
誰にでも、気分が良い日もあれば悪い日もあります。嬉しいことがあれば自然と気持ちが明るくなり、辛い出来事があれば落ち込んでしまうのは当然のことです。しかし、双極性障害(そううつ病)では、こうした気分の波が極端に大きくなり、その状態が長く続くことで日常生活に支障をきたしてしまいます。
「気分が異常に高揚する」「普段と違って馴れ馴れしくなる」「ほとんど眠らなくても平気」といった状態が4日~1週間以上、ほぼ毎日、1日の大半にわたって続く場合は、双極性障害(そううつ病)の可能性があります。
発症年齢は18歳前後が多く、うつ病よりも若い年齢で発症する傾向があります。一生のうちに双極性障害(そううつ病)になる方は約100人に1人と言われており、特別な病気ではなく誰にでも起こりうる疾患です。
うつ状態が長く続くことも多く、最初は「うつ病」と診断されるケースもあります。しかし、過去や現在にそう状態の時期があれば、双極性障害と診断されます。
双極性障害の原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的要因、環境的要因、ストレスなどが複雑に絡み合っていると考えられています。
うつ病に比べると遺伝の影響がやや強い傾向があることが知られています。
双極性障害は、症状の強さや経過によって次のように分類されます。
明確な「そう状態」と「うつ状態」を繰り返します。症状が激しく、社会生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
軽いそう状態(軽そう状態)とうつ状態を繰り返します。そう状態が軽いため、うつ病と間違われやすいのが特徴です。
軽い気分の高揚と軽いうつ状態を何年も繰り返すタイプです。明確な「そう」「うつ」とは判断しにくい場合があります。
双極性障害の治療は、薬物療法を中心に、休養、精神療法を組み合わせて行います。症状が重い場合には、修正型電気けいれん療法(m-ECT)が検討されることもあります。
まずは、病気を理解し、心身を十分に休ませることが大切です。そう状態のときは「自分が病気である」という認識を持ちにくいため、家族や周囲の協力が不可欠です。休職や休学が必要な場合もあります。
気分の波を安定させる「気分安定薬」や「抗精神病薬」が主に使われます。症状に応じて、抗不安薬や睡眠薬を併用することもあります。
薬物療法は長期間継続する必要があります。自己判断で中止すると再発のリスクが高まるため、医師の指導のもとで継続することが重要です。
心理教育や認知行動療法を通じて、病気への理解を深め、気分の変動の兆候に早期に気づく方法を学びます。また、ストレスへの対処方法や、規則正しい生活リズムを保つ方法なども身につけていきます。
家族療法では、ご家族にも病気について理解していただき、患者を支える体制を整えます。
全身麻酔下で通電し、脳の働きを整える治療法です。そう状態やうつ状態が重く、薬物療法の効果が乏しい場合に行われます。
双極性障害は再発しやすい病気のため、症状が落ち着いた後のケアがとても重要です。
薬の継続に加え、生活リズムの安定(睡眠・食事・対人関係)を保つことが再発防止につながります。また、患者本人、ご家族、医師の三者で協力しながら、病気への理解と早期対応を図ることが大切です。
気分の波の兆候に早く気づき、適切に対処することで、再発を防いだり、症状を軽くしたりすることができます。
双極性障害は、適切な治療を受けることで症状をコントロールし、安定した生活を送ることができます。症状に心当たりがある場合は、ひとりで悩まず、早めにご相談ください。