場面緘黙症とは?子ども・大人の症状、社交不安症との関係、受診の目安などについて説明
家では話せるのに、学校や職場では話せないことがあります
「家ではよく話すのに、学校では声が出ない」
「家族とは話せるのに、職場ではあいさつや電話ができない」
「人前で話そうとすると固まってしまう」
「話したい気持ちはあるのに、声が出ない」
「ただの人見知りなのか、病気なのか分からない」
このような状態が続く場合、場面緘黙症、または選択性緘黙と呼ばれる状態が関係していることがあります。
場面緘黙症は、本人がわざと黙っている状態ではありません。家庭など安心できる場面では話せる一方で、学校、職場、人前、初対面の相手の前など、特定の社会的場面で話せなくなる状態です。選択性緘黙は特定の社会的状況で話すことができなくなる不安症の一つであり、本人が話すことを拒否しているのではなく、実際に話すことができない状態だと説明されます。
学校生活や仕事、日常生活に支障が出ている場合は、「性格の問題」と決めつけず、医療機関職への相談を検討しましょう。
場面緘黙症とは
場面緘黙症とは、話す能力があるにもかかわらず、特定の場面で一貫して話せなくなる状態です。
たとえば、家では家族と自然に会話できるのに、学校では先生の質問に答えられない、職場では会議や電話で声が出ない、といった形で現れます。
「話さない」のではなく、「話したくても話せない」状態であることが大切なポイントです。話すことを求められる場面で強い不安や緊張が起こり、体が固まる、喉が詰まる、言葉が出ない、といった反応が起こることがあります。
診断の考え方としては、特定の場面で話せない状態が続いていること、安心できる場面では話せること、その状態が学校・仕事・社会生活に影響していることなどを確認します。
子どもの場面緘黙症でみられるサイン
子どもの場面緘黙症では、家庭と幼稚園や保育園・学校での様子に大きな差がみられることがあります。
家庭では、家族と普通に話す、よく笑う、兄弟姉妹と遊びながら会話するなど、会話そのものには大きな問題がないように見えることがあります。
一方で、園や学校では、先生に返事ができない、あいさつができない、音読や発表ができない、友達に話しかけられない、困ったことを伝えられない、といった様子がみられます。
話すこと以外にも、表情が硬くなる、固まる、視線を合わせにくい、うなずきや指差しだけで答える、給食や行事で緊張が強い、トイレや体調不良を伝えられない、といった困りごとが出ることもあります。
大人の場面緘黙症でみられるサイン
場面緘黙症は子どもの症状として知られることが多いですが、大人にも影響することがあります。子どものころから「学校で話せなかった」「人前で固まっていた」という経験があり、大人になってから職場、大学、面接、電話、会議などで困りごとが目立つこともあります。
大人の場合、職場では、会議で発言できない、電話対応が難しい、上司や同僚に質問できない、報告・相談が遅れる、あいさつや雑談が強い負担になる、といった形で現れることがあります。
大学や専門学校では、ゼミや発表で声が出ない、グループワークに参加しづらい、教員や窓口に相談できない、自己紹介や出席確認がつらい、といった困りごとにつながることがあります。
日常生活では、病院の受付で症状を説明できない、役所や銀行の窓口で話せない、美容院や飲食店で希望を伝えにくい、電話予約ができない、家族や親しい人に代わりに話してもらうことが多い、という場合もあります。
選択性緘黙は成人期まで続くことがあり、成人では大学生活や面接、就労に影響をすることがしばしばです。
場面緘黙症と社交不安症・社交不安障害との関係
場面緘黙症と関係が深い状態の一つに、社交不安症、または社交不安障害があります。
社交不安症は、人前で話す、注目される、評価される、失敗を見られるといった場面で、強い不安や恐怖が生じる状態です。社交不安症は社会的状況への長期的で圧倒されるような恐怖であり、日常生活、自信、人間関係、仕事や学校生活に影響することがあると説明されています。
場面緘黙症では、「特定の場面で話せないこと」が中心になります。一方、社交不安症では、「人からどう見られるか」「失敗したらどう思われるか」「恥をかくのではないか」という不安が、会話、発表、電話、会議、面接、食事、雑談など幅広い対人場面に出ることがあります。
ただし、両者は重なることがあります。場面緘黙症が長く続くことで、人前で話すことへの不安が強まり、社交不安症のような困りごとが目立つこともあります。
場面緘黙症に関連する疾患・状態
場面緘黙症は、「話せない」という症状だけでなく、不安の強さ、発達特性、言語・発話の困難、感覚過敏、過去のストレス体験などが関係している場合があります。
関連することがある状態としては、社交不安症、分離不安症、全般不安症、自閉スペクトラム症、発達障害、言語発達症、吃音、発声や発話の困難、聴覚や聞き取りの問題、適応障害、うつ状態、PTSDなどが挙げられます。
場面緘黙症は、学校場面など社会生活で困難感を抱えることが少なくないとされています。また、幼児期、学童期、思春期、青年・成人期といった各年代での生活困難感を把握し、支援体制を整える必要性が示されています。
そのため、受診や相談では、場面緘黙症だけでなく、社交不安症、発達特性、うつ状態、言語・発話の困難、家庭・学校・職場での環境要因なども含めて確認していくことが大切です。
受診・相談を考える目安
家では話せていても、学校・職場・日常生活で困りごとが続いている場合は、相談してよい状態です。
子どもの場合は、園や学校で話せない状態が続いている、先生に返事ができない、音読や発表ができない、友達に話しかけられない、トイレや体調不良を伝えられない、登園・登校を嫌がる、学習や友人関係に影響が出ている、といった場合に相談を検討しましょう。
大人の場合は、職場で報告・相談ができない、会議で発言できない、電話対応ができない、面接や自己紹介で声が出ない、大学や職場で必要なやり取りができない、病院や役所などの窓口で説明できない、不安や落ち込みが強くなっている、といった場合が相談の目安になります。
また、「急に話せなくなった」「ろれつが回らない」「片側の手足に力が入らない」「顔の片側が動かしにくい」など、脳卒中などが疑われる急な症状がある場合は、場面緘黙症として自己判断せず、救急相談や119番を優先してください。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、脳卒中では言葉が出にくい、ろれつが回らない、片側の手足や顔の症状が突然出ることがあり、こうした症状ではすぐに救急車を呼ぶ必要があるとされています。
受診時に伝えるとよいこと
場面緘黙症がある方は、診察室でもうまく話せないことがあります。そのため、受診前にメモを用意しておくと安心です。
たとえば、次のような内容をメモしておくと、診察で状況を整理しやすくなります。
どの場面では話せるか。
どの場面では話せないか。
いつごろから続いているか。
学校、職場、家庭、外出先で何に困っているか。
うなずき、筆談、スマートフォンのメモなら伝えられるか。
電話、発表、会議、窓口対応など、特に苦手な場面は何か。
不安、緊張、落ち込み、不眠、食欲低下などがあるか。
発達、言葉、聞こえ、感覚過敏、学習面で気になることがあるか。
子どもの場合は、家庭・学校・習い事での様子の違い。
大人の場合は、子どものころから似た困りごとがあったか。
診察中に話せなくても、メモ、筆談、スマートフォンの画面、問診票、同伴者からの情報などを使って相談できます。NHSでも、選択性緘黙のある人は評価場面で話せないことがあり、臨床家は別のコミュニケーション方法を準備する必要があると説明されています。
家庭・学校・職場でできる対応
場面緘黙症のある人に対して、無理に話させようとすると、不安や緊張がさらに強くなることがあります。
家庭では、「なんで話さないの?」「ちゃんとあいさつしなさい」と責めるのではなく、本人が安心できる環境を整えることが大切です。話せたかどうかだけで評価せず、うなずけた、メモで伝えられた、先生の近くまで行けた、必要な場面に参加できた、など小さな変化を確認していきましょう。
学校では、急な音読や発表を求めない、返事はうなずきやカードでもよいとする、トイレや体調不良を伝える合図を決める、安心できる先生や友達から少しずつ関わる、家庭と支援方針を共有する、といった工夫が考えられます。
職場では、報告・相談をチャットやメールでも可能にする、会議前に議題を共有する、発言を事前メモで提出できるようにする、電話対応をいきなり任せない、雑談やあいさつだけで評価しない、といった配慮が役立つことがあります。
支援では、「話すこと」だけをゴールにするのではなく、話すことに伴う不安を下げ、本人が使いやすい伝え方を認めながら、少しずつコミュニケーションの幅を広げることが大切です。
てらすクリニックにっぽりで相談できること
場面緘黙症が心配な方、学校や職場で話せないことで困っている方、社交不安症や発達特性など関連する状態が気になる方は、てらすクリニックにっぽりへご相談ください。
当院では、現在の症状、どの場面で話せるか・話せないか、これまでの経過、学校・職場・家庭での困りごと、不安の強さ、睡眠や気分の状態、発達特性や社交不安症など関連する症状について確認します。
診察室でうまく話せない場合も、無理に話す必要はありません。問診票、メモ、筆談、スマートフォンの画面、同伴者からの情報などを使いながら、困っていることを整理していきます。
必要に応じて、学校や職場での配慮、心理的支援、社交不安症やうつ状態など関連症状の評価、他の専門機関との連携も含めて対応を検討します。
未成年の方の場合は、年齢や状況に応じて、保護者の方からの情報、学校での様子、必要な支援先についても確認します。児童精神科、小児科、学校相談、発達相談など専門機関との連携が望ましい場合は、状況に応じてご案内を検討します。
受診時にお持ちいただきたいもの
受診時には、可能な範囲で以下をお持ちください。
学校や職場での困りごとをまとめたメモ。
話せる場面・話せない場面を整理したメモ。
これまでの相談歴や診断歴が分かる資料。
紹介状や診療情報提供書。
お薬手帳。
学校の先生、スクールカウンセラー、職場の産業保健スタッフなどからの共有資料。
発達検査、心理検査、言語検査などを受けたことがある場合はその結果。
メモは長くなくてもかまいません。「いつから」「どこで」「誰の前で」「どの程度話せないか」「生活にどんな影響があるか」が分かるだけでも診察の参考になります。
日暮里駅から徒歩1分、WEB予約も可能です
てらすクリニックにっぽりは、JR日暮里駅から徒歩1分の場所にあります。心療内科・精神科・内科・睡眠障害内科を標榜しており、公式サイトでは月・火・木・金は9:30〜13:00/14:30〜19:00、土・日は9:30〜13:15/14:00〜16:00、水曜・祝日は休診と案内されています。
当院は、JR常磐線・山手線・京浜東北線、京成線、日暮里・舎人ライナーをご利用の方にも通いやすい立地です。また、西日暮里駅からも徒歩圏内のため、西日暮里周辺にお住まいの方や、東京メトロ千代田線をご利用の方にもご来院いただきやすい場所にあります。
沿線主要駅から日暮里駅までのアクセス目安
| 駅 | 日暮里駅までの目安 |
|---|---|
| 西日暮里駅 | 約2分、徒歩でも約10分前後 |
| 北千住駅 | 約6〜8分 |
| 松戸駅 | 約16分 |
| 柏駅 | 約25〜32分 |
| 南千住駅 | 約5分 |
| 青砥駅 | 約9〜14分 |
| 京成高砂駅 | 約12〜17分 |
通勤・通学の前後や、お仕事帰りにも立ち寄りやすく、継続的な通院にも便利です。
※所要時間は目安です。時間帯・列車種別・運行状況により異なる場合があります。
※診療日・診療時間は変更となる場合があります。最新の診療時間はWEB予約画面等でご確認ください。
場面緘黙症が心配な方はご相談ください
場面緘黙症は、本人がわざと話さない状態ではありません。家庭など安心できる場面では話せる一方で、学校、職場、人前、外出先など特定の場面で、不安や緊張によって話したくても話せない状態です。
子どもでは園や学校生活、大人では大学、職場、面接、電話、窓口対応などで困りごとが出やすくなります。また、社交不安症、発達特性、言語・発話の困難、うつ状態、適応障害、PTSDなどが関係している場合もあります。
「性格だから仕方ない」「家では話せるから大丈夫」と一人で抱え込まず、学校生活、仕事、日常生活に支障が出ている場合はご相談ください。
診察では、無理に話す必要はありません。メモ、筆談、スマートフォンの画面、問診票、同伴者からの情報などを使いながら、困っている場面や不安の強さを一緒に整理していきます。
JR日暮里駅から徒歩1分、WEB予約は24時間受付可能です。場面緘黙症が心配な方、社交不安症や発達特性との関連が気になる方、学校や職場で話せないことに困っている方は、てらすクリニックにっぽりへご相談ください。
※急に言葉が出ない、ろれつが回らない、片側の手足に力が入らない、顔の片側が動かしにくい、意識がもうろうとするなど、緊急性が疑われる症状がある場合は、当院受診ではなく119番や救急外来への相談を優先してください。
監修者情報
東京医科歯科大学医学部医学科卒業(現・東京科学大学)
地方中核病院やメンタルクリニック・訪問診療クリニック・産業医として勤務
当院の分院であるてらすクリニックひきふね 院長
(内科・心療内科・精神科・訪問診療)
産業医やケアマネジャーとしても働きつつ、働く皆様や高齢者のお力になりたいと考えています。