
適応障害は、日常生活で経験するストレスに心と体がうまく対応できず、さまざまな症状が現れる病気です。
仕事や学校、家庭での変化やプレッシャーは、誰もが経験するものです。通常、私たちは時間とともにストレスに慣れたり、自分なりの対処方法を見つけたりして乗り越えていきます。しかし、ストレスが大きすぎる場合や長期間続く場合、心のバランスが崩れてしまうことがあります。
心療内科や精神科を受診する方のうち、5~20人に1人が適応障害と診断されており、決して珍しい病気ではありません。適切な治療を受けずに放置すると、うつ病などより重篤な状態に進行する可能性があるため、早期の対応が重要です。
適応障害の症状は個人によって異なりますが、主に「精神面の症状」「身体面の症状」「行動面の変化」の3つに分類されます。
一般的に、ストレスとなる出来事が発生してから1か月以内に症状が出現し、ストレス要因から離れれば6か月以内に症状が軽減することが多いとされています。これらの症状によって日常生活に支障が出ている場合は、適応障害の可能性があります。
適応障害を引き起こすストレス要因は、生活のさまざまな場面に存在します。
人間関係のトラブル、長時間労働、異動や転職、昇進や降格に伴うプレッシャー、リストラや雇用の不安定さなどが挙げられます。
いじめ、受験や進学のプレッシャー、教師との関係、学業成績への過度な期待などがストレス要因となります。
身近な人との死別、家族の介護、家族関係の悪化、結婚・出産・離婚といったライフイベントなどが影響します。
失業、借金、経済的困窮なども大きなストレス要因です。
失恋、病気やケガ、引っ越し、自然災害なども適応障害の原因となることがあります。
同じストレスを経験しても、適応障害になる人とならない人がいます。これは個人の性格、生育環境、現在の生活状況、周囲のサポート体制など、複数の要因が複雑に関係しているためです。
適応障害の治療は、症状の程度やストレスの状況に応じて、複数のアプローチを組み合わせて行います。
治療の基本は、心と体を十分に休ませることです。患者本人だけでなく、家族や職場の理解を得ながら、できるだけ早く適切な休養を取ることが回復への第一歩となります。
適応障害の治療では、支持的精神療法が中心となります。
患者の多くは、新しい環境や状況に適応しようと努力したものの、うまくいかなかったという挫折感や無力感を抱えています。治療では、まず患者の気持ちや経験を丁寧に聴き、受け止めることから始めます。
この過程を通じて、ストレスによる心理的ダメージを最小限に抑え、患者が前向きなエネルギーを取り戻せるよう支援します。さらに、患者自身が問題に向き合い、解決していく力を回復できるよう援助していきます。
抑うつ状態や不安感、不眠などの特定の症状に対しては、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などを使用することがあります。薬物療法は症状を軽減するための補助的な役割を果たしますが、治療の中心は休養と精神療法です。
適応障害は誰にでも起こりうる病気であり、早期に適切な治療を受けることで回復が期待できます。症状に心当たりがある場合は、ひとりで悩まずご相談ください。