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動悸・息苦しさで救急搬送されたのに「異常なし」…パニック発作・パニック障害かもと言われたらどうする?

2026.6.15

突然、強い動悸や息苦しさに襲われ、「息が苦しい」「心臓が締め付けられる」「このまま倒れるのでは」と感じ、救急搬送されることがあります。

ところが、救急外来で心電図や血液検査などを受けても、大きな異常が見つからず、「心臓や肺には明らかな異常はなさそうです」「メンタルの影響かもしれません」「パニック発作かもしれません」と言われることがあります。

そう言われても、本人にとっては「本当に死ぬかと思った」ほど苦しい体験です。「異常なし」と言われたからといって、つらさがなかった、気のせいだった、という意味ではありません。

一方で、動悸・息苦しさ・胸痛は、パニック発作だけでなく、心筋梗塞、喘息発作、大動脈解離、肺塞栓症、不整脈、気胸などでも起こることがあります。そのため、症状だけで「パニック発作」と決めつけることはできません。

この記事では、動悸や息苦しさで救急搬送された後に「異常なし」「パニック発作かも」と言われた場合に、どのような身体の病気が確認されるのか、救急で「異常なし」と言われることの意味、もう一度救急に相談した方がよい症状、そして症状が落ち着いた後にどこへ相談すればよいのかを解説します。

救急搬送される動悸・息苦しさでは、まず身体の病気を確認します

動悸や息苦しさが強いとき、救急外来ではまず、命に関わる身体の病気が隠れていないかを確認します。

なぜなら、パニック発作でも動悸・息苦しさ・胸の苦しさ・冷や汗・めまいなどが起こりますが、心臓や肺、血管の病気でも同じような症状が出ることがあるからです。

たとえば、心筋梗塞では胸の痛みや不快感、息切れ、あご・首・背中・腕・肩への痛み、吐き気、ふらつき、強い疲労感などがみられることがあります。 大動脈解離では、突然の耐えがたい胸や背中の痛み、引き裂かれるような痛み、痛みの移動、失神などがみられることがあります。

そのため、「メンタルかもしれない」「パニック発作かもしれない」と思ったとしても、順番としては、まず身体の病気を確認し、そのうえでパニック発作や不安の関与を考えることが大切です。

パニック発作と似た症状が出る身体の病気

動悸、息苦しさ、胸の圧迫感、冷や汗、不安感などは、パニック発作でも起こります。しかし、同じような症状が、心臓・血管・肺・ホルモン・血糖などの異常で起こることもあります。

救急外来で確認されることがある病気には、次のようなものがあります。

鑑別が必要な病気・状態パニック発作と似ている症状注意したいサイン
心筋梗塞・狭心症動悸、胸の圧迫感、息苦しさ、冷や汗、不安感胸の痛みや不快感、息切れ、あご・首・背中・腕・肩への痛み、吐き気、ふらつき、強い疲労感など
大動脈解離胸痛、背部痛、息苦しさ、不安感突然の耐えがたい胸や背中の痛み、引き裂かれるような痛み、痛みの移動、失神など
肺塞栓症突然の息苦しさ、動悸、胸痛、不安感息切れ、深呼吸で強くなる胸痛、呼吸が速い、心拍数が上がるなど
気管支喘息・喘息発作息苦しさ、胸の苦しさ、不安感咳、胸の締めつけ感、ゼーゼー・ヒューヒューする呼吸、呼吸困難など
不整脈動悸、胸の違和感、めまい、不安感脈が乱れる、急に脈が速くなる、ふらつき、息切れ、失神しそうになるなど
気胸急な息苦しさ、胸痛、不安感突然の鋭い胸痛、息切れ、乾いた咳、片側の胸の痛みなど
甲状腺機能亢進症動悸、発汗、震え、不安感脈が速い状態が続く、発汗、手の震え、不眠、体重減少、暑がりなど
低血糖動悸、冷や汗、震え、不安感、ふらつき空腹感、冷や汗、手の震え、目のちらつき、意識がぼんやりするなど
貧血動悸、息切れ、めまい、疲れやすさ階段や軽い運動で息が上がる、顔色が悪い、立ちくらみ、倦怠感など

肺塞栓症では、息切れ、深呼吸で強くなる胸痛、呼吸が速い、心拍数が上がるなどがみられることがあります。 喘息発作では、咳、胸の締めつけ感、喘鳴、呼吸困難が起こることがあります。 不整脈では、心臓が血液を送り出す力に影響が出ると、息切れ、ふらつき、めまい、失神などが起こることがあります。

このように、パニック発作と身体の病気は、症状だけでは区別しにくいことがあります。だからこそ、初めての強い発作や、いつもと違う症状がある場合は、身体の病気を先に確認する必要があります。

救急で「異常なし」と言われても、病気が完全に否定されたとは限りません

救急外来で「異常なし」と言われた場合、それは多くの場合、「その時点の検査では、すぐに命に関わるような異常がはっきり見つからなかった」という意味です。

特に時間外の救急外来では、まず緊急性の高い病気がないかを優先して確認します。救急外来で帰宅となったことは、「今後も問題がない」「身体の病気が完全にない」と同じ意味ではありません。

たとえば、不整脈は発作が起きている瞬間でなければ心電図に出にくいことがあります。喘息や気胸、甲状腺機能亢進症、貧血、低血糖なども、症状の出方や検査のタイミングによって、追加の検査や外来での確認が必要になることがあります。

そのため、「救急で異常なしだったから、もう相談しなくてよい」と考えすぎないことが大切です。症状を繰り返す場合や、胸痛・息切れ・動悸が続く場合は、搬送先の病院の日中の外来、かかりつけ医、内科、循環器内科、呼吸器内科などで経過を相談しましょう。

緊急性の高い病気が見つからない場合、パニック発作のこともあります

身体の病気が確認され、緊急性の高い異常が見つからない場合、パニック発作が関係していることがあります。

パニック発作では、突然強い恐怖や不快感が高まり、動悸、発汗、震え、息切れ感・息苦しさ、窒息感、胸痛や胸部不快感、吐き気、めまい、しびれ、冷感や熱感、「死ぬのではないか」という恐怖などが出ることがあります。

パニック発作の診断基準でも、こうした症状のうち4つ以上が突然あらわれ、10分以内にピークに達するものとして整理されています。

ただし、ここでも大切なのは、「症状がパニック発作に似ている=パニック発作で確定」とは言えないことです。特に初めての症状、いつもと違う症状、強い胸痛や呼吸困難、失神しそうな感じがある場合は、身体の病気を先に確認してください。

「異常なし」の後に考えられること

救急で緊急性の高い異常が見つからなかった場合でも、次のような可能性があります。

考えられる状態特徴相談先の目安
パニック発作突然の動悸・息苦しさ・強い恐怖感があり、短時間でピークに達する心療内科、精神科
過換気症候群不安や緊張に伴い、息苦しさ、手足や口周りのしびれ、めまいなどが出るまず内科、繰り返す場合は心療内科・精神科
発作性の不整脈突然脈が速くなる、脈が飛ぶ、動悸を繰り返す循環器内科
甲状腺機能亢進症動悸、発汗、手の震え、不眠、体重減少などが続く内科、内分泌内科
貧血動悸、息切れ、めまい、疲れやすさが続く内科
喘息や気道の病気咳、喘鳴、息苦しさが続く、夜間や早朝に悪化する呼吸器内科、内科
カフェイン・薬・アルコール・睡眠不足の影響動悸、不安感、眠れない、発作のきっかけがあるかかりつけ医、内科、心療内科
ストレスや不安の影響身体の検査で大きな異常がなく、発作への不安や回避が続く心療内科、精神科

このように、「救急で異常なし」と言われた後に考えるべきことは、パニック発作だけではありません。救急性は高くないものの、外来で確認した方がよい身体の病気が隠れている場合もあります。

そのため、症状が繰り返す場合は、「メンタルか身体か」の二択で考えるのではなく、身体の確認と不安への相談を並行して進めることが大切です。

救急に相談した方がよい症状

すべてをパニック発作と決めつけるのは危険です。

次のような症状がある場合は、救急相談や救急受診を検討してください。

・胸の中央が締め付けられる、圧迫されるような痛みが続く
・突然の激しい胸痛、背中の痛みがある
・胸や背中の痛む場所が移動する
・急な息切れ、強い呼吸困難がある
・深呼吸で胸の痛みが強くなる
・ゼーゼー、ヒューヒューして呼吸が苦しい
・冷や汗、吐き気、顔色の悪さを伴う
・意識が遠のく、失神しそうになる
・ろれつが回らない、顔の片側がゆがむ
・片方の腕や足に力が入らない、突然しびれる
・支えなしで立てないほど急にふらつく
・今までの発作と明らかに違うと感じる

厚生労働省の「上手な医療のかかり方」では、急な息切れ・呼吸困難、胸の中央が締め付けられるような痛みや圧迫されるような痛みが2〜3分続く場合、突然の激痛、痛む場所が移動する場合などは、迷わず119番を検討する症状として示されています。

救急車を呼ぶべきか迷う場合は、地域によっては救急安心センター事業「#7119」で相談できます。#7119は、急な病気やけがで「救急車を呼んだ方がよいか」「今すぐ病院に行った方がよいか」迷ったとき、医師・看護師・救急救命士などから電話で助言を受けられる仕組みです。

症状が落ち着いた後は、どこに相談する?

救急搬送後に症状が落ち着いている場合でも、不安が残ることは珍しくありません。相談先は、今の症状や、これまで受けた検査の状況によって変わります。

状況相談先の目安
今まさに強い胸痛・呼吸困難・意識障害・失神しそうな感じがある119番、救急外来、#7119
救急後も胸痛、息切れ、動悸が続く・繰り返す搬送先の病院、かかりつけ医、内科、循環器内科
咳、喘鳴、ゼーゼーする呼吸、息苦しさがある内科、呼吸器内科
脈が乱れる、急に脈が速くなる、失神しそうになる循環器内科
体重減少、手の震え、発汗、不眠、脈が速い状態が続く内科、内分泌内科、甲状腺を診られる医療機関
倦怠感、息切れ、めまい、顔色の悪さが続く内科
救急で受けた検査結果の説明をもう一度聞きたい搬送先の病院、かかりつけ医
身体の病気は一通り確認されているが、同じような発作を繰り返す心療内科、精神科
「また起きたらどうしよう」という不安が続く心療内科、精神科
電車・人混み・外出・会議などを避けるようになった心療内科、精神科
不眠、気分の落ち込み、仕事や学校への支障もある心療内科、精神科

ポイントは、身体の病気を確認したうえで、パニック発作や不安の関与も相談するという順番です。

心療内科や精神科に相談することは、「身体の症状が気のせいだった」という意味ではありません。パニック発作では、実際に動悸、息苦しさ、胸の苦しさ、めまい、しびれなどの身体症状が起こります。ただし、似た症状を起こす病気があるため、必要な検査を受けたうえで相談することが大切です。

心療内科・精神科に相談する目安

救急や内科で緊急性の高い身体の異常が見つからなかった後も、次のような状態が続く場合は、心療内科や精神科で相談する目安になります。

・同じような動悸や息苦しさの発作を繰り返している
・発作のたびに「死ぬのではないか」「倒れるのではないか」と強い恐怖を感じる
・「また発作が起きたらどうしよう」という不安が続いている
・電車、バス、人混み、会議、レジ待ちなどを避けるようになった
・一人で外出するのが怖くなった
・仕事や学校、家事、育児に支障が出ている
・救急や内科を何度も受診しているが、原因がはっきりしない
・眠れない、気分が落ち込む、生活範囲が狭くなっている

ただし、大切なのは、「パニック障害かどうかを自分で決めること」ではありません。まずは身体の病気の確認を行い、そのうえで発作への不安や生活への影響が続く場合に、心療内科・精神科で相談するという流れです。

受診時には何を伝えればいい?

受診時には、うまく説明しようとしすぎなくても大丈夫です。救急での検査結果や、発作が起きたときの状況をメモしておくと、診察で症状を整理しやすくなります。

持参・メモしておくとよいものは、次のような内容です。

・救急搬送された日付
・救急で受けた検査内容
・検査結果、紹介状、お薬手帳
・発作が起きた場所や状況
・動悸、息苦しさ、胸痛、めまい、しびれなどの症状
・症状がピークになるまでの時間、落ち着くまでの時間
・そのときの脈拍や血圧、酸素飽和度がわかればその数値
・「死ぬのではないか」「倒れるのではないか」と感じたか
・発作後に避けるようになった場所や行動
・睡眠不足、疲労、ストレス、カフェイン、飲酒、服薬状況
・家族歴や、過去に同じような症状があったか

診察では、パニック発作の可能性だけでなく、不安症、うつ状態、睡眠の問題、身体疾患の可能性、薬やカフェインなどの影響も含めて確認することがあります。

「メンタル」と言われても、気のせいではありません

救急で「異常なし」と言われた後に、「メンタルの影響かも」と言われると、戸惑う方は少なくありません。

「こんなに苦しかったのに、心の問題なのか」

「大げさだったと思われたのでは」

「また救急に行ったら迷惑なのでは」

このように感じる方もいます。

しかし、パニック発作や強い不安による身体症状は、本人にとって非常につらいものです。動悸や息苦しさ、胸の苦しさ、めまいなどは実際に起こります。

心療内科や精神科に相談することは、症状を「気のせい」と片づけることではありません。身体の検査で大きな異常が見つからなかった後も続く不安や発作に対して、別の角度から対処を考えることです。

大切なのは、身体の病気の確認と、不安や発作への相談を対立させないことです。どちらか一方だけではなく、必要に応じて両方の視点から確認していきましょう。

相談先がすぐ見つからないとき

心療内科や精神科は、地域によって予約が取りにくいことがあります。その場合は、まず搬送先の病院、かかりつけ医、内科、循環器内科、呼吸器内科などで、検査結果や今後の相談先について確認してもよいでしょう。

救急搬送された際の検査結果や紹介状があると、次の医療機関で経過を共有しやすくなります。

また、心療内科・精神科に予約する際は、次のように伝えるとスムーズです。

「動悸と息苦しさで救急搬送されました」

「救急では大きな異常はないと言われました」

「パニック発作かもしれないと言われました」

「その後も、また起きたらどうしようという不安が続いています」

このように伝えることで、医療機関側も相談内容を把握しやすくなります。

まとめ

動悸や息苦しさで救急搬送され、検査で「異常なし」と言われても、症状のつらさがなかったわけではありません。

一方で、動悸・息苦しさ・胸痛は、パニック発作だけでなく、心筋梗塞、喘息発作、大動脈解離、肺塞栓症、不整脈、気胸、甲状腺機能亢進症、低血糖、貧血などでも起こることがあります。

救急で「異常なし」と言われた場合も、それは「その時点で緊急性の高い異常がはっきり見つからなかった」という意味であり、身体の病気が完全に否定されたという意味ではありません。症状が続く、繰り返す、いつもと違う場合は、搬送先の病院やかかりつけ医、内科、循環器内科、呼吸器内科などで相談しましょう。

身体の病気が一通り確認され、緊急性の高い異常が見つからなかった後も、同じような発作を繰り返す場合や、「また起きたらどうしよう」という不安が続く場合、電車や人混みを避けるようになった場合は、心療内科や精神科で相談できます。

「異常なし」と言われた後も、不安が続くときは一人で抱え込まず、医療機関に相談しましょう。

動悸・息苦しさ、パニック発作が心配な方へ

「突然の動悸や息苦しさで救急搬送された」

「救急では異常なしと言われたが、また起きないか不安」

「メンタルの影響かもしれない、パニック発作かもしれないと言われた」

「電車や人混み、外出が怖くなってきた」

「身体の病気ではないと言われても、症状がつらくて困っている」

このような症状や不安がある方は一度てらすクリニックにっぽりにご相談ください。

当院では、動悸・息苦しさで救急搬送された後に不安が続いている方、パニック発作が心配な方のご相談を受け付けています。現在の症状、これまでの検査結果、生活への影響、発作が起きた状況などを確認しながら、必要に応じて身体疾患の確認や専門医療機関との連携も含めて対応を検討します。

受診時には、救急で受けた検査結果や紹介状、お薬手帳、発作が起きた状況のメモがあればお持ちください。

日暮里駅から徒歩1分でアクセスが良く、土日や平日夜も診療を行っているため、ご家族が付き添う場合にも、仕事や生活の予定に合わせて受診しやすい体制です。

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※強い胸痛、急な呼吸困難、意識障害、ろれつが回らない、片側の手足に力が入らないなど緊急性が疑われる症状がある場合は、当院受診ではなく119番や救急外来への相談を優先してください。

監修者情報

船橋 健吾
医師 船橋 健吾

東京医科歯科大学医学部医学科卒業(現・東京科学大学)
地方中核病院やメンタルクリニック・訪問診療クリニックなどで勤務
てらすクリニックひきふね 院長
(内科・心療内科・精神科・訪問診療)

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