがあります。

老年期うつ病では、気分の落ち込みや不安、興味・喜びの低下、睡眠や食欲の変化などがみられます。一方、認知症のアパシー(無関心)では、悲しみや不安を強く訴えるというより、意欲・関心・自発性が低下し、自分から動き出しにくくなることがあります。一般的には老年期うつ病では抑うつ気分と興味・喜びの喪失が中核症状であり、認知症の症状としてアパシー(無関心)やときには抑うつ気分も出ることもあると説明されます。ただし、老年期うつ病は若年層程強い気持ちの抑うつ気分や落ち込みなどが顕著に認められず、ぼーっとしている、なんだかやる気がない状態と周囲が評価することもしばしばです。これは認知症よるアパシーとの判断が難しく、治療や支援の方向も変わりますので慎重に判断する必要があります。

ただし、ご家庭だけで「うつ病」「認知症」と判断するのは難しいものです。医療機関では、本人・家族からの問診、認知機能検査、うつ病エピソードの確認、身体疾患や薬剤の影響の確認などを組み合わせて見分けていきます。

高齢者の「やる気がない」「ぼーっとしている」でよくある原因

高齢者の元気がない状態には、老年期うつ病や認知症に伴うアパシーの他いくつかの原因があります。

代表的には、老年期うつ病認知症に伴うアパシー、そして急な変化であればせん妄が考えられます。ほかにも、睡眠不足、脱水、感染症、甲状腺などの身体疾患、薬の副作用、孤立や喪失体験、介護環境の変化などが影響することもあります。

今回は、特に見分けが難しい「老年期うつ病」と「認知症のアパシー」を中心に説明します。

老年期うつ病とは

老年期うつ病とは、高齢期にみられるうつ病やうつ状態を指します。

若い世代のうつ病と同じように、気分の落ち込み、興味や喜びの低下、意欲低下がみられますが、高齢者では身体の不調として表れやすいこともあります。たとえば、眠れない、食欲がない、体がだるい、頭痛やめまいがある、何となく不安で落ち着かない、病気への心配が強くなる、といった訴えが目立つことがあります。

また、老年期うつ病では「もの忘れが増えた」「考えがまとまらない」「集中できない」といった認知症に似た症状が出ることがあります。日本うつ病学会の高齢者のうつ病治療ガイドラインでも、老年期うつ病では集中力の低下などにより一見認知症のようにみえることがあり、認知症、せん妄、薬剤性のうつ状態、身体疾患に伴ううつ状態などとの鑑別が重要とされています。

老年期うつ病でみられやすい症状

老年期うつ病では、次のような変化がみられることがあります。

症状の種類具体的な変化
気分気分が沈む、悲しい、不安、焦り、涙もろい
興味・喜び好きだったことを楽しめない、外出を嫌がる
考え方自分を責める、迷惑をかけていると思い込む、悲観的になる
体の症状眠れない、食欲がない、体重が減る、疲れやすい
認知面集中できない、判断が遅い、もの忘れを強く心配する
注意が必要な症状「死にたい」「消えたい」などの発言

特に、「死にたい」「いなくなりたい」などの発言がある場合は、早めに医療機関へ相談する必要があります。

老年期うつ病の治療

治療では、まず症状の背景を確認します。これまでの経過、身体疾患、服薬中の薬、睡眠、生活環境、家族関係、喪失体験、孤立などを整理します。

そのうえで、休養、生活リズムの調整、心理的な支援、家族への説明、必要に応じた薬物療法を検討します。高齢者では薬の副作用が出やすいことがあるため、薬物療法を行う場合も、年齢、身体状態、持病、他の薬との相互作用を確認しながら慎重に進めます。高齢者では薬物療法の副作用が出やすい傾向がありいきなり、処方後の副作用確認も慎重に行って行きます。

認知症のアパシーとは

アパシーとは、「無関心」症状と言われる事もあります、簡単に言うと意欲・関心・自発性が低下した状態です。

認知症のアパシーでは、本人が強い悲しみや不安を訴えるというより、周囲から見ると「ぼーっとしている」「反応が薄い」「自分から何もしない」「趣味や会話に関心を示さない」と見えることがあります。

認知症疾患診療ガイドライン2026では、アパシーは自発性、興味、関心、動機づけ、感情などが低下した状態で、認知症の行動・心理症状として多くみられると説明されています。

認知症アパシーでみられやすい症状

認知症のアパシーでは、次のような変化が目立つことがあります。

症状の種類具体的な変化
自発性声をかけないと動かない、自分から予定を立てない
興味・関心趣味、テレビ、新聞、会話への関心が薄れる
生活行動身だしなみ、入浴、着替え、家事への意欲が落ちる
会話返事が短い、話しかけても反応が乏しい
認知面もの忘れ、段取りの悪さ、服薬や金銭管理の失敗が出る
本人の訴え「つらい」と強く訴えないことも多い

周囲から見ると「怠けている」「やる気がないだけ」に見えることがありますが、本人の性格の問題ではなく、認知症による脳の変化が関係している場合があります。

認知症アパシーへの治療・対応

認知症アパシーでは、まず認知症の有無や種類(アルツハイマー型・レビー小体型・脳血管型(性))、進行度、生活上の困りごとを評価します。

対応としては、薬だけでなく、生活環境の調整、日課づくり、声かけの工夫、デイサービスや通所リハビリテーションなどの利用、家族や介護者への支援が大切です。アパシーに対する非薬物療法として、本人に合わせた治療的なアクティビティが示唆され、介護サービス受けることも現実的な対応とされています。

お薬の治療としては、認知症に対するお薬も使用します。ドネペジルやメマンチンなどがその代表例ですが、症状の出方や併存疾患によりその使用を慎重に判断します。

老年期うつ病と認知症アパシーの共通点

老年期うつ病と認知症アパシーは、外から見るとよく似ています。

どちらも、活動量が減る、会話が少なくなる、趣味をしなくなる、外出を嫌がる、表情が乏しくなる、ぼーっとして見える、という形で現れることがあります。

そのため、「元気がないからうつ病」「ぼーっとしているから認知症」と、見た目だけで判断することはできません。

老年期うつ病と認知症アパシーの違い

目安としては、本人の苦痛の訴え、気分の落ち込み、もの忘れや生活機能の変化、症状の経過を見ます。

観察ポイント老年期うつ病で目立ちやすいこと認知症アパシーで目立ちやすいこと
本人の訴えつらい、不安、悲しい、申し訳ないと訴える本人から困りごとを訴えにくい
気分落ち込み、焦り、自責感、悲観が目立つ感情の起伏が乏しく、無関心に見える
興味・喜び楽しめないことを苦痛に感じる興味そのものが薄れているように見える
もの忘れ「忘れてしまう」と本人が強く気にすることがある本人の自覚が乏しく、家族が先に気づくことがある
生活機能気分の落ち込みで活動できない服薬、金銭管理、料理、予定管理などの段取り低下が出る
経過きっかけの後に比較的はっきり悪化することがあるゆっくり進むことが多い
声かけへの反応励ましが負担になることがある声をかけると動けるが、自分から続けにくい
注意点希死念慮、食欲低下、不眠道迷い、火の不始末、服薬ミス、金銭管理の失敗

ただし、これはあくまで目安です。老年期うつ病と認知症は併存することもあり、認知症の人にうつ病が合併すると発見が難しくなることもあります。厚生労働省の認知症支援資料でも、認知症の進行に伴ってうつ病の発見が難しくなり、見逃されることがあるとされています。

医療機関ではどう見分けるのか

医療機関では、1つの検査だけで判断するのではなく、複数の情報を組み合わせて評価します。

1. 本人と家族から経過を聞く

まず大切なのは、いつから、どのように変化したかです。

急にぼーっとしたのか、数か月から数年かけてゆっくり変化したのか。きっかけとなる出来事があったのか。睡眠、食欲、体重、薬の変更、転倒、発熱、脱水、生活環境の変化がなかったかを確認します。

ご本人だけでは変化を説明しにくいこともあるため、ご家族からの情報はとても重要です。

2. うつ病エピソードの問診を行う

老年期うつ病が疑われる場合は、抑うつ気分、興味・喜びの低下、睡眠、食欲、疲労感、自責感、集中力低下、希死念慮などを確認します。

厚生労働省の高齢者のうつに関する資料でも、抑うつ気分、興味・喜びの消失、生活リズムの障害、自殺念慮の有無を評価することが示されています。

たとえば診察では、次のようなことを確認します。

「気分が沈み込むことはありますか」
「以前楽しめていたことが楽しめなくなっていますか」
「眠れない、食欲が落ちた、体重が減ったなどはありますか」
「自分を責める気持ちが強くなっていませんか」
「死にたいと思うことはありませんか」

これらの問診に加え、必要に応じて抑うつ症状の評価尺度を使うこともあります。

3. 認知機能検査を行う

認知症が疑われる場合は、長谷川式認知症スケール(HDS-R)、MMSE、などの認知機能検査を行うことがあります。

長谷川式認知症スケール(詳しくはこちらの記事もどうぞ!)は、年齢、日時や場所の見当識、言葉の記憶、計算、数字の逆唱、物品の記憶、言語の流暢性などをみる30点満点の検査です。ただし、検査点数だけで認知症と診断するわけではありません体調や心理状態の影響を受けるため、カットオフ値は目安であり、問診・症状や画像検査を総合して診断名が決定されると説明しています。

つまり、認知機能検査は大切ですが、「点数が低いから即認知症」「点数が良いから問題なし」とは言えません。

4. 日常生活の変化を確認する

認知症の評価では、検査点数だけでなく、生活の中で何ができなくなっているかを確認します。

たとえば、服薬管理、金銭管理、料理、買い物、公共交通機関の利用、予定管理、電話対応、火の始末、外出時の道迷いなどです。

老年期うつ病でも活動性は落ちますが、認知症では「やる気がない」だけでなく、段取りや判断そのものが難しくなっていることがあります。

5. 身体疾患や薬の影響を確認する

高齢者では、身体疾患や薬の影響で、うつのように見えたり、認知症のように見えたりすることがあります。

必要に応じて、血液検査、甲状腺機能、栄養状態、肝腎機能、電解質、感染症の有無、薬剤の確認、頭部CTやMRIなどを検討します。身体的な疾患も併存している方も多く、身体的な要因も疑う場合は検査を行うことが重要です。

急にぼーっとした場合は、せん妄にも注意

ここは本筋ではありませんが、とても重要です。

数時間から数日で急にぼーっとした、昼と夜で様子が違う、夜に混乱する、話がかみ合わない、眠気が強い、発熱や脱水がある、薬が変わった、転倒後から様子がおかしい。このような場合は、老年期うつ病や認知症だけでなく、せん妄を考える必要があります。

せん妄は、感染症、脱水、代謝異常、心不全、呼吸不全、薬剤などで起こることがあります。厚生労働省の認知症支援資料でも、感染症や代謝障害、心不全、呼吸不全、薬剤性せん妄などへの注意が示されています。

急な意識の変化、強い眠気、発熱、脱水、転倒後の変化がある場合は、早めの受診が必要です。

医療機関へ相談した方がよい目安

次のような場合は、医療機関への相談をおすすめします。

  • やる気のなさ、ぼーっとしている状態が2週間以上続いている
  • 趣味、会話、外出、身だしなみへの関心が明らかに低下した
  • 睡眠障害、食欲低下、体重減少がある
  • 不安、焦り、自責感、悲観的な発言が増えた
  • 「死にたい」「消えたい」などの発言がある
  • もの忘れ、道迷い、服薬ミス、金銭管理の失敗が増えた
  • 火の不始末、運転ミス、同じ話の繰り返しなど生活上の危険が出ている
  • ご家族が対応に困っている
  • 急にぼーっとした、意識がはっきりしない、発熱や脱水がある

特に、希死念慮がある場合や、急に意識が変化した場合は、早めに医療機関へ相談してください。

受診前に家族がメモしておくとよいこと

診察では、ご本人がうまく説明できないこともあります。ご家族が次のような点をメモしておくと、診断の助けになります。

確認すること具体例
いつから変化したか数日前、数週間前、数か月前からなど
変化の仕方急に悪くなった、徐々に進んだ、日によって違う
気分の訴えつらい、不安、申し訳ない、死にたいなど
認知面もの忘れ、同じ話、道迷い、予定忘れ
生活面服薬、金銭管理、家事、入浴、着替え
体調睡眠、食欲、体重、便秘、発熱、脱水
最近追加・中止・変更した薬
介護状況家族の負担、介護サービス利用状況、ケアマネジャーとの連携

てらすクリニックにっぽりで相談できること

当院では、高齢者の「やる気がない」「ぼーっとしている」「老年期うつ病か認知症か分からない」といった精神的なご相談に対して、問診、認知機能の評価、抑うつ状態の確認、身体疾患や薬剤の影響の確認、生活・介護状況の整理を行います。

院長は、東京都健康長寿医療センターでの勤務歴があり、高齢者の精神状態や認知機能の変化にも配慮して診療を行っています。

また、当院にはケアマネジャー資格を持つ医師も在籍しており、医療面だけでなく、介護保険サービス、家族の介護負担、ケアマネジャーとの連携、通所サービスの利用なども含めてご相談いただけます。

老年期うつ病と認知症のアパシーは、見た目だけでは判断しにくいことがあります。ご本人の診察が基本ですが、「受診させるべきか迷っている」「介護の相談も一緒にしたい」という段階でも、まずは状況を整理することが大切です。

まとめ

高齢者がやる気を失ったり、ぼーっとしているように見えたりするとき、背景には老年期うつ病、認知症のアパシー、せん妄、身体疾患、薬の影響など、さまざまな原因が考えられます。

老年期うつ病では、つらさ、不安、自責感、睡眠や食欲の変化が目立つことがあります。認知症アパシーでは、本人からの訴えが少なく、意欲・関心・自発性の低下や生活機能の変化として表れることがあります。

大切なのは、年のせいと決めつけず、変化の経過、気分の訴え、認知機能、生活上の困りごとを丁寧に確認することです。

ご家族だけで判断が難しい場合は、早めにご相談ください。

日暮里駅から徒歩1分、WEB予約も可能です

「最近、親がぼーっとしていることが増えた」
「以前よりやる気がなく、外出や会話が減っている」
「老年期うつ病なのか、認知症なのか分からず心配」
「介護のことも含めて、どこに相談すればよいか迷っている」

このような高齢のご家族の変化でお悩みの方は、診察でご相談いただけます。

高齢者の「やる気がない」「ぼーっとしている」「元気がない」という状態は、老年期うつ病、認知症に伴うアパシー、身体疾患、薬の影響など、さまざまな原因で起こることがあります。見た目だけで判断することは難しいため、医療機関で経過や生活状況を確認し、必要に応じて認知機能検査や抑うつ症状の評価を行うことが大切です。

てらすクリニックにっぽりは、JR日暮里駅から徒歩1分の場所にあります。
WEB予約は24時間受付可能です。

院長は東京都健康長寿医療センターでの勤務歴があり、高齢者の精神状態や認知機能の変化にも配慮して診療を行っています。
また、当院にはケアマネジャー資格を持つ医師も在籍しており、医療面だけでなく、介護保険サービス、家族の介護負担、ケアマネジャーとの連携なども含めてご相談いただけます。

「まだ認知症と決まったわけではない」
「うつ病なのか、年齢による変化なのか分からない」
「本人が困っている様子は少ないが、家族から見ると心配」
「介護サービスを使うべきか迷っている」

という段階でも、まずは状況を整理することが大切です。

ご予約は、以下のページよりお取りください。

【24時間WEB予約はこちら】

※初診で必ず診断が確定するとは限りません。診察では、ご本人の症状、これまでの経過、生活への影響、ご家族から見た変化、服薬状況、身体疾患の有無などを確認しながら、必要な検査や対応を検討していきます。
※急にぼーっとした、意識がはっきりしない、発熱・脱水・転倒後の変化がある場合は、せん妄や身体疾患の可能性もあるため、早めに医療機関へご相談ください。

沿線主要駅から日暮里駅までのアクセス目安

当院は日暮里駅から徒歩1分の場所にあり、JR常磐線・山手線・京浜東北線、京成線、日暮里・舎人ライナーをご利用の方にも通いやすい立地です。

また、西日暮里駅からも徒歩圏内のため、西日暮里周辺にお住まいの方や、東京メトロ千代田線をご利用の方にもご来院いただきやすい場所にあります。

日暮里駅までの目安
西日暮里駅約2分、徒歩でも約10分前後
北千住駅約6〜8分
松戸駅約16分
柏駅約25〜32分
南千住駅約5分
青砥駅約9〜14分
京成高砂駅約12〜17分

高齢のご本人が通院しやすいだけでなく、ご家族が付き添う場合にも来院しやすい場所にあります。

老年期うつ病や認知症のアパシーは、どちらも「元気がない」「ぼーっとしている」「自分から動かない」という形で見えることがあります。ご家庭だけで判断しようとせず、気になる変化が続く場合はご相談ください。

【WEB予約はこちら】

監修者情報

船橋 健吾
医師 船橋 健吾

東京医科歯科大学医学部医学科卒業(現・東京科学大学)
地方中核病院やメンタルクリニック・訪問診療クリニック・産業医として勤務
当院の分院であるてらすクリニックひきふね 院長
(内科・心療内科・精神科・訪問診療)

産業医やケアマネジャーとしても働きつつ、働く皆様や高齢者のお力になりたいと考えています。

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