【睡眠時無呼吸症候群】CPAPの使用時間はどれくらいがいいの?合わない時どうしたらいいの?【論文紹介】
当院、てらすクリニックにっぽりでも最近睡眠時無呼吸症候群も含めて、「眠り」「不眠症」に関してのご相談が増えてまいりました。その中で良く聞かれるのがCPAPはどれくらい使えば良いのですか?とよく聞かれます。
興味深い論文があり、CPAPをどれくらいの時間使用することでどのような効果がでるのかは使用時間によって変わりますので紹介したいと思います。
「4時間以上使っているから大丈夫」
「自分ではスッキリ起きられているから、短時間でも問題ないはず」
「途中で外してしまうけれど、少しは使っているから十分かな」
そう思っている方もいるかもしれません。
もちろん、CPAPは短時間でも使用する意味があります。
しかし、日中の眠気や集中力、生活の質をよりしっかり改善するためには、4時間で満足せず、眠っている間はできるだけCPAPを装着することが大切です。
今回は、2007年にSLEEP誌に発表された有名な論文をもとに、
「CPAPは毎晩何時間くらい使うとよいのか」
「なぜ4時間だけでは十分でない場合があるのか」
について分かりやすく解説します。
※参考論文:Weaverら
「Relationship between hours of CPAP use and achieving normal levels of sleepiness and daily functioning」
2007年・SLEEP誌
結論:目標は「眠っている間はできるだけずっと」
CPAPの使用時間について、まず大切な結論は次の通りです。
CPAPは、眠っている時間中できるだけ装着することが理想です。
よく「4時間」という数字が目安として使われることがあります。
しかし、4時間はあくまで一つの目安であり、ゴールではありません。
CPAPの効果は、使用時間が長いほど出やすいと考えられています。
特に、日中の眠気、集中力、仕事や家事のパフォーマンス、生活の質までしっかり改善したい場合には、4時間よりも長い使用が重要になります。
CPAPの使用時間と改善度を調べた有名な研究
Weaverらの研究では、重症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者さん149名を対象に、CPAPの使用時間と症状の改善度との関係が調べられました。
研究では、CPAPを3か月間使用してもらい、次のような項目を評価しました。
- 自分で感じる日中の眠気
- 検査で評価する客観的な眠気
- 日常生活の機能や生活の質
その結果、どの症状を改善したいかによって、目安となるCPAPの使用時間が異なることが分かりました。
レベル1:自分で日中感じる眠気の改善には「4時間前後」が一つの目安
まず、患者さん自身が感じる日中の眠気についてです。
この研究では、ESSという眠気のアンケートを使って、日中の眠気を評価しました。
その結果、自分で感じる眠気の改善には、1晩あたり4時間前後のCPAP使用が一つの目安とされました。
つまり、4時間ほど使うことで、
「昼間の眠気が少し楽になった」
「以前より起きていられるようになった」
と感じやすくなる可能性があります。
ただし、ここで注意が必要です。
これはあくまで、自分で感じる眠気の改善です。
自分では「眠くない」と思っていても、実際には脳や体に眠気が残っていることがあります。
レベル2:客観的な眠気の改善には「6時間前後」が一つの目安
次に、検査で評価する客観的な眠気です。
研究では、MSLTという検査を使って、脳がどのくらい眠気を感じているかを客観的に調べました。
その結果、客観的な眠気を正常に近づけるには、1晩あたり6時間前後のCPAP使用が一つの目安とされました。
ここがとても大切なポイントです。
自分では、
「今日はスッキリしている」
「眠気はあまり感じない」
と思っていても、検査で見るとまだ眠気が残っている場合があります。
つまり、自覚症状の改善と、実際の脳や体の回復にはズレがあるということです。
レベル3:日常生活の機能やQOLの改善には「7時間台」が一つの目安
さらに、仕事、家事、集中力、活動性、気力など、日常生活の機能や生活の質についても調べられました。
この研究では、FOSQという指標を使って、睡眠の問題が日常生活にどれくらい影響しているかを評価しています。
その結果、日常生活の機能や生活の質をより十分に改善するには、1晩あたり7.5時間前後のCPAP使用が一つの目安とされました。
つまり、CPAPは
「眠気を取るためだけの機械」
ではありません。
翌日の集中力、仕事の効率、家事のしやすさ、活動量、気分など、日中の生活全体に関わる治療です。
なぜ「4時間でOK」と考えない方がよいのか
4時間CPAPを使うことに意味がない、というわけではありません。
むしろ、CPAPに慣れる最初の段階では、4時間使えることは大切なステップです。
しかし、4時間で日中の眠気が楽になったとしても、そこで治療の目標を止めてしまうのは、少しもったいないかもしれません。
なぜなら、CPAPの効果には段階があるからです。
自分で感じる眠気の改善には、4時間前後が一つの目安。
検査で分かる客観的な眠気の改善には、6時間前後が一つの目安。
日常生活の機能やQOLの改善には、7時間台が一つの目安。
このように、改善したい内容によって、必要とされる使用時間は変わってきます。
「4時間使ったから終わり」ではなく、
眠っている間はできるだけCPAPを使う
という考え方が大切です。
CPAPは「翌日のパフォーマンス」を支える治療
CPAPは、睡眠中の呼吸を助けるだけの機械ではありません。
睡眠中の無呼吸や低呼吸を減らすことで、睡眠の質を整え、翌日の日中の眠気や集中力、生活の質の改善につながる治療です。
日中にこんな症状がある方は、CPAPの使用時間が十分かどうかを見直してみる価値があります。
- 朝起きても疲れが残っている
- 昼間に眠くなる
- 会議中や運転中に眠気を感じる
- 集中力が続かない
- 仕事や家事の効率が落ちている
- 夕方になると強い疲れを感じる
- CPAPを使っているのにスッキリしない
CPAPを使っていても、このような症状が残っている場合、使用時間が短いだけでなく、マスクの種類、空気圧、鼻づまり、乾燥、装着感などが影響していることもあります。
朝までCPAPを着けられない方へ
「本当は長く使いたいけれど、朝まで着けられない」
という方も少なくありません。
CPAPを途中で外してしまう原因には、次のようなものがあります。
- マスクが合わない
- 空気が漏れる
- 息苦しい
- 圧が強く感じる
- 鼻が詰まる
- 口が乾く
- 肌に跡がつく
- 寝返りで外れてしまう
- 違和感があって眠れない
このような場合、無理に我慢する必要はありません。
CPAPの機種を変更したり、マスクの種類を変えたり、装着方法を調整したり、色々な設定を見直したりすることで、使いやすくなることがあります。
また、鼻づまりやアレルギー性鼻炎がある方では、鼻の治療をあわせて行うことで、CPAPを続けやすくなる場合もあります。
又、眠りが浅くなってしまう方には適切に不眠症治療薬を併用することでできるだけ使えるようになる場合もあります。
CPAPは、ただ渡されて終わりの治療ではありません。
使いながら調整して、自分に合った形にしていくことが大切です。
まとめ:CPAPは「4時間」ではなく可能な限り長く、「眠っている間ずっと」を目標に
CPAPの使用時間について大切なのは、
4時間は一つの目安であって、最終目標ではない
ということです。
自分で感じる眠気の改善には、4時間前後が一つの目安になります。
しかし、客観的な眠気や日常生活の機能、生活の質までしっかり改善したい場合には、より長い使用時間が必要になることがあります。
理想は、眠っている間はできるだけCPAPを装着することです。
最初から朝まで完璧に使えなくても大丈夫です。
まずは今より30分、1時間でも長く使えるように工夫してみましょう。
CPAPを長く、快適に使えるようになることは、翌日の眠気、集中力、仕事や生活の質の改善につながる可能性があります。
CPAPが合わない方、無呼吸でつらい方はご相談ください
てらすクリニックにっぽりでは、睡眠時無呼吸症候群の検査・治療、CPAP治療中のご相談を含め内科・精神科・心療内科の観点から睡眠に対する総合的なアプローチを行っています。
「いびきが大きいと言われる」
「寝ている時に呼吸が止まっていると言われた」
「朝起きても疲れが取れない」
「日中の眠気がつらい」
「CPAPを使っているのにスッキリしない」
「今使っているCPAPのマスクが合わない」
「息苦しくて途中で外してしまう」
「もっと長くCPAPを使いたいけれど、朝まで続けられない」
このようなお悩みがある方は、検査・診断からも可能です。
又、他院でCPAPを使用しているが単に通うだけになっていて満足行かない方もお気軽にご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群は、放置すると日中の眠気だけでなく、生活の質や体調にも影響することがあります。
一方で、CPAPは自分に合った形で継続できるように調整していくことが大切な治療です。
無呼吸でつらい方、CPAPが合わずに困っている方、今の治療に不安がある方は、てらすクリニックにっぽりまでご相談ください。
当院では、心療内科・精神科・内科の視点から、こころとからだの両面を確認し、睡眠時無呼吸症候群の可能性も含めて治療方針を考えます。
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監修者情報
東京医科歯科大学医学部医学科卒業(現・東京科学大学)
地方中核病院やメンタルクリニック・訪問診療クリニック・産業医として勤務
当院の分院であるてらすクリニックひきふね 院長
(内科・心療内科・精神科・訪問診療)
産業医やケアマネジャーとしても働きつつ、働く皆様や高齢者のお力になりたいと考えています。