
強迫性障害は、本人の意図に反して頭に浮かんでくる不安な考えや気がかりな思い(強迫観念)と、その不安を軽減するために繰り返し行ってしまう行動(強迫行為)を主な特徴とする疾患です。
人口の約2~3%程度の方が生涯のうちに発症するとされており、比較的多くみられる病気です。発症年齢は若い世代に多く、35歳を過ぎてからの発症は少ないとされています。症状の程度によっては、日常生活や社会活動に大きな影響を及ぼすこともあります。
強迫性障害の症状は、「強迫観念」と「強迫行為」に分けられます。これらが単独で、あるいは両方同時に現れることがあります。
繰り返し心に浮かんでくる考えやイメージで、多くの場合、強い不安感や不快感を伴います。
強迫観念によって生じた不安を和らげるために、実際に行う行動や心の中で行う行為です。
症状の現れ方は人それぞれで、同じような症状であっても、その頻度や深刻さは異なります。また、時期によって症状が軽くなったり重くなったりすることもあります。
強迫性障害の発症メカニズムは、まだ完全には明らかになっていません。現在のところ、複数の要因が関与していると考えられています。
家族内に強迫性障害の方がいる場合、発症のリスクが高まることが知られています。家族歴がある方は、そうでない方と比べて発症率が3~5倍高いという報告があります。
脳の特定の領域における血流や神経活動の変化が関係している可能性が指摘されています。また、脳の構造的な特徴との関連も研究されています。
幼少期の体験や、人生の転機におけるストレス(妊娠・出産、育児、環境の変化など)が、発症のきっかけとなる場合があります。
強迫性障害の治療は、主に薬物療法と精神療法を組み合わせて行われます。
セロトニンという脳内の神経伝達物質に働きかける薬(SSRI)が治療の中心となります。効果が現れるまでに2.3週間程度かかることがあるため、症状に応じて抗不安薬を併用する場合もあります。
強迫性障害には認知行動療法が効果的とされています。中でも、曝露反応妨害法という手法が用いられることがあります。これは、不安を感じる状況にあえて身を置き、いつもの強迫行為を行わずに過ごすことで、「強迫行為をしなくても大丈夫」という体験を積み重ねていく方法です。
治療方法は、患者様お一人お一人の症状や生活状況に応じて検討していきます。
強迫性障害は適切な治療により改善が期待できる疾患です。症状に思い当たることがある場合は、ひとりで抱え込まず、お気軽にご相談ください。