心療内科・精神科・内科・睡眠障害内科

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「食べると気持ち悪い」「吐くのが怖い」などの症状は嘔吐恐怖症の可能性があります

2026.6.8

「吐き気が続いているのに、内科では大きな異常がないと言われた」
「胃薬を飲んでも、吐き気への不安が消えない」
「吐くのが怖くて、外食や電車に乗ることがつらい」

このような悩みがある場合、胃腸だけでなく、不安やストレス、嘔吐への強い恐怖が吐き気に関係していることがあります。

もちろん、吐き気があるときは、まず内科や消化器内科で体の病気がないか確認することが大切です。吐き気や嘔吐は、胃腸炎、薬の影響、妊娠、片頭痛、めまいを伴う病気など、さまざまな原因で起こることがあります。胸の痛み、強い腹痛、血が混じる嘔吐、脱水症状、原因不明の体重減少などがある場合は、早めの医療機関受診が必要です。

一方で、内科的な検査や治療を受けても吐き気が続く場合、または「吐いたらどうしよう」という不安が生活に影響している場合には、心療内科や精神科で相談することも選択肢になります。

内科で解決しにくい吐き気に、こころの不調が関係することもあります

吐き気は、胃や腸だけの問題とは限りません。強い不安や緊張があると、動悸、発汗、震え、息苦しさ、めまい、胃の不快感、吐き気など、からだの症状として現れることがあります。パニック発作でも、動悸、発汗、震え、息苦しさ、めまい、胃痛や吐き気などがみられることがあります。

たとえば、次のような状態です。

  • 外出前になると吐き気が強くなる
  • 電車やバスなど、すぐに降りられない場所で気分が悪くなる
  • 外食や会食の前に「吐いたらどうしよう」と考えてしまう
  • 少し胃がムカムカしただけで強い不安になる
  • 吐き気が出ること自体が怖くなり、さらに吐き気が強まる

このような場合、吐き気の背景に不安症状嘔吐恐怖が関係していることがあります。不安症は、単なる心配を超えて長く続き、学校・仕事・人間関係などの日常生活に支障をきたすことがあります。

嘔吐恐怖とは

嘔吐恐怖とは、不安障害の一種で、吐くこと、吐き気を感じること、他人が吐く場面を見ることなどに対して、強い恐怖や不安を感じる状態です。英語では emetophobia と呼ばれます。嘔吐恐怖は「吐くことや嘔吐への強い恐怖」と説明されており、吐き気を感じること、他人が吐く場面を見ること、嘔吐に関連する言葉を聞くことなどが不安やパニックのきっかけになることがあるとされています。

吐くことが苦手な人は少なくありません。しかし、著しく嘔吐への恐怖が強くなると、食事、外出、移動、人付き合いなどに大きな影響が出ることがあります。

嘔吐恐怖でみられやすい症状

嘔吐恐怖では、「実際に吐きそうなとき」だけでなく、「吐くかもしれない」と考えただけで不安が高まることがあります。

たとえば、次のような症状がみられることがあります。

  • 吐き気を感じること自体が怖い
  • 自分が吐いてしまうのではないかと強く不安になる
  • 他人が吐く場面を見たり、音を聞いたりすることが怖い
  • 嘔吐に関する言葉、映像、においに敏感になる
  • 食後や外出前に体調を何度も確認する
  • 「逃げられない場所」で吐き気が出ることを恐れる
  • トイレの場所を事前に確認しないと落ち着かない

嘔吐恐怖のきっかけとして、吐き気を感じること、他人が吐く場面を見ること、嘔吐に関連する言葉を聞くこと、近くのトイレがわからない場所にいることなどが挙げられています。

からだに出る症状

嘔吐恐怖や強い不安があると、からだにも反応が出ます。

  • 胃がムカムカする
  • のどが詰まる感じがする
  • 心臓がドキドキする
  • 汗をかく
  • 手足が震える
  • 息苦しくなる
  • めまい、ふらつきが出る
  • その場から逃げ出したくなる

ここでつらいのは、不安によって吐き気が出ると、その吐き気をきっかけにさらに不安が強くなることです。

「吐き気がする」
「吐くかもしれない」
「ここで吐いたらどうしよう」
「もっと気持ち悪くなってきた」

このような悪循環が起こると、吐き気そのものだけでなく、吐き気への恐怖が日常生活を制限してしまいます。

行動面に出る症状:避ける・確認する

嘔吐恐怖では、不安を避けるための行動が増えることがあります。

  • 外食を避ける
  • 会食や飲み会を断る
  • 電車、バス、飛行機、船などを避ける
  • 旅行に行けなくなる
  • 人混みや映画館、美容室など「すぐに出られない場所」が苦手になる
  • 食べ慣れたものしか食べられない
  • 食品の賞味期限や調理状態を何度も確認する
  • 体調不良の人を避ける
  • 近くにトイレがあるか常に確認する

これらの行動は、短期的には安心につながることがあります。しかし、避ける行動が続くと、生活の範囲が少しずつ狭くなってしまうことがあります。

心療内科・精神科で相談した方がよい目安

次のような状態が続く場合は、心療内科や精神科で相談することを検討してもよいでしょう。

  • 内科や消化器内科で大きな異常がないと言われたが、吐き気が続いている
  • 胃薬や吐き気止めだけでは不安が改善しない
  • 吐き気よりも「吐くかもしれない」という恐怖がつらい
  • 外食、通勤、通学、旅行、人付き合いを避けるようになった
  • 食べられるものや量がかなり限られている
  • 体重減少や栄養不足が心配
  • 吐き気への不安が頭から離れない
  • パニックのような症状が出る
  • 家族や周囲に理解されず、一人で抱え込んでいる

心療内科や精神科では、吐き気そのものだけでなく、吐き気を強めている不安、恐怖、回避行動、生活への影響を含めて相談できます。

「気のせい」ではありません

内科で異常が見つからない吐き気を、「気のせい」と片づける必要はありません。

不安や緊張がからだに影響することは実際にあります。吐き気を感じるから不安になり、不安になるからさらに吐き気が強まる。そのような悪循環が続いている場合、こころとからだの両面から考えることが大切です。

心療内科や精神科に相談することは、「体の症状を否定すること」ではありません。むしろ、内科での確認を踏まえたうえで、吐き気を続かせている不安や恐怖にも目を向けるための選択肢です。

受診時に伝えるとよいこと

心療内科や精神科を受診するときは、次のようなことをメモしておくと相談しやすくなります。

  • 吐き気が始まった時期
  • 吐き気が出やすい場面
  • 実際に嘔吐することがあるか
  • 内科で受けた検査や治療
  • 飲んでいる薬
  • 避けている場所や食べ物
  • 日常生活で困っていること
  • 「吐くこと」への恐怖の強さ

「吐き気がある」だけでなく、「吐き気が怖くて何ができなくなっているか」を伝えることが重要です。

嘔吐恐怖の治療

嘔吐恐怖や不安が関係する吐き気では、症状や生活への影響に応じて、心理療法や薬物療法などが検討されることがあります。たとえば、不安が高まる考え方や行動のパターンを整理したり、避けている場面に少しずつ向き合う練習を行ったりすることがあります。認知行動療法や暴露療法などが検討されることがあります。

薬物療法も併用されることがあり、慢性的な不安感やパニック発作には抗うつ薬(SSRI)や抗不安薬を使用することがあります。ただし抗うつ薬(SSRI)等では吐き気の副作用が出ることもあり注意が必要です。

治療内容は人によって異なります。大切なのは、吐き気を「我慢する」だけではなく、吐き気への不安や生活上の困りごとを一緒に整理していくことです。

まとめ

吐き気がある場合、まずは内科や消化器内科で体の病気がないか確認することが大切です。

そのうえで、胃薬だけでは改善しない、吐き気への恐怖で外食や移動がつらいといった場合には、心療内科や精神科で相談できることがあります。

嘔吐恐怖では、吐き気そのものだけでなく、「吐くかもしれない」という不安が生活を大きく制限することがあります。一人で抱え込まず、内科で解決しにくい吐き気や嘔吐への強い不安が続く場合は、心療内科・精神科で相談してみましょう。

受診を検討される方へ

吐くことへの強い恐怖、吐き気への不安、会食や外出を避けてしまうなどの症状でお困りの方は、てらすクリニックにっぽりへの受診をご検討ください。

吐き気が続く場合は、まず内科や消化器内科で身体の病気がないか確認することが大切です。
一方で、内科的な検査で大きな異常が見つからない、胃薬を飲んでも吐き気への不安が続く、外食や電車に乗ることがつらいといった場合には、不安やストレス、嘔吐恐怖が関係していることがあります。

診療では、まず現在の症状や生活への影響、吐き気が出やすい場面、内科で受けた検査や治療、食事量や体重の変化、不安が強くなる状況などを確認します。
最初からすべてを整理して話す必要はありません。

「吐くのが怖くて外食できない」
「会食の予定が入ると、数日前から不安になる」
「食事中に気持ち悪くなったらどうしようと考えてしまう」
「電車やバスの中で吐き気が出たらどうしようと不安になる」
「人が吐く場面や、嘔吐に関する話題が怖い」
「内科では異常なしと言われたが、吐き気が続いている」
「胃薬を飲んでも、吐き気への不安が消えない」
「食べられるものや食事量が減ってきた」
「嘔吐恐怖なのか、パニックや不安なのか分からない」
「薬の副作用で吐き気が出ないか不安で、治療を始めるのも怖い」

このような状態でも相談できます。

診療では、現在困っている症状を整理し、嘔吐恐怖、会食恐怖、パニック症状、広場恐怖、社交不安、不安に伴う身体症状、ストレスによる胃腸症状、強迫的な確認行動、気分の落ち込みなどの可能性を確認します。

そのうえで、必要に応じて薬物療法、生活リズムの調整、不安と吐き気の悪循環の整理、食事や外出の段階的な練習、会食場面への向き合い方、認知行動療法的なサポート、心理的な支援などを検討します。

嘔吐恐怖の症状は一人ひとり異なります。
「吐き気そのものがつらい」方もいれば、「吐くかもしれないという不安」が生活を大きく制限している方もいます。外食が難しい、電車に乗れない、旅行を避けている、食事量が減っているなど、困っている場面は人によってさまざまです。

治療では、いきなり苦手な場面に無理に向き合うのではなく、現在の状態や生活状況を確認しながら、無理のない対応を一緒に考えていきます。
たとえば、まずは吐き気が出る場面を整理するところから始める場合もあれば、不安の強さに応じて薬物療法を検討する場合、外食や移動などの苦手な場面を小さな段階に分けて練習していく場合もあります。

食事量が大きく減っている、体重減少がある、水分が十分に取れない、強い腹痛や嘔吐が続いているなど、身体面の確認が必要な場合には、内科や消化器内科などの受診をご案内することもあります。

必要に応じて、内科・消化器内科、心理的支援が可能な機関、地域の相談機関、より専門的な評価や支援が可能な医療機関などをご案内することもあります。

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吐くことへの強い恐怖、吐き気への不安、会食や外食がつらい、電車や人混みを避けてしまう、内科では大きな異常がないと言われたのに吐き気が続いているなど、生活に支障が出ている場合は、一人で抱え込まずご相談ください。

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監修者情報

船橋 健吾
医師 船橋 健吾

東京医科歯科大学医学部医学科卒業(現・東京科学大学)
地方中核病院やメンタルクリニック・訪問診療クリニック・産業医として勤務
当院の分院であるてらすクリニックひきふね 院長
(内科・心療内科・精神科・訪問診療)

産業医やケアマネジャーとしても働きつつ、働く皆様や高齢者のお力になりたいと考えています。

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