
発達障害は、生まれつきの脳機能の特性により、認知、行動、コミュニケーションなどの面で独特の発達パターンを示し、日常生活や社会生活において困難が生じる状態を指します。幼少期からその特徴が現れることが多いものの、成人になってから気づかれるケースもあります。
発達障害には、主に自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)などがあります。発達障害のある方の脳は、記憶、思考、計算、学習、言語理解、判断といった様々な機能において、得意な領域と苦手な領域の差が大きい傾向があります。そのため、特定の分野では優れた能力を発揮する一方で、別の分野では著しく困難を感じるという状況が生じ、この能力の凸凹が生活上の支障につながることがあります。
発達障害そのものを完全になくす治療法はありませんが、適切な支援や治療により、困難を軽減し、生活しやすくしていくことは可能です。
対人コミュニケーションの困難さ、限定された興味や関心、反復的な行動パターンを特徴とします。乳幼児健診や保護者が成長過程で気づくことが多いですが、大人になってから判明する場合もあります。100人に1~2人程度の割合で見られ、男性は女性の約4倍多いとされています。
自閉スペクトラム症の発症メカニズムは、まだ完全には解明されていませんが、脳の発達過程における様々な要因が関わっていると考えられています。生まれつきの脳の特性によるものであり、育て方や家庭環境が原因となることはないとされています。
自閉スペクトラム症への対応には、薬物療法、療育的支援、環境調整などがあります。
イライラ感や不安感などの症状を和らげるために、抗精神病薬を使用することがあります。これらの薬は主に他の疾患で使われるものですが、ASDに伴う情緒的な症状にも効果が期待できる場合があります。状況に応じて、抗不安薬や睡眠を助ける薬を用いることもあります。
お子さんの場合、コミュニケーション能力や社会的スキルを育むための療育を行い、適応力を高めていきます。これにより、環境の変化に対する不安が軽減され、集団活動への参加意欲も徐々に向上していきます。
思春期以降の方には、まず生活上のストレスや環境の変化を確認し、原因が特定できれば環境を調整していきます。
不注意、多動性、衝動性を主な特徴とします。多くの場合、3歳頃までに特徴が現れ始めますが、診断されるのは幼稚園や小学校入学後になることが一般的です。適切な対応がなされないと、学習面や友人関係に困難が生じることがあります。男性の方が女性より多く、小学生の7~8%程度に見られるとされています。
注意欠如・多動症の発症メカニズムは、完全には明らかになっていませんが、脳内のノルアドレナリンという神経伝達物質の働きの違いが関係している可能性が指摘されています。遺伝的な要因も関与しており、遺伝率は75%と言われています。
注意欠如・多動症への対応には、薬物療法と環境調整があります。
中枢神経に作用する治療薬や、非刺激性の治療薬などが使用されます。症状の改善に役立つ場合があります。
学習環境を整える工夫として、机の周囲に気が散るものを置かない、適度に休憩を挟むなど、周囲のサポートが重要です。ただし、過度な注意や叱責は自己肯定感の低下につながり、他の心理的な問題を引き起こす可能性があるため、理解ある対応が大切です。
以下のような状態が続いている場合は、ご相談をご検討ください。
発達障害は、適切な理解と支援により、生活の質を向上させることが期待できます。気になる特徴がある場合は、ひとりで抱え込まず、お気軽にご相談ください。